「視界の支配」

何が見えるかは視界の取り方に決定的に依存する。

数ある経営論の中でも僕が気に入っている三品和弘の『戦略不全の因果』の一節だ。『戦略不全の論理』との連作となっていて、商売に関わる人であれば思考の友になること請け合いである。彼は「事業立地」という超長期的な視界を用いて戦略不全の因果を紐解いた。

「事業立地」という視界を明瞭にしてくれた人がもう一人いる。人類学者の中沢新一だ。彼は「アースダイバー」という言葉をつくり、土に潜ることで人の営みの因果を紐解いた。「言葉をつくる」ということはとても創造的な営為だとつくづく思う。土の積層という着眼をもとに縄文時代まで遡って現代までの土地形成プロセスを繋ぎ合わせると見えてくるもの。そのプロセスがアースダイビングだ。

実は僕をアースダイバーにしたのはTSUTAYA創業者の増田さんだ。彼が代官山のTSUTAYAをつくる時に参考にしたのが中沢さんの『アースダイバー』だったと知って興味をもった。最初に『アースダイバー』を読み始めたが東京の土地観が無い僕にはイマイチしっくりこない。『大阪アースダイバー』という大阪版があると知って読むとめっちゃおもろい。何気なく見てきた街の見え方がほんまに変わってまうねん。

歩こう。僕たちは土と共に生きている。歩けば土地の起伏や形状がわかる。そしてその水面から潜っていく。再び水上に戻った時には新たな世界が広がっているはずだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?