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サメの奇妙な戦術(V名人戦3期 1局目振り返り) ~玉頭位取り?~
☆前置き
この記事は、V名人戦の対局の振り返りです。配信、棋譜などはこちらをどうぞ。なお、基本的にこの記事は画像↓説明となっております。
☆歴史の授業
突然だが、玉頭位取りという戦法をご存じだろうか?
1970年代に流行った対四間飛車の戦法である。米長先生、有吉先生あたりが全盛期だったころ、と言った方が将棋ファンの皆様には分かりやすいだろうか?
参考までに、米長先生がヌード写真を鳥取砂丘で撮られたのは85年(42歳)とのことだ。
どういうやつかと言われれば、こういうやつだ。
うん、かっこいい!・・・かっこよくない?
しかしながら、現代において玉頭位取りを見るのは稀である。何故か。
理由は色々あるけれど、一言で言うなら「同じ持久戦模様なら穴熊のほうがつよい(確信)」ということらしい。
今回、相手のゆうすちゃんが振り飛車党だと分かっていたので、そうすることに決めたのであった。四間飛車は振る自由がある代わりに居飛車には戦法選択の自由があるのだ。正直、勝ちに行くという気概のある選択ではない気がするが、レアものを見るのは楽しいじゃない?
ちなみに、わざわざ玉頭、というだけあって、5筋位取り、6筋位取りなる戦法もある。しかし、例によって全部持久戦志向なので、廃れた理由は同じだと思われる。穴熊はつよい。つよいのだ。
☆組み方
さて、長かった前置きはさておき、実戦を見てみよう。以下の図は親の顔より見た基本図である。74歩からいわゆる右銀急戦もいけるが、本日はそうではない。
まず、35歩と突く。この際に注意点があり、それは振り飛車側から36歩と反発する手がないことが大事だ。つまりどういうことかというと、36の地点に同歩同銀(金)と来た時に35歩と打てるようにしておくこと、これが玉頭位取りの成立条件である。
つまり、35歩の次は33銀⇒34銀と銀を押し上げるのが必須だ。ギンギン!
34銀まで出れると、先程の35歩打ち直しが出来るので、これにて一応は玉頭位取りである。
そして、駒組は進む。相手は銀冠だが、桂馬が跳ねられないのが玉頭位取りの利点だ。ここの74歩はちょっぴり重要で、47金⇒38飛車となった時に75歩から右辺で戦えるようにした手である。四間飛車側の38飛車からの開戦は結構コワイので、四間飛車側の56銀の弱点である角の頭を狙っておくのだ。なお、実戦では38金と指して、その形はなくなったので駒組は進む。
そして上部が完成した。ここから、33角と上がる形と、31角と引いて33桂馬と自分だけ桂馬を活用する形がある。本譜からずれるし、相手の形によって有効かどうかは違うので手順は割愛するが、53銀を左に使うなら33角、右に使うなら31角みたいなイメージで指すと良いのではないだろうか。
☆事件
と、ここまで解説、お手本のような(定跡をなぞっているだけなのだが)差し回しをしている中、事件が発生した。
65銀である。まあ、これだけならよくある筋である。浮いてる74歩を狙うというやつだ。いつもなら飛車浮きで受けられるはずなのだが…だが?
94歩が入ってないやん!
居飛車側の右の端歩は税金とも言われ、突けるときについておかないとこういうことがあるのだ。よくあるのは、86歩同歩同飛に15角で両取り、みたいなことだが、こういうこともある。(悪い例だ。)
なお、原因を対局後探していたら、あることを見つけた。
「参考にしていた棋書(四間飛車の急所1 藤井猛著 である)は、全部居飛車側が先手だった(今局の手番は後手)」
そっか…1手遅れてたね…
つまり、22玉と深く囲うほどの余裕はなかったようだ。
ここで94歩が正解。端歩には気を付けよう!
☆総括
さて、事件後は負けだったので、相手のミス待ちとなった。ので、まあ振り返りはここまでとする。最後にミスをした方が負けるゲームなので、まあしょうがないね。
さて、総括などをしようと思う。
①手番の錯誤
②実践の不足
③対局前まで、届いたばかりの「超訳 ケインズ「一般理論」」を読んでた
最近体調が悪かったし、そもそも四間飛車に出会わなかったので、①はともかく②は痛かった。
③については…まあ…目の前に読みたい本が出てきたら熱いうちに読まなくちゃね…
以上だ。ここまで長々した文章を読んでくれた人間の皆さま、おつかれサメ。
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