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越境3.0chカズさん「世界の中心はグローバルサウスへ」

2023/12/18

https://www.youtube.com/watch?v=_0lTFGmcmkA&t=25s

■  世界中の成長産業に投資する中東の政府系ファンド

(深田)
今回は『「第三世界の主役中東」というテーマで【越境3.0チャンネル】石田和靖さん』にお話をいただきたいと思います。中東問題といえば石田和靖さんです。
本当に昔から中東が大好きで、趣味でやっていたことが、いつの間にか中東の専門家になって、今年グローバルサウスが次から世界の中心になるのだと色々なところで言われ始めている中で、そのことについて色々と本にまとめていらっしゃるそうですね。その内容を少しだけ、この番組のみなさんに教えていただければと思います。

(石田)
大前提として日本人にとって中東は遠いですよね。距離だけではなく精神的にも遠いです。日本で流れる報道はテロと紛争の報道がほとんどですから。

(深田)
怖くて行けません。

(石田)
ほとんどの人が萌絵さんと同じことを考えています。中東は怖い、触れてはいけないのではないかと。でも中東の中でも湾岸協力会議という国「サウジアラビア、UAE、クウェート、カタール、バーレーン、オマーン」この6カ国の躍進ぶりはすごいです。 
一番わかりやすい指標で言うと、政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)ですね。

(深田)
そうですよね。アブダビが凄いですね。

(石田)
アブダビだと一時期は世界一で運用総額100兆円を超えました。アブダビ投資庁は国営の会社ですね。日本で言うところの財務省ではなく、アブダビ投資庁(Abu Dhabi Investment Authority、ADIA)という会社なのですよ。
 
国有国営企業なので、国が運営している会社で、アブダビ投資庁(アブダビインベストメントオーソリティ)頭文字とってADIA(アディア)と言います。ADIAの下に子会社がたくさんあり中東部門の投資部門、アフリカの株式運用部門、ヨーロッパの不動産運用部門と、それぞれのセクターごとに全部に政府系ファンドがあって、それを全部束ねているのがアブダビ投資庁です。
 
アブダビ投資庁は、すごく有名なのですが、ドバイも同じようなものがありますし、サウジアラビア、カタール、クウェート、バーレーンもみんなあるのですよ。
アブダビ、サウジ、クウェートもみんな産油国です。石油が取れて何か石油を持っているとお金を持っているイメージがないですか。でも、それは間違いで石油があるのに貧乏な国の方が多いのですよ。世界を見渡すと、例えばリビア、イラク、イラン、ナイジェリア、ベネズエラ。

(深田)
なぜ石油が出るのに貧乏なのですか。

(石田)
どこかの国に戦争が起こされるからですよ。
それと利権争いも酷くて僕は昔ナイジェリア行ったのですが、ナイジェリアもやはり石油の利権を求めて色々な勢力が争っています。例えばナイジェリアには、オーバーナイトビリオネアという言葉があるのですよ。
 
なぜ一晩で億万長者になれるのかと言うと、例えばナイジェリアで石油が取れる州は、デルタ州と言う州があって、そこは石油がたくさん採れるんです。でも、デルタ州の人たちはいつまでたっても貧しいです。なぜなら石油は全部、中央政府に収益を持っていかれてしまい全然分配されない。もう全部中央集権化された中央政府が全部の石油の収入をガッポリ入れてしまいます。それ なのでデルタ州の人たちはいつまでたっても貧しい。
 
ですからデルタ州の人たちは組織を組んでテロ行為をするのです。パイプラインを爆弾で壊していますが、いつまでも続けられないので政府としてはそれを止めてもらい。ナイジェリアの政府とデルタ州の組織が話し合いをして交渉して、お前にはこういう権利を与えるので今日からテロ行為は辞めて欲しいと言う話が無数にあります。

(深田)
やり得ですね。

(石田)
僕はナイジェリアでお会いした、あるお金持ちが居て今は何をやっているのかと言うとブルドーザーやフォークリフトの重機の輸入をデルタ州でやっていて、その人にしかできないような状態になっています。独占禁止法も何もないのです。その権利をもらったわけです。その方に前のお仕事は何をやっていたのですかと聞いたらテロリスト。テロリストって職業なのかと。

(深田)
テロリストは職業なのですか。

(石田)
それで何をやっていたのですかと聞けば、デルタ州は石油が採れるが長い間貧しくて政府と交渉して昔はパイプラインを破壊していたけど、今は権利をいただいてブルドーザーの輸入の総代理店をやっていると。ブルドーザーを輸入する人は全部私に話をしないと輸入できないと言う事で独占しているからオーバーナイトビリオネアなのです。

(深田)
テロリストって職業はすごいですね。かなり斜め上を行っていますね。

(石田)
日本で考えたら日本の非常識なのですが、向こうで言えば、向こうの常識なのです。

(深田)
思いつきもしない凄い事ですね。

(石田)
普通は思いつきもしませんよね。ナイジェリアの場合はアフリカですけど、色々な国の成長産業を片っ端から投資をしているのが、中東の政府系ファンドです。
例えば、3月に破綻したクレディ・スイスという銀行がありますよね。

(深田)
ソフトバンクのせいなのですが少し色々あって、また今度お話します。

(石田)
クレディ・スイスの筆頭株主は、サウジアラビア国立銀行だったのですが、サウジアラビア国立銀行の筆頭株主は、今度はパブリック・インベストメント・ファンドと言うサウジアラビアの政府系ファンドです。
 
