日航機事故は米政府のTRON潰し?暗躍した孫正義
日航機事故とトロン
日本人による世界の皆さんのための『リアルタイムオペレーティングシステム』として開発されたトロンと呼ばれる純国産OSがある。
パソコン用としては普及しなかったが、家電などの組み込み用リアルタイムOSとしては、世界シェア60%とかなり普及していて、多くの企業の多くの製品に利用されている。
30年以上前から現在のIoT社会を予見していた坂村健博士による、この先進的で非常に優れた国産OSトロンがパソコンOSの世界を席巻することなく消えていったのはなぜか。
なぜトロンではなく、マイクロソフトのウィンドウズが世界標準となったのかについて、よく挙げられるのが1985年の日航機事故だ。
この日本航空機の事故の犠牲者に、16,7名の松下電器の社員の方がいて、その方たちが全員トロンの開発者だったという説が流れている。
しかし、ある方のブログにこの日航機に乗っていた松下系企業の社員一覧が掲載されていた。確かに16名ほどいるが、よくよく見るとトロンOSの開発をしているようには見えない方たちが多い。
これを見る限りでは、ほとんどの方はコンピューター開発とは少し違う部署にいるように見える。日航機事故でトロンが駄目になったという説は、もしかしたら違うのかもしれない。
義務教育にパソコンを導入
『孫正義 起業の若き獅子』という若いときの孫正義の本に、トロン潰しの顛末が書かれている。
1980年代、純国産の日の丸OSとして通産省がトロンを推進をしていた。
それと同じ時期に、孫正義が日本にパソコンを普及させるため、細川護煕と一緒に義務教育にパソコンを導入しようと動いていた。それは1987年、熊本県で起こったことだ。
私は1978年生まれで、小学校を卒業したのが1990年。私が卒業するその年に小学校にコンピュータルームができて、コンピュータがずらりと並んでいた。
それを見て、大人になったらすぐにパソコンを買って、すぐにコンピューターの勉強をしなければいけないと思った。
私は小学校を卒業する時点でコンピュータに触れたことはない。しかし、自分より一つ下の子たちはみんなコンピュータを勉強してくる。
ということは、社会に出たその翌年にはもう自分の価値は下がることになる。コンピュータを勉強していない自分の労働者としての価値は、その次の年に卒業してくる子たちよりも低いということに気が付いたのだ。
このように、小学生の私にコンピュータの勉強をしようと決意させた義務教育へのパソコン導入だが、それに動いてたのが孫正義だったということが書かれてある。
孫正義「トロン蔓延を水際で阻止」
孫正義が細川護熙と義務教育にパソコンを導入する事を推進していた一方で、当時のコンピュータ開発センターは、オペレーティングシステムはトロンを採用することで話を進めていたようだ。
それを聞いた孫正義は、
「日の丸OSトロン推進協議会を作ってトロンを推進するなどあり得ない。この『日の丸OS』という名称も良くない。この名称は排他的で海外の人には絶対受け入れられない。トロンの存在が日本を世界から孤立させ、日本を滅ぼす。日本の遅れているコンピュータ産業がますます遅れる。」
と言って猛烈に反対したと書かれている。
孫正義は、「とにかくトロンは日本を破壊するのだ。トロンがあることで日本は世界のコンピュータ産業から遅れる。」と言って憚らない。無茶苦茶な嘘を平気で言っている。
そもそも日の丸という名前は排他的な名前ではない。トロンは今でも世界の様々な家電や、産業用マシンの組み込みリアルタイムOSとして愛されている。
1980年代後半の日本の半導体は、アメリカが日本を何とかしなければと思うくらい強かった。世界で一番だったのだ。そして、コンピュータ開発も強かった。
そのような日本の現実、実力を全く無視して事実と異なることを吹聴して回っていたのが当時の孫正義だ。
この本の291ページに、「トロン蔓延を水際で阻止」という項目がある。彼は自分がトロンを潰した犯人だということを自白しているのだ。
スーパー301条
孫正義は1989年に、パソナの南部靖之氏、ミズノの水野正人氏と勉強会を開催している。その講師として、ソニーの盛田昭夫会長と京セラの稲盛和夫会長を招いていた。
その勉強会で盛田さんに向かって、「日本の国益を守るべき通産省が海外のコンピュータを閉め出そうとしていて、日本の国益を潰そうとしている。」と言った。
本来、国産OSであるトロンを守ることは、日本の国益を守ることになるはずだ。
しかし、孫正義は「トロンを守ることで日本の国益を損じる。マイクロソフトを追い出して日本を鎖国しようとしている。」と言う。
こんなデタラメに盛田さんは乗ってしまった。「なるほど、それは大変だ。日本を救うために何とかしないといけない。」と言って、経団連に働きかけ、通産省と共にトロン潰しに奔走した。
そして1989年、アメリカ合衆国通商代表部(USTR)が発表した、「外国貿易障壁報告書」の中にトロンが含まれていた。
その情報を孫正義は先に知っていて皆に話していたようだ。「メディアの報道で通産省は真っ青になったのだ。」と彼は自慢げに語っている。
日米半導体協定の時と同じ手口
日米半導体協定の時と同じ匂いがする。
そのときも仕掛けたのは台湾浙江財閥のグループだ。
アメリカのワシントンDCのシンクタンクなどに「日本は危険な国だ。日本は潰さないといけない国だ。」とロビイングして回る一方で、「私たちが半導体の受皿になります」と売り込む台湾チームがいる。
日米半導体協定が結ばれた途端に台湾と韓国は漁夫の利を得る。技術を移転してもらい、ビジネスが自動的に自分たちのものになるのだ。
日本を通過して台湾と韓国の二手に分かれて半導体ビジネスが流れる。日本を叩けば自分たちが儲かるという形だ。
日本製OSトロンに関しても同様で、台湾浙江財閥のフロント企業であるソフトバンクの孫正義がロビイングして回っている。
そのタイミングでアメリカの「外国貿易障壁報告書」に載せられるというのは偶然にしては出来過ぎではないか。
浙江財閥の手先、孫正義
当然のことだが、トロン開発者の坂村健さんは、孫正義にトロンプロジェクトを潰されたことに非常に憤慨されている。
もし、国産のOSがあれば、日本はコンピュータ産業でもスパコンでもトップクラスを走れていただろう。
そのOSを活かすための半導体チップを作るという流れになっていれば、日本の半導体チップが世界の中で非常に低いシェアしか取れていない今の現状は違うものになっていたと考えられる。
結局、日本の半導体産業、そしてコンピュータ産業を潰したのは、ファーウェイを中心としたTSMC、SMIC、ソフトバンクなどの浙江財閥、台湾と中国で徒党を組んでいる中華グループの人達ではないか。
「日航機事故で日本のトロンは駄目になった」と一部では言われているが、実際には坂村健さんが仰るように孫正義が妨害したということが事実のようだ。
そして、それにパソナや経団連などが絡んでいる。そのことが非常に残念だ。
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