泥人魚

宮沢りえが唐十郎の『泥人魚』を演じる、と知ったときにはすでにチケット発売中で、ほぼ選択の余地なく土曜日のマチネ公演のA席を入手。

会場はシアターコクーン。芝居小屋と呼ぶにはあまりにも大きくて小ぎれい。ここで唐十郎やるの? と思ったけれど、そもそも宮沢りえ×森田剛x唐十郎×蜷川幸雄の『ビニールの城』(2016年)が、シアターコクーンじゃんね。その後も『唐版 風の又三郎』やってるし。つまり問題なし。

唐十郎そのものを商業演劇で観るのは初めてだったので(高校や大学の演劇部が演じたものは観ている)、金守珍演出(新宿梁山泊は割と好き)の安心感もあって、でも一応予習しておこうと思って、台本は読んだ。買おうとしたら絶版だったから図書館で取り寄せた。

台本読んだ感想は、「わからなすぎる。」だった。アングラってそういうものだとは思うのだけれど、私がアングラ演劇にどっぷりつかっていたのはもう30年近く前。台本の読み方からして忘れているような気がするし、唐十郎の本ってこんなにわからないものなのか?え??ってなったっけ。

で、当日。

シュっとしたシアターコクーンのほぼ天井席に着いてみると、まわりのお客さんもシュっとした小ぎれいな人たちばかり。ここ笑うところだよね?ってところでも周囲は微動だにせずかしこまっている。ん-。居心地悪い。

台本を読んであったからわかっていたけれど、宮沢りえがなかなか出てこないのが問題だったのかな。1幕目なんて最後にちょっと出ただけ。舞台経験の浅い主役(磯村勇斗)が長台詞をがんばっているのを応援するファンなら楽しめたのかな。風間杜夫や六平直政、岡田義徳らの名演技があるのに、愛希れいかが10cm以上あるんじゃないかというピンヒールでくるくる動き回って怪演しているのに、どうして楽しめなかったのかわからない。

予習までして行ったのは気負い過ぎだったのか、もっとフラットに楽しめたら良かったのか。

2003年4月初演だから、当時だったらもっと楽しめたのかな。そして諫早湾干拓事業はいまだに決着ついていない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?