友達ってどんな人のこと? byまみむめも

「友達ってどんな人のこと?」
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「自分の内側を隠さずに見せ合える人」
君の目はここでないどこか遠くを眺めていた。
「本当の中身を見せても恥ずかしくないし、気まずくないって、思える人。そして、相手にもそう思ってほしい。ぼくはその人の真の姿、絶対に拒まない」
「絶対に」そう断言できる強さに惹かれる人が一体何人いるだろうか。
それは、どんなに屈強な鎧よりも頼もしい。
確かに芯の通っている言葉が、そう確信させる。
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「やっぱり自分を作ってはしまうけれど、作るのさえ楽しいなって思える人、です」
君は目を細め、唇を横に伸ばして、微笑む。
例えば、洗濯物の香りが、春風に乗って漂ってくるとき。例えば、干したてのふっくらとした羽毛布団に潜り込むとき。何となく、穏やかで安らぐ心地。君の笑顔は、そんな柔らかい空気を生成する。
「大切だから、傷つけたくないし、嫌われたくない。だから気を使っちゃうけれど、それさえも苦にならないような。むしろ、心がわくわくするような」
自分を作ること。人によって、自分を隠すことであり、偽ることであり……。でも君にとっては、それは他人を包むためのクッションに変身することなのだろう。
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「一度話したら、もうみんな友達でしょ!」
どんな曇天も豪雨も嵐も快晴に変えてしまうような明るい声で、君は高らかに言い放つ。
朗らかに笑う君の顔は無邪気な少年のよう。浮かぶえくぼがよく似合う。
きっと誰もが憧れる正義のヒーローとは君のような人のこと。
君の友達は、さぞかし充実した日々を送っているに違いない。どんなに気持ちが沈み込んでしまっても、君がいる限り溺れ死ぬことはない。
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「えっとね、」
その瞬間、君は目と鼻の穴を開いて、にぱっと満面の笑みを漏らす。瞳の奥は眩しいほどにきらきらとしていて、満天の星空を連想させる。
「まず、蒼、陽菜、健人……」
名を列挙し始める。
……予想外の回答。
「条件」をつけるのではない。
固有名詞がするっと出てくる、単純さと幼さ。ほとんどの人がかつては持っていたのに、失ってしまったもの……絶対に2度と手に入れることができないものが、君の中には潜んでいる。
それを喉から手が出るほど欲しがっても叶わぬ人はごまんといる。
君のくりっとした輝く瞳を注視するのに謎の罪悪感が込み上げてくるのは何故だろう。

その固有名詞の羅列の中に、わたしの名前は入っているだろうかと、じっと耳を傾けた。
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あとがき
一緒にお弁当食べようとか、一緒に帰ろうとか、何も考えずに言えたらいいのに、といつも思います。要するに私、臆病なんですね。そのこともあって、「友達」を作るのがあまり得意ではなく……。コミュ力と勇気が欲しいです。
ところで、私達の学校の一年生は、今週(ちょうどこの投稿がアップされた頃)、宿泊行事があります。非日常というものはわくわくしますし、どきどきして眠れないなんてこともありますよね。私はまさにそのタイプです。
私は宿へトランプを持っていこうかなと思っております。同じ部屋のクラスメイトと一緒に遊びたいな、という願望を込めて。
まあ、実際に「一緒に遊ぼう」と声をかけることができるかどうかは、別問題ですけど……。


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