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私がスタメンでいいのか、とずっと思ってた/内尾聡菜①

自分に自信を持つこと。
それは誰にとっても簡単ではありません。
努力して掴んだ自分の成果でも、
周りが偉大であればあるほど、
その葛藤を払しょくするのは大変です。

ここ数年、富士通レッドウェーブ不動の
スターティングメンバーとして活躍してきた
#25内尾聡菜選手(コートネーム:キラ)。

粘り強いディフェンスと、ハイアーチなシュート、
素早い反応を武器とする、レッドウェーブの
バスケットに欠かせない存在です。

でも本人は、ずっと「このメンバーの中で、
自分がスタメンで良いのか」
と、迷いを抱えてきました。

誰でも入れるわけじゃないから挑戦したい

内尾選手が、バスケットボールを始めたのは
小学校4年生の時。元々背が高かったのと、足も速く、
友達に誘われて地元のチームに入りました。

小学校で辞めようと思っていたバスケ。
でも、誘ってくれた友達が「中学校も一緒にやろう」と
言ってくれたのもあり、中学でも継続。
先生の勧めもあって、高校は福岡県の強豪、
福岡大学附属若葉高校へ進学します。

バスケが盛んな福岡。そこで、常に3本の指に入る
強豪校でセンターとして活躍した内尾選手。
高校2年生の時には、何度か練習試合をしていた
富士通から声がかかりました。

最初は「卒業後バスケを続ける気はないから」と
断っていた内尾選手ですが、気持ちに変化があったのです。
「私が月バス(※1)で見ていた人たちがたくさんいて、親孝行になるかなって(笑)。到底、私が通用するレベルじゃないのは分かっていましたが、誰でも入れるわけじゃない。誘っていただいたからには挑戦してみたいなと思ったんです」

学びと挫折の日々を乗り越えて

人見知りな性格もあり、チームに打ち解けるまで
時間がかかったという内尾選手。社会人1年目は
「全く歯が立たず、何も通用しなかった」初年度でした。

「高校までセンターで点を取るのが仕事でしたが、ポジションが3番(スモールフォワード)に変わりました。スリーポイントを打ったこともないし、ドライブもしたことなくて、全てが一からの挑戦。学びと挫折の日々でした」。

それでも、必死にくらいつくこと2年。
大きなチャンスがやってきます。
ヘッドコーチが変わり、チームが再スタート。
2年目までほぼ試合に出られなかったのを
切り替えて、猛アピールした内尾選手。
その時から、すごくバスケが楽しくなって。ちょっとでも試合に出たい、2年間を無駄にしたくない気持ちで、自分の色々なところを見せて頑張りました」

そして、BTテーブスHCに評価された内尾選手は、
開幕スタメンの座を手にします。
それは、本人自体「私もまさかスタメンで
出るとは思いもしなかった」という喜びと、
そして葛藤の日々の始まりでした。

自分は何をしたらいいんだろう。生まれた迷い

「2年間ずっと控えだったので、今までスタメンだったメンバーとは一緒にコートに立ったことがほぼなかった。多分ルイさん(町田瑠唯)たちも、私をどうやって使おうか、ずっと考えてくれていたと思います」

頑張って手にしたスタメンの座。
でも、いきなり試合に出るようになり、
自分が試合で使われなかった理由、
コートに立つ選手の悩みを理解したのです。

「弱音を吐いちゃいけないと思って、”このメンバーとどうやって合わせたらいいんだ””自分は何をしたらいいんだろう”って、もう誰が見てもわかるぐらい病みました(笑)。めちゃくちゃ暗くなって、今振り返ってもホントにヤバいやつだったと思います」

先輩たちに、ビデオを見ながら動き方を
教えてもらったり、周りに助けらてやりきった一年。
本人は「もう自分のことしか考えられない
状態でした」と、必死さだけが記憶に残るシーズンでした。
それでも、先輩の言葉に救われる時がやってきます。

大きかったルイさんの言葉

「1年経って やっとレッドウェーブのバスケがわかるようになって、そこから先輩たちに色々聞くようになりましたね。教えてもらってばかりでしたが、少しでも自分がわからなかったら聞いて、チームのために自分が何ができるか考えるようになりました」

徐々に、自分なりの役割を見つけていった内尾選手。
特にディフェンスをスタッフから評価され、
「自分の武器はディフェンス」と言えるようにもなりました。
そして大きかったのが、
第87回皇后杯(2020-2021シーズン)準々決勝、
ENEOSサンフラワーズ戦です。

勝たなければいけなかったこの試合で、チームは大敗。
その時、内尾選手は「終わった時にすごく落ち込んで、
もう自分はスタメンじゃない方がいい。もう迷惑だって思った」のです。

「その試合の後、先輩たちに一人ひとりに、自分の不甲斐なさとか申し訳なさとかを話しに行ったんです。その時にルイさんから『自信はなくてもいいから、自覚は持ってほしい』って言われたんです」

「その言葉がすごく私の中で響いて、今まで『試合に出てるんだから自信持たなきゃ』って思ってたんですけど、考え方が全部変わった。自信が持てなくても、試合に出ている自覚は持つように。そこから自分の中で、スタメンで出る意味は、すごく変わりました」


「自覚」というのもひとつの言葉。
本人の受け取り方次第で意味は変わります。
それは内尾選手にとって、「迷いを消す言葉」
「やるしかない」と、自分の気持ちを鼓舞する、
ひとつの勇気になったのです。

➡VOL.2に続く

(※1 雑誌「月刊バスケットボール」の略)



#25 SF 内尾 聡菜 Akina Uchio
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