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本当にアニメ原画は将来価値が出るのか?

アニメ原画に歴史的価値はあるのか

 私がアニメ原画を投資目的で買っていると言っても、おそらく大半の人は信じないと思います。それほど、アニメ原画の見た目は「資産」からは程遠いイメージしかありません。あくまでもアニメオタクの無駄遣いにしか見えないでしょう。しかし、世の中には趣味で集められていて、それなりの資産価値がある「コレクタブル資産」が数多く存在します。
 人気テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」に登場するモノには、すべて値段が付きます。(ニセモノの場合は、数千円の値段がついても実質的には無価値だと思いますが。)値段が付くということは、それを買いたいという需要が少なからず存在するということです。もちろん、値段が付いたからといって、その値段で売却できるわけではありません。マニアックな収集品ほど流動性は低く、それを買ってくれる人を見つけるのは大変です。コレクタブル資産として投資対象になるかどうかは、どれだけの流動性があるかで決まると言ってもいいでしょう。
 モノは基本的に古くなると歴史的価値というか、骨董品としての価値が出ます。たとえば、明治時代の古本であれば、その本が当時まったく人気がない誰も知らない作家の本であったとしても、明治時代の古本というだけでそれなりの値段がついたりします。
 では、アニメ原画についても、将来は骨董品的な価値が出るのでしょうか。正直、どのくらいの価値が出るのかは誰にもわかりません。どんなコレクタブル資産であれ、価格は需要と供給のバランスで決まります。時間の経過とともに廃棄されたり、破れたりして現存数は減っていく一方ですから、供給が減ることは間違いありませんが、いくら供給が減ったところで、それを欲しいと思う人の需要が発生しないと価格は上がりません。

好きだから集める、価値があると信じるから集める

 アニメ原画は趣味で集めるものであり、同じものが二つと存在しない「一点モノ」です。実際に売買される価格は、売り手の主観で設定されることが多く、誰もが納得する適正価格や相場というものは存在しません。他の美術品や骨董品同様、人気が高いモノはオークションで取引されます。アニメ関連のコレクターズアイテム専門のオークションとしては、まんだらけが運営するオークションが一番有名です。まんだらけオークションは、落札された場合に出品者に課せられる手数料が30%、落札者に課せられる手数料が10%に設定されているにもかかわらず、毎回大盛況です。
 アニメの原画の中で、桁違いの価格で取引されているのが、宮崎駿さん直筆のレイアウトやラフ原画です。たとえば、2024年1月6日に開催されたまんだらけの大オークションでは、「魔女の宅急便」のラフ原画(12枚)が1510万円、「となりのトトロ」のレイアウト(1枚)が1330万円を筆頭に、テレビシリーズ「アルプスの少女ハイジ」のレイアウト(1枚)が730万円、「赤毛のアン」のレイアウト(1枚)が570万円など軒並み高値で落札されています。
 言うまでもなく、宮崎さんの直筆原画は別格です。有名なアニメーターが描いた人気作品のハイライトシーンの原画であっても、1カット100万円を超える原画は稀です。私は将来有望と判断した人気作品の原画に絞って購入していますが、価格帯は1カットあたり数千円からせいぜい10万円までです。当然ながら、今数万円で購入できるアニメ原画は、何十年経っても宮崎さんの直筆原画のような価格にはならないでしょう。
 そもそも、一般的なアニメ原画が現時点で数千円から数万円で購入できるのは、アニメ原画に資産価値があると思っている人が少ないことを示しています。大半の人は、アニメ原画を持っていても将来はタダ同然でしか売却できないと認識しているのです。実際はそうなのかもしれません。仮にアニメ原画を購入して20年後、30年後に売りに出したとしても、買い手がまったく現れない可能性もあります。
 収集品というものは、本来は「純粋に好きだから集める」のが王道です。しかし、集めるモノに価値があると思えないと、それにお金をつぎ込むモチベーションは生まれません。美術品コレクターが「この作品には価値がある」と思って集めているように、私もアニメ原画には価値があると思っているから集めているのです。実際に価値が出るのかどうか、それは時間が経過してみないとわかりませんが。

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