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【中国CPUの乱】ソフトバンクのARM売却、中国コンピュータの父が習近平に叛旗

2021年1月27日

ソフトバンクのARM売却

2016年、ソフトバンクがイギリスのARM(アーム)というプロセッサの設計会社を買収した。

それから4年後の2020年9月14日、ソフトバンクGはARMの全株式をNVIDIA(エヌビディア)に売却すると発表。

トランプ政権にも食い込んでいた中華系ディープステート(青幇・浙江財閥)が、「ソフトバンクは危険な会社だ。ソフトバンクにアームを売却させてエヌビディアに買収させよう。」と持ちかけ、トランプはそれに乗ってしまった。

ところがそれに反発を抱いているのが、イギリスのARMで働いてる人たちや、イギリスディープステートなど、そして中国の一部の人たちである。

青幇とはもともと中国の秘密結社で、現在も中華系ディープステートとして日本、台湾、アメリカ、中国などで暗躍している。

ソフトバンクもその一味である。上海租界地時代の青幇頭領である杜月笙(トゲツショウ)の弁護士蔡六乗(サイリクジョウ)。その孫の蔡崇信(サイソウシン)の支援を受けてここまで大きくなった。

そのソフトバンクにARMを買収させて、ファーウェイなどのために使おうと青幇・浙江財閥は考えていた。

しかし、ソフトバンクの資金繰りが悪化してきたこともあって、その改善のためにARMをエヌビディアに移すことを思いついた。

エヌビディアとはアメリカのGPUの会社だが、共同設立者でCEOのジェンスン・ファンは台湾系アメリカ人である。AMDのCEOリサ・スーは姪に当たり、同じ台南にルーツを持つ仲間だ。

また青幇がやってきた

エヌビディアのARM買収で中国半導体産業が苦境に立たされる可能性が出てくると報道されている。

米国の半導体メーカーであるNVIDIAが、英国を拠点とする半導体IPベンダであるArmをソフトバンクグループから400億ドル相当の取引で買収すると発表したが、この買収に対し、中国の規制当局から許可を得ることは難しい可能性がある

「環球時報」(国際英語版「Global Times」)

ソフトバンクを支援している蔡崇信は習近平とズブズブの関係にある。中国国内の半導体会社に対してスキャンダルを流しては買収するということを繰り返している。

「また青幇がやってきた。台湾に追いやったはずの青幇、浙江財閥が中国に戻ってきてまた悪さをしている。」と言って中国人はかなり怒っている。

中国コンピュータの父

そんな中、エヌビディアによるARM買収に『中国コンピュータの父』と呼ばれている倪光南(ニーガンナン)が反旗を翻した。

中国のIT産業とコンピュータ産業へのニーガンナンの影響力は強く、レノボ創業に際してもかなり力を注いでいた。「中国のコンピュータの父と言えばニーガンナンだ。」と中国人から尊敬を集める人物である。

技術に強いニーガンナンとビジネスに強い柳伝志(リュウチュアンジ)。この二人が創業当初からレノボを引っ張ってきた。

リュウチュアンジはどちらかと言えば台湾をサポートし青幇の力を借りて登ってきた人物だ。そして習近平ともかなり仲がいい。

解放軍のコンピュータを台湾に触らせたくないと思っているニーガンナンは、リュウチュアンジが台湾と仲がいいことをとても嫌がっていた。

そしてニーガンナンは、「エヌビディアがARMを買収したら中国は終わりだ。そんなことを許可する奴は党と国の反逆者だ!」と宣言する。

中国コンピュータ業界に反習近平の流れ

ARMの設計はかなりの割合の半導体製品に使われている。なので台湾を通してARMを中国のものにしたら天下取れると思っているのが習近平だ。

エヌビディアに買収させて実際に強くなるのは台湾浙江財閥そして青幇である。ニーガンナンはそのからくりをわかっているので「そんなこと許可する奴は反逆者だ」と言っている。

彼が言っていることは、「習近平は売国奴だ」と言っているのと同じことである。

そして中国国内でARMをエヌビディアに買収させたい習近平と、それを阻止したいニーガンナンの戦いが繰り広げられることになる。すでに老齢のニーガンナンはこの戦いを『人生最後の戦争』だと言う。

国境を越えた大企業間の買収は、世界各国の公正取引委員会が独占禁止法に反してないかを審査した上で許可が出されなければ成立しないようになっている。

だからニーガンナンは中国の公正取引委員会に許可を出してはいけないと圧力をかけていたのだ。

そして2022年2月8日、ソフトバンクGより契約解消のプレスリリースが出される。

このニーガンナンによる『ARMの乱』で、多くの中国人がニーガンナンを支持した。これは反習近平の流れがコンピュータ業界にできているということである。

設計に手を出せるかどうかの違い

中国の半導体製品のほとんどにARMの設計が使われている。このARMが青幇の一部であるエヌビディアに支配されては困る。しかしソフトバンクもまた青幇の一部である。

なぜニーガンナンはARMをエヌビディアに渡してはいけないと考えたのか。

私たちが普段利用しているCPUのほぼ全てにバックドアが付いている。その検証のためにPowerPCとARMを使ってお互いのチップでお互いのバックドアを検証するということをやったりしている。

もしエヌビディアがARMを買収してしまうと中国はもうバックドアを見つけることができなくなるかもしれない。そのことをニーガンナンは恐れていた。

エヌビディアとは違い、ソフトバンクにはチップ開発のエンジニアがいないのでARMを買収しても設計の中身には手出しできない。

エヌビディアは半導体設計の会社なのでもちろんチップ開発のエンジニアがたくさんいる。彼らがARMに何か手を加えたら、中国共産党は二度とARMの中のバックドアを発見することができなくなる。

そのようなこと危惧して戦ったニーガンナンは中国の愛国者だと言えるだろう。中国の未来を憂いて習近平に反旗を翻したのだ。



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