サイマル放送のこと


サイマル放送とは

選挙特番などのラジオ番組を聴いていると、「この放送はテレビとラジオとのサイマル放送でお送りしています」みたいな言葉を挟みつつ放送が進む番組があります。
その言葉を聞かれた時、「サイマル放送」の意味を知らなくても「ふーん、そうなんだ。たぶん今、テレビとラジオで同じ音声が流れているのかなー」と思いながらラジオを聴かれたことがあるかもしれません。もしくは、テレビ放送を観られたことがあるかもしれません。

「サイマル放送」というのは「同時並行放送」のことで、ある放送局が同時に、同じモノ(映像データや音声データ)を、違う媒体で流す放送のことです。
例えば、「テレビとラジオとのサイマル放送」の場合は
テレビ:映像+音声データで伝える
ラジオ:テレビと全く同じ音声データで伝える
ということになります。

今回説明するのはテレビとラジオですが、地上アナログテレビ放送と衛生放送(BS放送)で同時放送するというようなサイマル放送もあります。
NHKの1チャンネルとNHK−BSの1チャンネル、どちらも同じ放送をしていることがありますがこういう場合もサイマル放送です。


サイマル放送は、テレビで観ると違和感があるかも

テレビとラジオのサイマル放送の場合、テレビで視聴している方はちょっと違和感を抱くかもしれません。
テレビの映像を見れば言われなくてもわかる情報を、いつも以上にやたらと読み上げていたり、人の動きや表情を細かく実況していたりするからです。

アナウンサーの方的には、「この放送はテレビとラジオのサイマル放送なのだ」という認識で喋っているからそうなってしまうのです。
音声データだけが頼りのラジオ聴取者の方々に伝わるようにとラジオ用の喋りにするとテレビ的には説明過多に、テレビ用の喋りにするとラジオ的には説明不足に。
放送を聴いて(観て)いると、なかなかバランスが難しそうです。


サイマル放送のメリット その1

テレビとラジオのサイマル放送をすることのメリットとしては、人件費の削減が考えられます。
例えば選挙特番を行うとします。
サイマル放送の場合は担当アナウンサーは1名。しかしサイマル放送を行わない場合はテレビとラジオそれぞれ1名ずつ、計2名のアナウンサーの配置が必要になります。

特に地方局では選挙番組に対応できるベテランなアナウンサーがあまり在籍していない場合もあります。
そんな時、1人のアナウンサーだけでテレビとラジオの両方をカバーできるとありがたいですよね。
しかも選挙速報番組なんかは日曜の夜などに放送されます。
人の配置的に日曜の夜にアナウンサーを何人も配置してしまうと、翌日の放送にさしつかえたりと色々と不都合なこともありそうです。


サイマル放送のメリット その2

またサイマル放送にするとテレビとラジオで全く同じ音声の放送となるので、局としてはテレビとラジオで情報に全く差のない公平な放送ができるというメリットもあるかと思います。
そういうわけで、サイマル放送はラテ兼営(ラジオもテレビも放送している)放送局の選挙特番などでよく行われているイメージがあります。

サイマル放送を担当するアナウンサーは色々と気遣うことが多そうだし、責任重大で大変そうだなとは思いますが、その局のエースとして認められたということで名誉なことなのかもしれないですね。

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