期待を力へ WR#84神 優成
「プレッシャーがある」と言ったのが、信じられない。
6月19日におこなわれた春季交流戦、富士通フロンティアーズ対IBM BigBlueの試合を見ながら、そう思わざるを得ませんでした。この日スターティングメンバーとして出場したワイドレシーバー(WR)#84神 優成は、両チーム併せてトップとなる54ヤードのパスレシーブを記録。また4回のパスキャッチは、WR#85松井 理己の5回に次ぐものでした。社会人先発出場2度目の選手として、それは十分以上の数字です。
この試合に先立って行ったインタビューにて、多くの関係者が抱く#84神への期待を伝えたとき、彼が答えたのが最初の言葉でした。おそらくその言葉に嘘はないのでしょう。
「プレッシャーはある。」
ただ、#84神はそのプレッシャーを力に変える男でした。
ケガに苦しんだ一年目のシーズン
社会人一年目となる昨年2021シーズン、#84神 優成は苦しみました。春の段階でハムストリングにケガを負い、ベストコンディションでシーズンに臨めなかったからです。そのケガも、全体練習が極端に少なくなった社会人フットボールに、早く適応しようと自主練習をしている最中に起こしたものでした。
「ケガもありましたが、実力的にも全然出られるようなレベルじゃなかったかなと思います。富士通フロンティアーズのレシーバーユニットは日本一だと思っていますので」
ケガをしたとはいえ、そこでの切磋琢磨が今年に活かされていると#84神は感じています。昨年のチームにはフロンティアーズオフェンスを長きにわたり牽引した優秀なベテランWRがいたからです。
チームを優先するその思考
そして今年、彼らベテランWRが移籍。フロンティアーズのワイドレシーバーユニットは、劇的に若返りました。
「そこはチャンスだなと思っていて。その空いた穴を自分も含めた若いメンバーが埋めていかないと、レシーバーユニットとして成長しないので」
#84神とのインタビューで感じるのは、ユニットやチームといった全体をまず慮る、その思考。彼がこの春ルートランをテーマに掲げていたのも、WRユニット全体の選手の“質”を考え、そのバランスを彼自身で取ろうとする試みでした。ユニットの弱点を補完するため、自身にテーマを課していたのです。
#84神は、まずチームのことを考える。チームに対して責任を負うのを辞さない。だからプレッシャーがあっても、それを力に変えることができる。選手としての活躍こそ、チームに対する最大の貢献だからです。
秋の先発を目指して
活躍したIBM BigBlue戦のあとに行ったインタビュー。そこで#84神は、相手の反則で逃したタッチダウンについてこう語りました。
「パスを投げたのが一年目のクォーターバック(QB)#15野沢 研だったので、二年目の自分としては、不利な状況であっても、それを越えてタッチダウンを取ってあげたかった」
そんなチーム第一の彼が秋季リーグ戦の舞台で躍動するとき、フロンティアーズはより連覇に近づくことでしょう。え、そこまでプレッシャーをかけないでほしい?大丈夫。#84神は、みんなの期待を力に変える男ですから。
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次戦は2022シーズン Xリーグ。今秋9月より開幕予定!
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