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PCヘビーユーザーが楽になる「寝ながらパソコン」~12万円で実現できる最強のPC環境

事前注意:私はいまこの環境を使っていません。
「じゃあ、いまはどんな環境で作業してんだよ!」という話は次の記事にまとめましたので、こちらをお読みください。

↓↓↓ ここから本記事 ↓↓↓


1.「身体を横たえる」というソリューション

中学校に上がる前からパソコンオタクでした。日常的にPCを使うようになって、約30年になります。最初の10年を平均3時間、次の10年を5時間、最後の10年を7時間と仮定すると、合計54,750時間もPCの前に座っていたことになります。

つい先日、41歳になったばかりの私は359,160時間生きてきましたので、驚くべきことに、人生の約15パーセントもの時間座り続けてきたことになるのです。

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何のために、それほど長い時間座り続けてきたかは分かりません。きっと、ゲームしたり、つまらないブログを書いたり、ゲームしたり、ゲームしたり、たまに仕事したり、つまらないブログを書いたり、ゲームしたりしていたのでしょう。うわっ…私の生産性、低すぎ…?

何をしていたかは本当に分かりませんが、断言できることが2つあります。

1つは、今までの人生で「睡眠」の次に長く時間を費やしたことが「PCの前に座ること」であり、もう1つは、それは当分変わらないであろうことです。

好むと好まざるとに関わらず、私たち現代人は長時間PCを使わなければならない運命にあるのです。そうでなければ、ゲー…ゴホンゴホン!…仕事にならないからです。

その前提が覆らないのであれば、可能な限り楽をしたい。睡眠の次に長く時間を費やすのであれば、その時間を快適にしたい。人間として当然の欲求です。

そうなると、ソリューションは1つしかありません。
そうです。寝るのです

単純に、身体を支える物体に接触する面積を大きくすればよい。ついでに、「睡眠」と「PCを使う」を「身体を横たえる」と上位概念でドッキングするという発想を持てば、なんと、人生の約50パーセントも横たわっていたことになるでしょう。これはすごい。思わず悟りを開いてしまうかもしれん

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そう考えて、光の速さでググりました。ええ、もちろん、座ったまま
検索キーワードは、「寝ながら パソコン」「横たわって PC」などなど。

2.誰も実現していなかった現実

しかし、満足のいく情報が見当たりません。絶対に誰かが先に素晴らしい環境を実現しているはずだと強く確信し、先人たちの知恵を借りようと思ったのに……まず、真っ先に見つかった情報が、こちら。

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もうね、全然ダメ。話にならない。ツッコミどころ満載。その腕を持ち上げる姿勢はラクなの?キーボードを打つたびにガタガタ不安定になるんじゃないの?…というか、そもそも私は変態キーボード「KINESIS」に魂を打った人間ですので、ノートPCを使えないのです。

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蛇足ですが、このKINESISキーボードは最高です。キーボードを商売道具にする人は、必ず導入すべき逸品です。これを使い始めると、もう普通のキーボードには戻れません。素人にはお薦め出来ない。
ちなみに商品ページは、こちら。値段を見て驚くなよ(ちなみに私は3台持っています)。

さて、寝姿勢のままPCを使う他の方法はないものか…と考えてさらに調査を進めたところ、次の情報が見つかりました。

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画像出典:価格.comマガジン「寝たままパソコン作業がしたい…その夢、分離式キーボードとPC台で実現!」

私も同じことを考えていたのですが「KINESIS縛り」で即却下しました。とはいえ、まさかここで先人がいるとは思わなかった。

また、こんな情報も見つけました。

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画像出典:私はいかにして怠惰な寝正月を過ごしたか

この方とはまったく面識はなく、もちろん人となりを全然知らないのですが、「絶対に動きたくない!」という強い意志だけは、たった一枚の写真だけでよく伝わってきます。ここまでくるともはや自分介護と言っていいのではないでしょうか。

しかし、よく考えると、完全な寝姿勢では無理があると気づきました。寝室のベッドに大がかりな設備を入れてしまうと、本当に寝たいときにいろいろと面倒で仕方ないからです。やはり、寝るときは寝る、ゲー…ゴホンゴホン!仕事をするときは仕事をする、で分けたい。

では、私が理想とするPC環境とは結局何なのか?
いったい自分はどうしたいのか?

