【新春スペシャル】2022年世界を変える「ITキーワード」メタバースとCPSとは!?
2022年予測、『世界編』、『中国編』に続いて『IT編』をお送りしたいと思います。
2022年の『ITキーワード』として、
今回は、「メタバース」と「製造業CPS」
次回は、「NFT」と「DeFi」
この4つをご紹介します。
最近はITがかなり話題になっていて、新しい専門用語が次々と生まれてきますが、これだけは覚えていた方が良いというものを厳選してピックアップしました。
メタバース(Metaverse)
現実空間と仮想空間の相互作用
メタバースは去年の12月ぐらいから、何度か『深田萌絵TV』で取り扱っているが、メタバースが「インターネット空間上にある単なる三次元空間」ぐらいの認識が終わっている人が多かったので、今回はもう少し踏み込んでお話しする。
メタバースはどういう世界観なのかを表すのに、映画のマトリックス、アバター、レディプレイヤーワンなどを見てもらうと分かるが、仮想空間上で起こっている出来事だ。
仮想空間は3次元空間で、機器を接続し、その仮想空間に入っていく。そこでアバターとして生活をしていく。
その仮想空間上での動きや、仮想空間上で起こったことが現実にもフィードバックされ、反映されていくのが、メタバースのダイナミックな世界観だ。
実はメタバースの言葉の定義は、まだはっきりとしていないが、「現実空間と仮想空間が相互作用をして連続的にお互いに変化していく」こういう状態がメタバースを提唱している人たちのアルティメットゴール、究極のゴールなのではないかと想像している。
仮想空間内で行うことがどのように現実に反映されていくのか。
私たちは服を買おうと思ったら、お店に行って試着して買う。それが最近は通販で買い物をする人も増えてきてた。ところが届いてみたら、気に入らなかったということは結構あるわけだ。
そういうことを回避するために、試着サービス(商品を送ってもらい試着する。気に入ったものだけ購入し、他は返送する)も始まっているが、これも結構トラブルの原因になっている。
そのような試着サービスのトラブルを回避するために、メタバース空間で自分と同じ体型のアバターがショップの服を試着する。
立体的に着てみて、その服がどのように見えるか、どのように表現されるのかということを、メタバース空間上で確認することができる。
そして、メタバース空間内で気に入った服を買うと自宅に届く。
このようにメタバース空間内での自分の行動が現実空間に反映されるのがメタバース空間だ。
食事をするときはメタバースで注文したら現実空間に届く。
仕事もメタバース空間で上司と打ち合わせしたり、お客様を訪問したりということが本物の仕事に反映されていく。
メタバースの未来
もっと先の未来では、自分のアバターが仮想空間内で動き、その動きを反映するためのドロイドが現実空間で動く。
ここまでいくと、かなりメタバースが完成してきたと言えるだろう。
メタバースの市場はもうすで見えてきている。
2年後の2024年には90兆円規模の市場になるだろう言われていて、特に音楽業界、エンターテイメント、旅行業などはメタバースにかなり力を入れている。
他にも、自動車産業では日産がメタバース空間上で展示会を行ったり、アパレルでもメタバース製品を出したりしていて、様々な企業がメタバースというキーワードに遅れを取るまいとして頑張っている。
先日、歌手のアリアナグランデさんもフォートナイトと呼ばれるゲームでコンサートを開催した。
このように歌手がコンサートをメタバース空間で開催できるようになると何がいいのかというと、将来的に年を取っても自分のルックスを仮想空間上ではアバターを使って維持することができる。メタバースにはそういうメリットもある。
ただ、メタバースはまだまだ必要な技術が足りていない。一番足りていないのは三次元映像技術だ。
今の3Dというのはパソコン上で三次元ぽく見える立体感表現の技術が駆使されていたり、VRでヘッドマウントディスプレイなどを使ったりして、立体に見えているのだが、右目左目に情報を交互に送っている。
それ以上に求められているのが、浮き上がるホログラムディスプレイで、裸眼で使えるホログラムディスプレイがいつできるのかが、今の人類の課題だ。
そしてメタバースの勝者だが、メタバースで何がどう転んでも絶対に儲かるのはやはりハードウェアだ。
コンテンツで儲かる事業ではあるが、空中でコンテンツは走らないので、必ずハードウェアとデバイスが必要になる。
そうなるとやはり世界の半導体製造を牛耳っているTSMC、そして三次元映像を合成するためのGPUを設計しているNvidia、そしてデバイスを組み立てるフォックスコン、この中国習近平のフロント企業が確実に勝ちを取りに来るだろうと予想している。
製造業CPS(サイバーフィジカルシステム)
職人の動きをデータ化
そして二つ目、製造CPSというものが今年のITキーワードとしてかなり話題になるだろう。
CPSとは、サイバーフィジカルシステムのことで、現実空間と仮想空間を一体化させるシステムという意味だ。
基本的な言葉の意味はメタバースと同じ。
究極バージョンのメタバースと同じで、現実空間とサイバー空間の間でアップデートされたら、お互いにアップデートされていく空間を作ろうということだ。
今までのIOT(Internet of Things:モノのインターネット)は、IOTの機能が組み込まれた機械や設備から、センサーと通信の仕組みを使って、機械がどのように動いているのかという情報をデータセンター側に吸い上げる。
この数値がおかしかったら、パラメーターを調整したりすることもしているが、基本的には制御データの収集や、分析する情報をデータセンターに送信するということをしているのがIOTだ。
CPSでは、職人の動きなどを数値化してデータセンターに収集し、そのデータを使って、機械に動き方を教えてあげるということができるようになる。
例えば、工場で製品が出来上がったが、微妙に仕上げが違う部分などがあるとする。
職人さんが仕上げの動きを見せてあげる。
センサーを使い、その動きを三次元でキャプチャーしてデータ化する。
そしてデータセンター経由で機械や工具に、キャプチャーしたデータを使って、動き方を教えてあげると、あちらでもこちらでも同じ動きができるようになり、理想の製品が作れるようになる。
このように現実空間を数値化、サイバー空間を通して、現実の別の工具を動かすということができるようになる。
現実空間とサイバー空間が相互作用していき、こちらのもう一つの現実も変わっていく、そういったことをやろうとしてるのがCPSだ。
日本の大学で研究されてきた
製造CPSという考え方は、実は何年も前から日本の大学でも研究をされていた。「伝統工芸を残すためにはどうしたらいいのか」という、取り組みの中で研究されてきた経緯がある。
伝統工芸に携わる職人さんが年々減ってきていて、それが日本にとっての課題となっていた。職人さんがいなくなると、伝統工芸品の伝承者がいなくなり途絶えてしまう。
そのようなことを防ぐために、
「今残っている伝統工芸の職人さんの動きを全てデータ化してそれを保管、もし未来にもう一度同じ伝統工芸品を作りたいときには、保管したデータを使って再現できないか」
という研究が行われてきた。
職人技と呼ばれていることを数値化してデータ化、簡単にそれを製造業の製造過程に落とし込んで再現していくことを、大規模に行うという取り組みだ。
それも良し悪しだ。
伝統工芸の職人さんの職人技を未来に残すことができる反面、管理を誤れば、自分たちの企業秘密、ノウハウが簡単に抜けていくということになるので、取扱いには十分気を付けなければいけない。
このCPS、サイバーフィジカルシステム、製造CPSという考え方も基本的にはメタバースと共通している。
「仮想空間で起こったことが現実空間で起こる。現実空間で起こったことが、仮想空間にフィードバックされていく」
こういう考え方が基本になっていると考えておけば良いだろう。
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