大学受験をどのように突破するか? 戦略的高校生活の送り方

かの有名なスティーブ・ジョブズは現在日常生活で関わっている5名の平均があなた自身であるという言葉を言ったそうだ。いわゆる「進学校」の学生はこの時点で格段に有利である。日常生活の中で受験に対して「意識」と「能力」の高い母集団で過ごしているから、自分も自然と意識と能力が生まれてくる。

組織が個人を作り、個人が組織を作る。どういった人と関わるはとても重要である。部活動で強豪校が強いのは一人ひとりが強いだけではなく、組織としても強いからに他ならない。では、必ずしも強豪校や進学校でない人が大きな「結果」を出すためにはどうしたらいいだろうか。ここでは勉強に絞って考えてみたい。

母集団の質が低いなら、自分も意図的に質の高い集団に入る。そうすると自然と自分も頑張れる。私はかつて駿台予備学校お茶の水校という予備校に通っていたことがある。今から15年近く前のことだ。そこの東大文系スーパーコースというクラスに在籍していた。しかも最も上のクラス、確かLAと呼ばれていた。たまたま入学した時のテストの点数が良くて配属されたが、そこの周囲の学生のレベルが半端なく高かった。麻布、ラサール、開成、日比谷などいわゆる超進学校の生徒がゴロゴロいた。たまたま隣の席になった海城高校出身のS君は「どうしても東大文科1類だけはA判定にならないんだ。一橋はA判定なんだけど」そんな会話であった。

目指しているレベルがとても高く、自分の不勉強を後悔し恥ずかしくなった。様々な学生の会話を聞いていると、あることに気がついた。英語と数学の力が圧倒的なのだ。社会や国語に関しては進学校だろうが、普通の学校でも授業で扱う内容に大差がないと当時の私は感じていた。「アラム人とアムル人は間違えちゃうよな」「コロンブスはイタリア人なの?」など教科書レベル知識の会話が出てきて私も安心していた。だが、数学と英語になると会話のレベルが高くてついていけなかった。現在もその会話の内容は思い出せないが、レベルの高い話であった。つまり、英語と数学に関してはとてつもない大きな差があるのだ。


では、どうしたらいいのか。方法は二つある。一つは英語と数学を徹底的に勉強する。だが、これはとてつもなく険しい道のりである。高校2年であと1年というタイムリミットの中で「克服」は不可能に近い。正直、高校入学時点でのスタートダッシュが勝負を決めると言っても過言ではない。それが、英語と数学である。首都圏超進学校の連中は中学受験という荒波を乗り越えて、進学校に入学しているのだ。野球を幼少期からプロの人からコーチングを受けながら、やってきた高校球児と、中学から始めた高校球児では「差」が着くのは当然である。週2時間のコマ数を増やして対応できるレベルではない。数学の克服というのはかなり深刻な課題なのである。学校の教育活動だけでは限界だ。苦手な人は義務教育の範囲を復習して基礎を固めることである。そして分からないところは個別に徹底して学校の先生を「利用」して欲しい。得意な人はどんどん先に進めて数学Ⅲを高校2年生までに一旦終わらせてもらいたい。先取りをすることで、自分の得意分野と苦手分野を全体像から俯瞰して眺めることができる。受験勉強で大切なのは、全体をできるだけ早く終わらせ、復習や演習に時間を割いて実践力を高めることである。

もう一つは一般入試以外で勝負することだ。方法はいくつかあるが、AO入試や推薦入試である。特に小論文と面接で合否を決める学校を最初から焦点を絞って狙ってみるのはどうだろうか。日本の学校教育の場で諸外国に比べて圧倒的に足りないことは何だろうか。これは大学教育についても言えることだが、文章を読んで書く機会が圧倒的に少ない。これは進学校についても言えることだ。参考書は持っているけど、新書は持っていない。ここに進学校でない学生の「逆転」の可能性がある。新書を読んで、感想文を書きまくる。そして、同じ本を読んだ人と議論を重ねる。さらに書く。その繰り返しだ。文章を書く力を中高生のうちに身につけたら将来が楽しみだ。受験合格だけでなく、その後の生活も・・。これから、文章に対するディスカッションを重視した授業を行いたい。文章を読んで友と議論してさらに考えを深めて文章を書く。高校生でも鍛えれば、大学生の卒論並みに論文は書けるのではないだろうか。


上記で指摘した二つの共通点は何だろうか。それは自分で勉強をしていくことの重要性である。私はこれを独学力と呼んでいるが、この力を高校時代に何としても身につけてもらいたい。独学力は一生モノのスキルである。独学する上で、重要なことはモチベーションの管理である。学びたい当事者自身に「これを勉強したい」という明確な思いがなければ、何事も始まらない。自分で〜したいという思い。人からやらされる学びは一時的なもので、その後やらないと結局身につかない。だから、自分が学びたいという気持ちは何よりも大切である。自分が学びたいことが明確化したら、その学びたい人が集まっている集団を見つけて一緒に勉強することだ。学びの刺激に最も影響するのは人である。最初に書いたが、どんな「母集団」に所属するかでその人は決まる。オンラインサロンは現在の社会ニーズに適した学びの場である。受験合格だけを目指すのではなく、生涯にわたって活躍できる学びの楽しさを実感できる人材を育成したい。


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