リクルート流の自問自答を繰り返した結果、次の図のような環境が理想であるとの結論に達しました。

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エジプトの壁画を彷彿とさせるポンチ絵ですが、イメージは掴んでいただけると思います。要するに、リクライニングした状態で、斜め下からディスプレイを見上げたいのです。寝姿勢ではなく、半寝姿勢です。

これを踏まえて、次のような情報を見つけました。

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確かに、この近未来感は魅力的です。もしかしたら、すこぶる快適かもしれない。しかし、入手経路、設備の大きさ、合わなかったときの失望、価格などを総合的に考えると現実的ではありません。

それにしても、これは写真が美しいからカッコよく見えるけど、歯医者にある治療台とほとんど同じやん。歯医者は嫌いなので、当然却下です。

次に、このような情報も見つけました。

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画像出典:Bauhutte

近い!近いぞ!!
これはもしかすると、もしかするかもしれん!!

嬉々としてさらに調査を進めると、どうやらヨドバシカメラで試せるらしい。普段休日は昼までダラダラしているのに、これを見つけた週末は開店と同時にヨドバシのオフィス用品売り場に突撃しました。

結果、ダメだ……惜しい、実に惜しい。何がダメって、椅子の座り心地がよくない。もっと、こう、なんというか、包み込まれる感が欲しい……自分で書いてて意味がよく分かりませんが、とにかくチープなゴム張りの座面・背もたれでは満足できないのです。

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課題の粒度が上がってきたので、ここで整理しましょう。
私が求めているPC環境には:

(1)半寝姿勢で斜め下からディスプレイを見上げること
(2)包み込まれるようにリラックスできるオットマン付きのリクライニングソファであること

の2つが最低必要です。

そこで、(1)はとりあえず横において、まずは(2)をなんとかしようと考えました。もしかしたら、「オフィス用品」というドメインで探すのがまずいのかもしれん……この気づきが、課題解決の足掛かりになりました

そして……ついに、突破口となるパーツを発見したのです!

3.ついに実現した理想のPC環境

ある日、フラリと立ち寄った地元のニトリで、衝撃的な椅子を発見しました。それは、同社が生んだ革新的リクライニングソファ「ビリーバー」です。

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これは…!すごい…!!

圧倒的な包まれ感。オットマンと背もたれが作る抜群のリクライニング角度。背もたれを倒したまま寝てしまいそうなほどのリラックス感。

まさに、すべてがパーフェクト。
この時点で、この椅子を「寝たままPC」のパーツとして組み込むことが確定します。つまり、課題(2)は完璧に解決できたのです。ニトリぐう有能

ちなみに、このときニトリの売り場を小一時間もウロウロしながら、いろいろな角度から何枚も写真を撮り、メジャーを借りて詳しく採寸し、色のバリエーションや価格の載ったチラシを2枚も持ち帰りました。どう見ても不審者です。多大なご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。

さて、残るは課題(1)です。これには相当悩みました。なぜなら、次の3つの条件をすべて満たす必要があるからです。

(a)奥行きは80センチ以上
(b)高さは無段階で昇降可能
(c)大型のディスプレイアームを支持できる

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まず、(a)の条件が必要なのは、リクライニングすると脚が前方に伸びるからです。慎重に採寸したところ、奥行きを最低80センチ確保しなければならないと分かりました。

次に、(b)の条件が必要なのは、高さの設定を失敗するリスクを回避したいからです。いくら慎重に採寸したとしても、リクライニングしたときのベストな高さを事前に決め打ちすることは難しいので、できれば高さを微調整できるようにしたい。

最後に、(c)の条件が必要なのは、大型のワイドディスプレイを使いたいからです。重量のあるディスプレイを支えるアームは、当然大型です。これをがっちりと設置できる強度は必須です。

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条件は明確になり、またもや光の速さでググり続けたのですが、条件に該当する机がまったく見当たりません。そもそも、条件(a)を満たす机すらほとんど売られていないのです。そんなだだっ広い机を使う人なんていないんでしょうね。

思い悩んでいたところ、ハッと閃きました。ヨドバシカメラで却下したBauhutteのことを思い出したのです。あれは昇降可能で、デスク単体では奥行きが足りないけど、エクステンションを付ければ伸びる!……と考え、おもむろにAmazonの商品ページを見たところ……

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これはイケる…!!
瞬時に確信しました。まさにアハ体験。

奥行きはちょうど80センチ。ただし、モニターアームが前面に乗り出してくることを考えると、さらにキーボードスライダーを設ける必要があるだろう。

そう考えて、実際に設置した図がこちらになります。
iPhone系のケーブル類が邪魔ですが、ご了承ください。普段はもっと汚いです

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そして、これに着座すると、こうなります。

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冒頭のYouTube動画を再掲します。
ここまでの紆余曲折を振り返ると、思わず目頭が熱くなる

