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お金がなくても幸せを感じて驚いた話

日本最大の観光ガイドエージェンシー『Japan Guide Agency』を運営する、JGA株式会社 代表の藤原です。JGAでは「あらゆる体験をすべての人に」をパーパス(目的・存在意義)に掲げ、全国で訪日外国人向けプライベートガイドツアーを催行しています。

令和6年能登半島地震で被災された皆さまにお見舞い申し上げます。


お金も夢も目標もなくしてどん底にいたはずなのに、なぜか幸せを感じている自分に気づいて驚いた話です。

幸せになるためにお金を追い求めたのに、お金をなくしてはじめて幸せになった

今から約10年前の30歳のころ、サラリーマンをやめて独立しました。独立した動機は、自分も経営者として大きく成功してみたかったからです。

※当時勤務していた都内インターネット企業では経営者によく可愛がってもらい、待遇も十分なものでした。今でも前職企業には感謝しています。

独立したて、自信満々、夢いっぱいの30歳

独立して経営者となった僕は収入や財産、社会的ステータスといった世間的な成功を追い求めました。お金や社会的ステータスこそが幸福の尺度であり、それらを追い求めることで幸福になれると信じていました。逆にいえば、お金や社会的ステータスがなければ幸せにはなれないと考えていました。

あたらないサービス、枯渇する資金

会社を起ち上げた僕は規模拡大こそが至上命題と考え、売上・利益・社員数を伸ばすために日夜ハードワークを重ねました。

まずは当時流行っていた農場ゲームになぞらえ、日本中の農場・牧場と連携したECゲームアプリを開発しました。アプリ内には実在する農場が再現され、ユーザーは育成係としてアプリ内で農作物や動物のお世話します。がんばって育成がうまくいけば、各農場で販売されている実際の商品(お米やミルクなど)が格安で購入できるというサービスでした。

リアルとバーチャルを融合させた画期的なサービスを当時、自信満々でリリースしたことを思い出します。

結果は惨敗でした。

アプリはまったくダウンロードされず、使われず、商品も売れることなく、サービス自体を半年ほどでクローズすることになりました。

次に観光情報サービスをリリースします。
全国の農場をまわった経験から日本の地域がもつ魅力にふれたことで、コンテンツとしての日本のポテンシャルを感じていました。

結果は惨敗でした。(2回目)

検索エンジン対策などをがんばり、そこそこの人たちに見てもらえるようになりましたが、収益化の流れをしっかりとつくりあげることができず、継続的にサービス運営ができる体制を構築することができませんでした。

その後も全国の地域と連携しながら、地域視察ツアーや研修、物産品の販売事業などを矢継ぎ早に手掛けていきました。

しかし、結果はどれも惨敗でした。(3回目、4回目、5回目・・・カウント不能)

成功を求めて試行錯誤を繰り返すうちに、サラリーマン時代の貯蓄は底をつきました。独立した当初の自信は砕け、次に何をすべきかもわからず、自分を見失っていました。自分を過信し、事業ともいえないサービスを好き勝手に乱発した結果、社員全員を解雇せざるを得なくなります。当時の社員皆さんには今でも大変申し訳なく思っています。

相次ぐ事業失敗のどん底で救いの手

独立して2年半が経つ頃、相次ぐ事業失敗ですべてを失った僕はひとりぼっちでどんづまっていました。自分がまちがっていること、何かを変えなくてはいけないことはわかっていましたが、何をすべきかがまったく見えませんでした。自分ではどうしていいかわからず、現状を打開する糸口すら見つけられませんでした。

そうした折、どんづまりの現状を、全国をまわる中で知り合った高知四万十のSさんに相談しました。僕の話を静かに聞いたあと、いつもは冗談を飛ばすSさんが真面目な顔でいいました。

「いっせー、四万十にこい。お前はぜんぜんダメだ。何もわかってない。でも、四万十にきたらちょっとはましになるかもしれない。このまま東京にいてもお前はダメなままだ。」

Sさんが僕の話を聞いてどう思ったのかはわかりません。でもこの言葉は僕にとって蜘蛛の糸のように思えました。信頼するSさんが、四万十にこい、というのなら、行ってみようと思いました。というか、当時の僕にそれ以外の選択肢は残されていませんでした。

すべてを失い 高知・四万十へ流れ着く

Sさんから誘ってもらった僕はすぐさま東京の部屋を引き払い、バックパックひとつで四万十へ向かいました。お金がなかったので、東京駅から松山駅までは深夜バスで向かいました。

一晩中バスに揺られること13時間、松山から宇和島まで特急で2時間、乗り換え接続に1時間半かかり、宇和島から予土線で1時間かかってようやく四万十へと辿りつきました。