例えばアメリカのシティバンクの筆頭株主はアブダビ投資庁。スタンダードチャータード銀行も確か今年の1月にアブダビ投資庁との買収交渉があってアブダビ投資庁が飲み込もうとしていたのですが、たしか買収の話が破断して終わってしまいました。
 
何を彼らはやりたいのかと言うと影響力のある世界中のものを次から次へと買収しています。

(深田)
恐らく中国のやり方の真似をしていると思います。

(石田)
金融だけではなくテクノロジーもそうですし、コンテンツ産業もそうですし、インフラもそうですね。色々な分野において世界中の影響力ある産業をどんどん中東の政府系ファンドが飲み込んでいてオーナーになっています。スタンダードチャータード銀行は香港の発券銀行で香港ドルを印刷しているのです。

(深田)
そうですよね。発券銀行ですよね。

(石田)
アジアにおいて特に香港経済において非常に影響力のある銀行が、イギリスのスタンダードチャータード銀行で、アブダビとしては香港やアジア全体に影響力を持ちたいという思いがスタンダードチャータード銀行の買収交渉に繋がっている訳です。今そういうような動きが凄く活発化していて色々な意味で世界経済の主役になりつつある訳です。

(深田)
そうですよね。投資も結構うまくいっているのですか。

(石田)
もちろん投資なので上手く行くものも失敗するものもあればクレディ・スイスの様に大失敗もあります。サウジアラビアからしてみれば一番信頼を置いていたスイスの金融セクターに裏切られた訳ですよ。

もちろん失敗もありますが色々な所に色々な投資をして政府系ファンドの運用総額がどんどん積み重なって世界ランキングの上から下まで全部湾岸協力会議の国々で資金力もありますし、なおかつエネルギーもあります。


■  来年は中東が中心のグローバルサウスが主役

(深田)
これからインフレも来るし、資源インフレも来るからかなり有利ですよね。

(石田)
それが、ウクライナ戦争で露わになったわけですよ。石油と天然ガスがどれだけ重要かと言う事です。結局、西側諸国がロシアを制裁しましたがブーメランのように帰ってきてエネルギーを持っていないヨーロッパがみんなヒーヒー言っています。
 
SDGsだとか、環境エネルギーだとか声高らかに最先端を突っ走っていたドイツが今は、石炭を燃やしていますしSDGsは一体どこ行ったのか。あれほど大きい声で言っていたはずですが。

(深田)
ヨーロッパはEV車も諦めかけていますね。

(石田)
結局は西側のビジネスだということが露わになった訳ですよ。

(深田)
環境ビジネスはヒドイですね。

(石田)
そんな中もう一度石油や天然ガスがなんだかんだ言って一番コスパの良いエネルギーだと言う事を世界中が今気づいているのではないですかね。

(深田)
私はどう見てもグローバリストって産油国に勝って欲しいと思うくらい愚かなことをやっているように見えるのですよ。こんな事をすれば逆に石油や天然ガスの価値が上がってしまいますよね。そうすると自然と次の時代は資源国だと言うテーマに戻ってきてしまいますよね。

(石田)
ですからBRICS(ブリックス)が今すごく力を付けていますがBRICSに新しいメンバーが今少しずつ加盟しています。新たに加盟したのが、イラン、UAE、サウジアラビアでOPECの産油国です。
 
他にアルゼンチン、エチオピア、エジプトも加盟しましたが、その後に続くBRICSへの正式加盟申請控えている国々がズラリとOPEC加盟国です。ナイジェリア、ベネズエラ、クウェート、バーレーンです。

(深田)
グローバルサウス系の国がたくさん申請していますよね。

(石田)
それがいま正式加盟申請していて来年BRICSに、BRICSプラスのメンバーたちが入る訳です。BRICS=OPEC=グローバルサウスみたいに構図がもうがっちり出来上がりつつあります。

(深田)
敵は、G7とNATOでグローバルマイノリティ(世界の少数派)

(石田)
世界の潮流は、要はロシアに制裁している国としていない国で、ウクライナ戦争でハッキリ分かれたのですよ。ロシアにほとんどの国が制裁をしていないので、そこが一致団結して一つのグローバルサウスチームを作ってグローバルサウスにあるのは新セブンシスターズと言われている7つの新しい資源メジャーなのです。
 
ロシア(ガスプロム)、中国(ペトロチャイナ)、マレーシア(ペトロナス)、イラン(国営石油)、サウジアラビア(サウジアラムコ)、ベネズエラ(PDVSAベネズエラ国営石油)、ブラジル(ペトロブラス)とほぼマレーシア以外はBRICSです。

(深田)
すごい時代が来ますよね。

(石田)
このグループが今、石油の支配力、統制力を高めてきているので来年は、第三世界のグローバルサウスが主役になって中心にいるのが中東です。

(深田)
なるほど。そちらが勝ち馬でアメリカについている日本は負け組モードですね。

(石田)
これから環境投資だと言っている首相ですからね。

(深田)
今からEVをやるのですかと言うどう見ても負けますよね。
この番組をご覧の皆さんは絶対に負け組に入らない様に是非とも石田和靖さんの新刊「第三世界の主役中東」を読んでいただければと思います。
発売日は1月26日(金曜日) 

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