まとめましょう。私が買ったパーツは、次のとおりです。
(1)リクライニングソファ「ビリーバー」(ニトリ)
(2)ゲーミングデスク「BHD-1200HDM-BK」(Bauhutte)
(3)エクステンションデスク「BHC-1200H-BK」(Bauhutte)
(4)キーボードスライダーワイド「BHP-K1000-BK」(Bauhutte)

ここまでで、お値段116,737円

さらに、付属品として買ったものは、次のとおりです。
(5)34.1インチ液晶ワイドモニター「U3419W」(Dell)
(6)デスクモニターアーム「F100A-B」(NB NORTH BAYOU)
(7)ノートパソコンスタンド

付属品で117,978円でした(ディスプレイが高かった)。

ちなみに、一番最後のノートパソコンスタンドが、地味に重要です。リクライニングすることによる腕の傾斜に合わせてキーボードも傾斜させる必要があるからです。

私の変態キーボードは元から少し斜めに傾斜しているのですが、それでも傾斜が足らず、さらに斜めに持ち上げています。ノーマルなキーボードであれば、もっと傾斜させる必要があるでしょう。このあたりは各人で試行錯誤する必要があると思います。

4.調子こいて大誤算

全パーツが揃うのを待ち焦がれ、必死で机を組み立て、いざ設置!…というところで、思わぬ落とし穴があることに気づきました。これは図解する方が分かりやすいので、例によってエジプトの壁画のような私の手書き図をご覧ください。

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要するに、アームとディスプレイが重すぎるのと、フローリングの摩擦が弱いのとで、机がエクステンションを支えきれず、前方に滑り出してしまうのです。これは困った。

そこで、次のとおりに対策しました。

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知能指数を疑うポンチ絵に我ながら愕然としますが、理解はしていただけると思います。要するに、じゅうたんを敷いて摩擦力を上げ、机とエクステンションとが上下で噛むように配置し、両方をまたがるように重りを載せて固定したのです。

ちなみに、重りはこんな感じで載せています。

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おそらくアウトドア関係で使うのだろうと思いますが、超インドアな私には何に使うか想像もつきません。とにかく、それぞれ10リットルの水を入れ、合計20キロで机とエクステンションを同時に押さえつけます。これにより、手で机を前に引いてもびくともしなくなりました。

すばらしいソリューションであると、思わず自画自賛してしまいます。
はっはっは!!

5.気になる使い心地は?

控え目に言って最高です。

あまりに最高なので、珍しく母親が自宅に来たときに自慢したところ、「相変わらずアホやな」と憐憫の目を向けられましたが、まったく気にしません。確かに傍から見るとただのアホなことは自覚しています。ただし、もう一度、はっきり言いましょう。

控え目に言って最★高です。

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嘘だと思う人は、お近くのニトリへ行ってビリーバーの座り心地を試してみましょう。そして、おもむろにリクライニングしてみてください。その姿勢でPCが使えるんですよ!天国だろ、これは。

全員、いますぐ、この環境の実現に向けてアクションすべきだと、強く強調しておきたい。特に、ずっと家で座ったままPC作業を続ける人などには最適です。

さて、使い心地は「最高」、そして「一回ニトリで座ってみろ」としか言いようがないのでこれ以上他に書くことはありません。

しかし、残念ながら、この最高のPC環境ですらいくつかデメリットがあります。「すべてがパーフェクト」は、現世にはないのです。それを順に説明しましょう。
(1)いつの間にか寝てしまう
(2)コーヒーが飲めない
(3)着座に時間がかかる
(4)腰を守る対策が必要

1つめは、「いつの間にか寝てしまう」です。当たり前ですね。ほとんど寝る姿勢なわけですから。さーて、頑張って原稿書くかー!と気合いを入れた次の瞬間、時計の針が2時間くらい勝手に進んでいたことがありました。

「おれは、原稿を書こうとしていたと思ったら、いつのまにか寝ていた、な……何を言っているのか、わからねーと思うが(以下略)」。この場合、いろんな罪悪感も相まって、必ず寝起きが最悪なので気をつけましょう。

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2つめは、「コーヒーが飲めない」です。いつの間にか寝てしまうことを防ぐために、カフェインを摂取しようとするわけですが、半寝姿勢では飲みにくいんです。これも当たり前ですね。

私はその当たり前を舐めてかかり、無理やり飲もうとしたところ、熱々のコーヒーが気管にダイレクトインし、むせた瞬間にカップのコーヒーが顔にかかって軽く火傷をし、その一部始終を目の当たりにした妻が過呼吸になるほど笑い転げるという地獄絵図が爆誕しました。

