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【補正予算案】半導体生産に6000億円は全て外資企業の怪!? 1/2

2021年11月23日、日経新聞で、「先端半導体工場に6000億円 政府、米マイクロンも候補」というタイトルのニュースが出ていた。

政府は2021年度補正予算案に先端半導体の生産企業を支援する基金の財源として約6000億円を計上する。台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に建設する新工場に約4000億円を拠出し、残り約2000億円は半導体メモリー大手の米マイクロン・テクノロジーとキオクシアホールディングスなどを候補に工場の新増設費用を一部支援する。

中国以上の言論統制が敷かれる日本

何で外資だけやねん。

日本には、富士通、ルネサス、旭化成、リコー、ローム、電装などの半導体の企業があるのに、なぜわが国の政府は外資だけを応援して、日本企業には1円も出さないのか。

中国人留学生には何百億円も出しているのに、日本人の学生には、金を貸したら利子を付けて返せという。

なぜこれほどまでに外国人を優遇して、日本人を虐めるのかとても不思議だ。

そして、日本国内で反対の声を挙げる人もなかなかいない。もちろん半導体の企業の方々に会ってはいるが、こういう愚痴も聞こえてくる。

「反対できない雰囲気が経産省や政治家によって作り上げられている。言論統制が出来上がっていて、サラリーマン社長の自分には反対しようもない。」

一方、アメリカでは、「TSMCにアメリカ政府が金を出すのは、国内企業の競争を激化させて、競争力を下げることになる。それはおかしいのではないか。」とインテルが主張している。

(後にインテルのCEOパット・ゲルシンガーはTSMCに篭絡されたかのような行動を始める。)

日本では一切そのような声は挙がらない。

言論統制が酷いと思われている中国ですら、「TSMCの工場を中国で拡大させることは、中国の国内産業をダメにする。競争力を下げる可能性があるから良くない。」と言っている人もいた。

しかし、なぜか日本ではそのようなことを言う人はほぼいないという奇々怪々な展開なのだ。

日本企業には一円たりともくれてやらん

キオクシアはもともと東芝メモリだったので、日本の企業ではないのかと思うかも知れないが、これにも二転三転あった。

2018年6月時点での議決権比率は海外企業49.9%、日本企業50.1%である。

ベインキャピタル、SKハイニックス、アップル、キングストンテクロノジー(青幇・浙江財閥の会社)、シーゲイトテクノロジー、デルテクノロジーの海外企業からのお金を『BCPE Pangea Cayman』にまとめた。それが49.9%。

そして、東芝が40.2%とHOYAが9.9%、合わせて50.1%。日本企業が過半数を持っているので日本企業だろうと説明されていた。

確かに0.1%だけ日本企業の方が多いのだが、株のトリックで数パーセントぐらいなら簡単に変わる。なので私は当時、そのパーセンテージでは危ないのではないかと言っていたが、嫌な予感は的中した。

2020年時点で、56%が外国法人になっている。

日本の6000億円のうち、4000億円がTSMC、2000億円がアメリカのマイクロンと、56%外資のキオクシアに流れていく。

なぜ日本政府は、ビタ一文たりとも日本企業にはくれてやらんという姿勢を貫き通すのか、不思議でならない。

以前、シャープに対して、日本政府がお金を出そうとしたときは、公正取引委員会が飛び出してきて、「公正な競争を阻害する恐れがあるので、日本政府は民間企業にお金を出さないでください。」と言ってきた。

しかし、外資に出すときには絶対に言わない。

金を出して、さらに株も渡す

今回のTSMCとソニーの新会社JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)への投資総額は、86億ドル(約9800億円)と言われている。

そのうち、日本政府が4000億円、あるいはもっとたくさんの助成金をソニーに出して、そこからTSMCに出すという話なのに、ソニーは株式20%未満しか持てないようだ。

2022年2月にはデンソーの出資が発表され、10%強の株式を取得する見込みだ。

それでは、TSMCが70%持つのか?おかしくないか?

日本国民の血税を使っているのだ。その分、JASMの株式は日本政府が持たなければいけない。

それなら、日本政府からソニーに出すのではなく、JASMに日本政府が直接お金を入れて半分以上の株式を保有するなら一応支配はできる。株主として拒否権を持てるし、いろいろな意見が言えるようになる。

ソニーが株式20%、デンソーが10%、TSMCが70%なら、この4000億円、5000億円はどのような形で出資するのだろうか。

日本政府がソニーに貸す。それをソニーがJASMに貸す。その返済はソニーがする。そして株はTSMCが持つ。もしそうであれば明らかにおかしい。

今回の助成金はもらえる助成金なのか、返さないといけない助成金なのかは判らないが、いずれにしても、なぜこれほどTSMCに有利になっているのか全く理解できない。

お金を出すのであれば、せめて株は押さえなければいけない。株主として過半押さえておかないと、外国企業のやりたい放題なのだ。

次回に続く。


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