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日本製鉄のUSスチール買収にポンペオ登場の裏事情

2024//07/27

//www.youtube.com/watch?v=Vng_F8RNqYQ&t=204s

日本製鉄のUSスチール買収に、元トランプ政権の国務長官だったポンペオが登場した裏事情についてお届けする。(参議院議員 青山繁晴氏によれば、米語ではパンピーオと呼ぶそうだが、私は日本人なのでポンペオと呼ばせていただく。)

USスチールは業績も芳しくなく鳴かず飛ばずだったが、去年、そこに日本製鉄が買収を発表してから話題になった。色々なゴタゴタはあったが、その救世主として元国務長官ポンペオ氏が登場したことで盛り上がっている。

これまでの流れを振り返ると、昨年2023年12月19日付けのニュースで、
『USスチール、日本企業に身売りで合意 かつては世界最大の企業』と報じられた。

ここでいう日本企業とは日本製鉄のことだ。合意した買収額はキャッシュで2兆円というもので、この時、日本製鉄の株価が大きく跳ね上がった。ところがこの後事件が起こった。4月のロイターから『日鉄のUSスチール買収、米司法省が反トラスト法調査を開始』というニュースが出た。

反トラスト法というのは、独占禁止法のことで、要するに日本製鉄がUSスチールを買収する際、独占禁止法に抵触しないのかをアメリカの司法省の公正取引委員会のようなところが、法律に則り行われる正しい取引なのかを調査しはじめたのだ。国境を超えたクロスボーダーのM&Aは、各国の公正取引委員会が各国の基準で独占禁止法に違反していないか、寡占、独占が行われていないかを調査するのだ。

ほとんどの国は、日本製鉄のUSスチール買収に異議申し立てをしていなかったが、アメリカだけは調査を開始したのだ。

この報道がされる前から株価が下がっており、独禁法に引っかかるのではないかという噂が広がっていた。これが今では政治的な問題になり始め、トランプ元大統領は絶対に買収を阻止すると言っており、バイデン大統領も労働組合関係の反対運動により難色を示している。

ここで奇妙なことが起こった。日本製鉄は、もともと9月末に予定いた買収完了を今年12月末に延期すると発表した。 日本製鉄はこれを政治的理由はないとしているが、多くの人は大統領選挙のネタにされたくないから、終わるのを待っているのではないか、と指摘している。

その後もトランプ前大統領は日本製鉄によるUSスチール買収を強く叩いている。7月13日に起きたトランプ前大統領の銃撃事件後に共和党大会が正式に開かれ、そこでトランプ前大統領が正式に共和党候補に認定された。副大統領候補には、労働者階級の出身で労働組合からも人気のあるJ.D.ヴァンスが選ばれた。続く7月18日付けのニュースによると、『トランプ陣営、産業保護に拍車。USスチール買収、強く反対』という記事もある。

それによると、“ヴァンス上院議員は、ラストベルト(錆びついた工業地帯)出身の経歴を背景に製造業の育成や保護の必要性を訴えてきた。17日の氏名受諾演説では、かつての北米自由貿易協定(NAFTA)は、数えきれないほど多くの雇用をメキシコに譲り渡した、などと主張。反自由貿易の考えを鮮明にした。 日本製鉄によるUSスチール買収にも強硬に反対していることでも知られ、トランプ前大統領の産業保護の姿勢に拍車をかけそうだ ”と報じられている。

ここでなぜか登場したのが、トランプ政権時代に国務長官を務めたマイク・ポンペオである。ポンペオがUSスチール買収を試みる日本製鉄のアドバイザーとして、日本製鉄側についたというニュースが出た。そして、その数日後、日本製鉄は中国の宝山鋼鉄との合弁を解消すると発表したのだが、この流れにきな臭さを感じるのだ。

なぜなら、ポンペオは現在、トランプとは距離を置いており、台湾のロビイスト、特に台湾人を装った中国浙江財閥に食い込まれ深い関係にある。これは日本も同じ構図だ。日本製鉄のUSスチール買収の相談役にポンペオが入った瞬間に中国との合弁会社を解消した。これは、表向きは反トラスト法の調査に対応するためだが、実は日鉄が中国と深い関係にあるのではないかと疑われている。

なぜアメリカは こうしたことを警戒しているかというと、USスチールは過去に中国の過剰生産による価格暴落で経営危機に陥った経験があるからだ。USスチールは防衛産業のサプライチェーンにおいて重要な位置にあるため、アメリカとしても中国の影響下に置かれることを避けたいと考えている。そのため、ポンペオが入ったことで日本製鉄が中国と深い関係にあることが明らかになり、合弁解消を発表せざるを得なかった。

しかし、これは一時的にアメリカ政府を欺くための手段である可能性もあるため、アメリカ政府は引き続き日本製鉄のUSスチール買収を監視していくと考えられる。

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