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いま振り返ると、「押すなよ!押すなよ!」と叫ぶダチョウ倶楽部のような予定調和です。ちなみに、半寝姿勢でダイレクトインすると、カエルを握りつぶしたような音が喉から出るので、何か飲むときはいったんリクライニングを戻す方が無難です。

3つめは、「着座に時間がかかる」です。動画の再生時間を見れば分かるように、最適なポジションを作るまで最低30秒くらいかかります。パッと座れないんですよ。

これは、座った後に立ち上がるのも面倒ということを意味します。あまりに面倒なので、トイレを限界まで我慢することになります。それこそ不健康なので大人用おむつの可能性を一瞬検討したのですが、それこそ自分介護になってしまうのでやめました。

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4つめは、「腰を守る対策が必要」ということです。具体的には、リクライニングしたときに腰が浮いてしまうと、腰に負荷がかかって痛めるので、腰とソファとの間にできる隙間を埋めるようにクッションを挟む必要があります。

ここは重要なので、エジプト壁画で図解しましょう。

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普通の状態であれば、この赤で示す部分に空間ができてしまいます。この空間が腰を破壊するのです。

ということで、ソリューションの方向性としては、こうなります。

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要するに、思い切ってリクライニングを倒して空間を小さくし、残った空間をクッションで埋めるわけです。これにより、不自然なエビ反りや猫背の状態を解消し、背骨本来のS字状態を保とうという魂胆です。

この部分については、いまのところ最適なソリューションを見いだせておらず、模索中なのですが、おそらくこのあたりが良いのではないかと考えています。

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画像出典:remembarance

また、長時間同じ半寝姿勢を保つと血の巡りが悪くなると思われるので、たまには寝返りをうつように、座ったまま身体をねじるなどの工夫をすることが好ましいでしょう。

「それ、普通のイスを使うときでも同じじゃねーか!」と思うかもしれませんが、通常使用時の快適性がまったく違うので、それくらいは我慢しましょう。

というわけで、私が1年かけて構想を練り、ついにたどり着いた、究極の快適PC環境の作り方を延々と語ってきました。いかがだったでしょうか。
なに?信じてない?この快適さを?

信じなさい。ビリーバーだけに。信じる者は救われる。
このPC環境で、いますぐ幸せになれるのです!!

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※注:「全然快適じゃなかった」と苦情を入れられても、責任は取れませんのであしからずご了承ください。

6.蛇足

(1)「顧客はドリルではなく、穴が欲しかった」
必死で最適な机を探す過程で、私が本当に欲しいものは「机」ではなく、「下からディスプレイを見上げる環境」であることに気づいたので、こういう構成もアリだと考えました。

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「顧客はドリルではなく、穴が欲しかった」とはよく言ったものですが、まさにこれがそうですね。

この場合、ディアウォールを使ってDIYすることになると思います。こんな感じに。

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画像出典:ディアウォール&ラブリコの活用例。賃貸住宅でDIYしまくってみた。

そして、キーボードとマウスは、ベッドをまたいで設置できるテーブルに載せることになるでしょう。これをソファにまたがせればいいわけです。

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いやー!しかし、これは敷居が高いわー!ホームセンターで板を買うのも面倒だし、そもそもそんな設備を自分で作るほど根性ないし!

というわけで却下しちゃったのですが、もしこれでうまくいったという方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。一報もらっても何もあげられませんが

(2)ビリーバーの想定身長が低すぎる
使っていて気づいたのですが、どうやらニトリは身長160cmくらいの人を想定して作っているらしいんですね。私は175cmなので、浅く座っても深く座っても、脚か頭が少し足らない状態になってしまいます。

この点については、ニトリに猛省と改善を促したい。ネットで身長を入力して発注をかければ、その情報が組み立て工場に飛んでセミオーダーで製造開始するとか。これこそインダストリー3.0だろ。

(3)拙著を買ってくれ
この快適PC環境は、拙著を執筆するときに、切実にその必要性を思い知ったことから考え始めました。できれば執筆時にほしかった。

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なお、先日、上半期分の印税額を見て思わず嗚咽しました。
このオラに、ほんのちょっとずつだけ元気(印税)をわけてくれ…!!

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本稿は、「面白い文章を書けるようにするクラブ」のレビュアの皆さまからアドバイスをいただいて執筆しました。ありがとうございます。
クラブ楽しいよ!レッツ・ジョイン!

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