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アンティークコイン投資が素晴らしい点

アンティークコイン投資を始めた経緯

 私はnoteでは「アニメ原画コレクター」という立場で書いていますが、YouTubeチャンネルや独自ドメインのブログは「アンティークコイン投資家」の立場で運用しています。アニメ原画のことばかり書いているので、アンティークコイン投資がうまくいってなくて、アニメ原画に乗り換えたいんじゃないかと思われてしまうかもしれません。しかしながら、アンティークコイン投資も拡大中ですし、投じた資金量はアンティークコインの方が圧倒的に上です。
 すでに自己紹介でも触れましたが、アンティークコイン投資を始めたことで、アニメ原画がコレクタブル資産に適していることに気づけました。もちろん、アンティークコインとアニメ原画では、資産としての性格や歴史的背景もまったく異なりますが、好きで集めている資産価値のあるモノ、という点では何ら違いはありません。とはいえ、アンティークコインには、アニメ原画にはない数々の魅力やメリットがあります。
 それまで資金の大半を株式で運用してきた私が、現物資産に資金を徐々にシフトしていくことを決めたのは2021年のことです。投資対象にする現物資産には、アンティークコインの他にも、現代アート、切手、ヴィンテージウォッチなどが候補に上がっていました。いずれも多少なり興味を持っていたモノばかりでしたが、私の性格や今後も成長性など様々な要素を総合的に判断して、まずはアンティークコインに対象を絞ることにしました。
 決め手になったのは、1980年代後半にアメリカで誕生したコインの鑑定制度が徐々に世界に普及して、コインの真贋や状態を可視化できるようになり、市場参加者がコインの価格に影響する重要な情報を共有できるようになったことでした。
 第三者鑑定機関に鑑定を受けたコインは、スラブと呼ばれる頑丈なプラスチックケースに密封されます。スラブは、いわばコインのグレーディングを示す保証書が一体化した保存用のケースになっていて、コインの専門知識に疎い投資家でも安心して購入できる環境が整いつつあります。コインに直接触れられないという不満はありますが、スラブに封入されることで封入時の状態が保持され、アンティークコインにほとんどメンテナンスは不要になったことも大きな利点です。
 アンティークコインは、プロでないと真贋の判定も難しく、熟練のコレクターだけが参加できるマニアックな世界でしたが、鑑定制度の登場で一気にコモディティ化が進み、投資家からの資金が大量に流入して活況を呈しています。世界でオークションが頻繁に開催され、その落札履歴はインターネットで簡単に照会できます。オークション履歴が事実上の「価値基準」として機能するため、特に理由がないのに価格が暴騰したり暴落するケースは稀です。
 アンティークコインに投資する魅力は、その価格の安定性と言えるかもしれません。特にレアコインは流動性が低く、価格が毎年必ず上がるとは限りません。しかし、10年や20年というスパンで見ると、年平均3%から5%くらい着実に上昇することが多いのです。大儲けは期待できないものの、価格が下がりにくいことから、長期保有を前提とした資産保全には非常に適したコレクタブル資産と言えるでしょう。

アンティークコイン投資にはメリットがいっぱい

 アンティークコイン収集を始めるには、事前に様々な知識や情報を習得する必要があります。その意味では、アニメ原画と比較すれば、参入障壁は高いと表現できます。アニメ原画であれば、原画とはどういうものかという基礎知識さえあれば、後は好きなアニメの中から将来、人気が高まりそうな作品を選べば、後は気に入った原画を自由に買っていけばいいだけです。しかし、アンティークコインは、収集対象にする国や年代によって必要な知識や情報の膨大な量になります。
 コインは年代、材質、種類によって価格帯が大きく異なります。私は、価格帯が比較的低めのイギリスの19世紀の銀貨に対象を絞っていますが、それでも希少性の高いコインを選ぶと、1枚数百万円から1000万円という価格帯になっています。もし、年代がさらに古い大型金貨を対象にしたいのなら、1枚1000万円から1億円という価格帯になってしまうでしょう。コインに関する知識が一定レベルまで達しないと、どのジャンルのコインがどれくらいの価格帯なのか、自分の資金量を照らし合わせて考えるとどんなコインを投資対象にすべきか、という基本的な戦略を立てることもできません。
 実は、私がアンティークコインに魅力を感じたのはこの点です。世界の歴史は学校で習うかもしれませんが、アンティークコインに関する知識は自主的に学ばないと得られません。スタート地点で個人差はほとんどなく、どれだけ知識習得に努力したかでアンティークコイン投資のスキルに差ができます。アンティークコイン投資は、努力したら努力した分だけ優位に立てる、努力が確実に報われる投資なのです。まあ、このあたりは他のコレクタブル資産、特にマニアックな収集品には共通している部分かもしれませんが。
 不純かもしれませんが、アンティークコインが知的な雰囲気を醸し出している点も魅力でした。私は長らく株式投資を続けてきていて、幸いなことにそれなりの利益を上げてきました。株式投資で儲かったと誰かに自慢したところで、「たまたま運がよかっただけのことだろ」と思われてしまうのがオチです。実際、私が儲けられたのは偶然の要素が大きかったと自分でも思っています。しかし、アンティークコイン投資で儲けたと言えば、周囲から知的だと一目置かれるに違いありません。なんせ一般の人にはまったく想像もつかない世界なのですから。
 アンティークコイン投資を開始してから約3年間経過しました。これまでアンティークコインでどれだけ儲けたのか、それが気になる人も多いでしょう。しかし、それに対する答えは「今のところ儲けはゼロです」。アンティークコイン投資は、長期保有が大前提です。私は10年保有が一つの目安だと考えていますが、いずれにしても、これまで購入したコインは今もずっと保有したままで、しばらく売る気はまったくありません。結果は10年後、あるいは20年、30年後のお楽しみと言ったところでしょうか。
 このような話をすると、短期間でキャピタルゲインを得たい人はガッカリされるかもしれません。でも、コレクタブル投資とは、たまにコレクションの入れ替えはするにしても、基本的に集め続けるものだと思っています。もちろん、数年先に利益確定するという方針でコレクタブル投資を行っている人もいるでしょうから、あくまでも私個人の方針にすぎないのですが。
 いつ頃に換金したいかを含め、柔軟に投資戦略を立てられるのもコレクタブル資産のいいところではないでしょうか。コレクタブル資産に分類されるモノは、何かのきっかけで大化けする可能性も秘めています。長期保有すればするほど、そのチャンスも増えるでしょう。アンティークコインにしても、アニメ原画にしても、わずか数年先に市場環境が激変することもあり得ます。
 投資の際には出口戦略を考えて始めよ、とよく言われますが、私は特に出口戦略は考えていません。10年後、20年後、どんな市場になっているのか想像もつかないのに、10年後にどこでいくらで売りたい、と今から考えてもあまり意味がないと思うからです。そんなことより、今入手できるモノを集めて楽しむことに集中したい。その体験こそ、コレクタブル投資で得られる最大のバリューではないでしょうか。

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