Alive plants by星空

 ある国に、錬金術師の男が暮らしていた。彼は林業用具の製造、販売を行う企業のCEOに就いており、その会社は、斧やチェーンソーの国内シェア5年連続No.1と、経営状況も好調だった。
ところがその頃、彼の国では林業用の斧が凶器となる殺人事件が相次いで起こっていた。
(これ以上、殺人事件が起これば、斧に対する不安感が高まり、我が社の売上が落ちてしまう)
 実際には、凶器となった斧は彼のメーカーのものだけではなかったのだが、こうした最悪を想定する思考が、彼を社長に成しあげたのだろう。錬金術師はすぐにイメージダウンを阻止する対応に動いた。
 錬金術師は、新規に販売する斧にこう呪いを込めた。
「この斧で命を奪った者に死を与える」
と。もちろん、商品説明欄に警告も記しておいた。ついでにチェーンソーにも同様の呪いをかけた。
 社長は満足し、呪い入り斧、呪い入りチェーンソーは販売された。


 林業従事者が作業中に怪死する事故が多発したのはそれからのことである。


あとがき・解説
 おはようございます。深志文學の星空です。今回は今流行り(?)の「意味がわかると…」的な物語に挑戦してみました。こういうのは設定を華美にした方が良いのではないかと感じた結果、現代に生きる錬金術師社長とか言うキャラのランチプレートみたいなのになってしまいました。感想このくらいで以下解説です。
 簡潔に言ってしまえば、木も生きてるって事です。命を奪う、すなわち木を殺す事が職業の林業関係者に呪いが発動し、死が与えられた。林伐は不可欠なのでそれ自体を否定する訳ではないですが。誰が悪いかと考えると、結末を考えずに呪いをかけた錬金術師になるのでしょうか。その場合どの罪に問われる事になるんでしょうか。私にはよくわかりません。
 では。

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