This is 四万十風景

四万十では、Sさんの家の敷地内の離れで居候をさせてもらいました。Sさんからまかされた仕事は朝晩の掃除と愛犬ロッキーのエサやりと散歩のみ。それ以外の時間はやることもなく、薪割りをしたり、田んぼの手伝いをしたり、地域の人たちの営みを見せてもらいながら過ごしました。

Sさんの愛犬ロッキー
お風呂も台所も暖房も熱源はすべて薪
薪がなくっちゃはじまらない!初めての薪割り

離れの熱源はすべて薪だったため、はじめて薪割りをしました。賃金が発生しない、暮らしていくための労働というものをはじめて経験しました。

高知・四万十での充実した毎日

四万十では、日々さまざまな暮らし体験をさせてもらいました。
Sさんの田んぼをお手伝いしたり、四万十川で鮎の獲りかたを教わったり、近所のおばあちゃんと一緒にきのこや山菜採りをしたり。しいの実や蜂の子を食べたのもはじめてでした。

お金はありませんでしたが、農作業をお手伝いしてお米や野菜のお裾分けをいただいたり、猪鹿の猟を手伝って分け前をいただいたりで、食べるものには困りませんでした。また山の木から薪や炭をつくる方法を教えてもらったのでエネルギーの大部分も自給自足することができました。

無農薬田んぼのお手伝い、真夏の草とり
四万十の鮎ゲット~
秋はきのこ狩り、春は山菜採り
蜂の子を炒っておやつにする
猪鹿の猟にもよく連れてってもらいました
おじいちゃんたちに炭焼きを教えてもらいました
お米とれたどー!

夏は四万十川で鮎をとり、冬は薪や炭をつくり、夜は本を読んでBBQをする。呼ばれれば農作業を手伝い、猪鹿の解体を手伝い、ときどき道の駅や四万十市のおしごとをいただいたりして現金収入を得ながら、気づけば東京から四万十へやってきて3年ほどが経っていました。

お金はない、夢や目標もない、明日の予定もない、家族もいない。
収入や財産、社会的ステータス。独立したころに思い描いた、幸せになるための必要条件は何ひとつ満たしていませんでしたが、なぜか四万十での日々は充実したものでした。

幸せを感じている自分に気づいて衝撃をうける

それはいつものように四万十川の支流にあるお気に入りスポットで足を川に浸しながら本を読んでいるときでした。ふいに、四万十で何ももたない自分が幸福を感じていることに気づいたのです。

突然の出来事に、え!!なんで!?と衝撃をうけました。
幸福の条件である(と自身が信じていた)収入も財産も、社会的ステータスも有していない自分がなぜいま幸福を感じているんだ!?と驚いてしまいました。

幸福な自分に突然気づいて思わずパシャリ📸

世間的な成功と自身の幸福度に相関性はありません。
多くの皆さんには自明のことでしょうが、僕は四万十での日々をつうじて突然(というかようやく?)それを肚の底から理解することができました。

世間的な成功を得ずとも私たちは幸福になれます。反対に、世間的な成功を得ても私たちが幸せになれるとは限りません。自分の幸せを決められるのは自分だけなのです。

30代のうちにそれに気づけた僕は幸運だったといえます。あらためてSさんをはじめ高知・四万十で僕にかかわってくれたすべての人に心から御礼申し上げたいと思います。どうしようもない僕を拾ってくれて、かまってくれて、本当にありがとうございました。

自分の幸せをきめるのは自分

その後紆余曲折を経て、いまは生まれ故郷の静岡で訪日外国人向けガイドツアーを全国で催行しています。おかげさまでサービスは順調に成長しています。しかし弊社が今後、売上や利益、社員数などあらゆる指標で規模拡大を目的にすることは未来永劫ありません。幸福になるためには世間的な成功も、誰かの承認も必要ないことを知っているからです。

スタッフみんなとJGAポーズ!

僕たちはこれからも他人のモノサシを気にすることなく自分たちがおもしろいと思えることに集中していきます。今を楽しみ、今日を楽しみ、眼の前のことに集中するなかで、日常の大いなる幸せに日々感謝したいと思います。

以上、自分にとっての幸せをふいに理解してほんとうに驚いた話でした。


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Japan Guide Agency
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『Japan Guide Agency』は、約750名の通訳案内士が登録する日本最大の観光ガイドエージェンシーです。​地元ガイドにこだわり、全国47都道府県で月間1,500本を超えるプライベートガイドツアーを催行しています。

Japan Guide Agencyでは現在、全国・地域通訳案内士の皆さまのガイド登録を受付中です。ぜひ急増する訪日外国人の皆さまを一緒にお迎えしませんか?

社名:JGA株式会社
静岡県知事登録旅行業 第2-706号
本社:静岡県静岡市清水区江尻東2-67-3
設立:2013年
​資本金:1,000万円
代表取締役:藤原 一成

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