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2019振り返り。備忘。

2019を振り返る。
備忘はネット上に残しておいたほうが、後で見返す気がして。

◯好きなものー言葉と、身体と、空間と
2月の裏参道フェスで、いろんなアーティストをゲストに呼んだ。
好きなひとばかり。歌、踊り、能、ジャグリング、落語、紙芝居、即興演奏、造形作家によるワークショップ……
ゲストに共通したのは、それぞれの中で自分のオリジナルのジャンルを確立している、ということだった。
「演劇をやっているんだ」、ということに囚われずに、本質的に心惹かれるものに向き合っていいのだ、と心押されるきっかけとなったのが裏フェス。
言葉と、身体と、空間が好きだ。そこにある、複雑性が好きなのだと思う。
このフェスにはたくさんの人が関わってくれた(とくに若宮さん、蓮井さん、みとりん、佐久間さん、Qちゃんやアイダくん、れいれい、感謝です。ほんとに。)
そして、このタイミングでmizhenのこれまで制作を一緒に走ってくれたT氏と、別々の道を歩むことになった。mizhen初期は、彼女なしには継続が難しかった。ほんとに、たくさん支えてくれた。結果、ここまでが、mizhenの第一章、という感じに。裏参道フェス『おわりと、』というタイトルが、あらゆる意味でその後を物語っていたようで不思議。

◯小町花伝、戯曲、演出の気づき
4月に、吉祥寺シアターのオフィス上の空さんの企画で、
『小町花伝』を上演。
2月中旬まで本番があった直後に書くスケジュールや、稽古スケジュール、もろもろ考えて短編じゃないと無理だ、と判断し、
短編4つからなるひとつの作品を作った。
そんな消極的なきっかけのわりに、これまでの中で一番、書くのに苦労しなかった。〈小町〉と自分が近かったのかもしれないし、短編が向いているからかもしれない。
具象美術は敬遠していたけど、具象の美術空間を、身体把握でどう短編4つでそれぞれ変化させるか、というのを試したら、案外具象も楽しいもんだな、と思えた。
この公演がきっかけで、ひょんなことから安田登さんにお声かけいただき
10月に能楽堂で再演をすることに。
『小町花伝』能楽堂公演は、『卒都婆小町』朗読と対談、落語、など、も合わせて番組に組まれ、日本の芸能祭りか!という企画に。そして能楽堂という空間のハードルの高さを思い知る。空間が、強い。でも、だから、面白い!ここでみんなで試行錯誤した演出は、自分が一番やりたかったことだという発見があった。何もない空間、人の身体だけで、その場所を、時間を、変化させること。
小野寺ずる氏の一人芝居を5月にやったのだけど、そのとき、冒頭の無言のシーン(でも発話はある)が一番好きだった。身体と言葉の関係について2020年はこのあたりのことももうちょっと試したい。

◯スナックで場作り
4月の小町花伝のばたばたしているタイミングで、
『スナックを週一で活用しませんか』というツイートを見つける。
ピンと来てしまい、即DMを送り、翌々日に山本遼さんと会う。
常々、身体表現に興味ある人口よ増えろ〜と思っていた。
スナックを言い訳に来てもらい、身体表現にまつわるものと接点をつくれば、興味を持つ人を増やしていけるのでは?と
ゲストを呼んだり自分たちがパフォーマンスをするスナックを毎週木曜にオープン。名前は「みずとひ」に。高校生の友人、Wちゃんがつけてくれた。
私は人と遊ぶのが得意ではない。仲のいい友人でも、年に1回飲めば多い方、基本的に一人でふらっと飲みにいくのが好き、だったこれまで。定期的に顔を突き合わせるといえば創作仲間くらいだったけれど、スナックの他の曜日のオーナー、うどん研究家、デザイナー、不動産、ライター、臨床心理士、いろんな仕事をしている人たちと定期的に交流する機会が増え、ひとつのスナックなので〈共同している〉という感覚もあり、人と人のつながりから、作品やパフォーマーと観客の関係性、場づくりについて考えることが多かった。
お客さんが、ゲストで呼んだアーティストの舞台を見に行ったり、「舞台は普段見ないけど見たくなった」と言ってくれたりして、いちいち泣きそうになる。あと、mizhenの3人、幸子、蕗子、藤原のバランスは、こういう場作りに向いているのかも。

◯企業と、演劇
OMソーラーさんの経営者会議で演劇を創作。
仕事の途中で、企業側のプロモーションではなく、演劇で、企業と、地域工務店との〈間〉に触発を産むのが仕事だ、ということに気づいたのが大きかった。クリエーションでも、演出→俳優の一方向ではなく、共同していくために、〈間〉を考えるというキーワードを思っていたところで、繋がった。
アーティストが社会と関わっていくとき、教育や福祉の現場に赴く事例はよくあるけれど、こうした企業との接点を作ることは少ない。特に演劇。だから、これからの可能性を感じている。こればっかになると本業なんやねん、となるけどね、でも、とても重要な接点だと思う。
昨年、uni’queの若宮さんとアートとビジネスを混ぜるという実験をやっていたけど、そこで学んだことが、じわじわ今年に活きている気がした。
市原えつこさんが言ってた「アーティストの清貧思想を撲滅したい」という言葉を時折思い出す。お金はいつから汚いものになったのか。調べたい。

◯シンガポールで、ワークショップ
『地域の物語2020』のファシリテーターに。
世田谷パブリックシアターで働き始めたときから大好きな企画だったので、念願叶って、というお仕事。プレワークショップのためにシンガポールへ。
英語が自由に話せないもどかしさを感じた。日本語思考と英語思考のちがいをワークショップ中に何度も気付き、もっと比較できると面白いのに……と、モヤモヤ帰国。移民が4割のシンガポール。これまで日本でしか活動していなかったけど、これからの日本を考えると、もうちょっと視座を広くしていたいな、と思った。アジアで活動している他のアーティスを見ながら単純にええなあ、と思っていたけど、ようやくほんとに日本以外の活動への欲求が生まれてきた。

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越えたり、変化したり、交じることで気づいたり、
発見の多い2019だった。
2018、2019とクラウドファンディングを2回もやり、
次のステップへの挑戦を応援してくれた人がたくさんいたからだな、としみじみと思う。
mizhenとしては、ある方向転換をした年でもあった。
藤原がやりたいこと=mizhenでやりたいことにしていたせいで、
色々不具合が起こっていたことに、気付き、
裏参道フェスを終えて、小町花伝をやるにあたり、
「個人の活動と、mizhenとを分けよう」と閃いたのだ。
そして、mizhenとしては劇場公演はもうやりません、という宣言をした。mizhenは、【佐藤幸子と佐藤蕗子と藤原3人の良さを存分に出してアウトプットしていく】チームだ、と捉えた方が、もっとしなやかに、おもろい方に転がる気がしたから。「演劇」というワードに3人ともピンと来てないわけだし、演劇なのか名前はよく分からないけど、歌ったり語ったりしながら、ぴょんぴょんいろんなところを飛び回るチームのほうが、mizhenらしいと思う。
それは、スナックをやりながら、改めて確信したこと。

今年が変化拡張の年だったので、2020年は、深掘りの年にしたいな。
mizhenの活動をより色濃く、
そして、これから創りたい舞台作品のために、仲間を見つけていく年に。

メモ)拡張する身体や、時間や空間が伸縮することに興味があるので身体身体とか唄や旋律や言うてるけど、絵本・マスク・人形、オブジェクトを使った表現にも惹かれるのはどうしてなのか。多次元化?多層性?

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