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なぜ1990年代のアニメ作品の原画を集めるのか

圧倒的に集めやすい1990年代作品の原画

 私は好きなアニメ作品の原画を気ままに集めていますが、作品の年代はかなり偏っています。具体的には、1990年代に放映されたアニメ作品がメインです。理由は簡単で、1990年代はセル画や原画などの中間制作物が比較的潤沢に市場に出回ったので、入手が簡単だったからです。
 アニメ原画の収集をこれから始めたい人には、1990年代のアニメ作品をおすすめしたいと思います。やはり収集を楽しむには、ある程度は数を揃えないと満足感は生まれせん。1990年代のアニメ作品であれば、比較的簡単に数を集めることができるので、収集が長続きしやすいでしょう。1990年代でも、セル画や原画を一切市場に出さない方針の制作会社もありました。作品によって、原画の入手難易度には大きな差があります。
 1990年代の代表的なアニメ作品としては、美少女戦士セーラームーン、スラムダンク、新世紀エヴァンゲリオン、名探偵コナン、ドラゴンボール、ポケットモンスター、金田一少年の事件簿、カードキャプターさくら、おジャ魔女どれみ、ワンピースなどがあります。熱心なアニメファンでなくても一度や二度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
 私は、セーラームーン、ドラゴンボール、ポケットモンスター、カードキャプターさくら、おジャ魔女どれみ、金田一少年の事件簿などの原画を数多く持っています。東映アニメーション制作の作品が多いのは、1990年代に同社がセル画や原画の販売に力を入れていたからです。その東映アニメーションも2000年頃を境に原画を出さなくなってしまいました。1999年にスタートしたおジャ魔女どれみシリーズも2年目からはなかなか入手できなくなり、2004年にスタートしたプリキュアシリーズに至っては、カットで揃った原画は一度も見たことがありません。

アニメ原画は「ヴィンテージ」と呼ばれる骨董品に

 骨董品の世界には、アンティークやヴィンテージなど歴史の長さを表現する言葉があります。厳密な定義はありませんが、アンティークは製造されてから100年以上のもの、ヴィンテージは製造させてから30年以上100年未満のものを指すことが多いようです。コインの世界でも、製造されてから100年以上経過するコインをアンティークコインと分類するディーラーが多い印象です。
 この基準を当てはめると、1992年に放送を開始した美少女戦士セーラームーンは今年で32年になりますから、ヴィンテージ作品であると表現しても特に違和感はありません。セーラームーンやドラゴンボールは、今でも地方局を中心によく再放送されています。今見ると時代を感じる懐かしい絵柄という印象は否めませんが、アニメ作品としての輝きは失われていません。1990年代にはこのような「名作」が多く誕生しました。
 1990年代の日本アニメは、最近放送されているアニメ作品に比べると、キャラクターデザインもシンプルで描かれる線も少な目でした。その分、当時の原画は少ない線で感情や動きを表現するためダイナミックに描かれているものも多く、ドローイング作品として見ても非常に味わいがあります。
 当時はアニメ制作の時間的余裕が今よりあったため、1つのカットは1人の原画マンが描き上げ、1話通して1人の作画監督が監修するのが当たり前でした。近年は過密な制作スケジュールを乗り切るため、第一原画と第二原画に分割したり、1話で複数の作画監督が分担して修正することが多く、原画を誰が描いたのかがわかりにくくなっています。
 アニメ制作現場のデジタル化が進めば、いずれは紙に鉛筆で描かれた原画も完全に姿を消すでしょう。今でこそ、ヤフーオークションなどで比較的簡単に購入できるアニメ原画ですが、アナログ時代の歴史的資料として、ヴィンテージという表現にふさわしい骨董品として扱われるようになると思われます。

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