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農家×鍛冶屋の社会実験からの考察

こんにちは。MUJUN WORKSHOPの鍛冶師 藤田純平です。

今回は農家×鍛冶屋で行なっている社会実験企画『MUJUN EXCHANGE』から見た、価値を交換した先にある社会への考察をまとめていきます。

1.MUJUN EXCHANGEのはじまり

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2020/4/21
私がTwitterでつぶやいた一言が次々と共感を呼び瞬く間に拡散されたのがキッカケでした。

社会からどんな反応があるのか観察してみようかという気持ちだったのですが、なんと翌日には1軒の農家さんから収穫物とメンテナンス依頼の鋏が届きました。

驚いていたのも束の間、次々と参加者さんが現れ開始1週間で7軒もの農家さんとやり取りをしました。

そもそも、なぜこのような取り組みを思いついたのかと言いますと、田舎暮らしを経験した時にご近所さんのお裾分け文化に触れたのがはじまりでした。
山菜や海藻などをいただいたお礼に包丁を研いであげたところすごく喜んでいただき、翌日には一緒に収穫体験をさせていただけるような関係にまで発展しました。

これをモデルに全国展開させたらどうなるのかな?という単なる興味関心からはじまり、今では全国各地の20軒以上の農家さんと取り組みが行われています。

2.鍛冶屋さんとの初接点

参加者さんのご感想として1番多く挙げられるのが「実際に鍛冶屋さんと交流したのははじめて」ということです。

今では刃物もホームセンターで購入できますし、職人さんとの接点が生まれない社会構造なのも後押ししてなかなか触れ合える機会がないですよね。
というよりほぼ皆無に等しいのではないでしょうか。

交流がないが故に、刃物を使っている時くらいは楽しく過ごしてほしい。と思う作り手さんの気持ちが届かないのはあまりにももったいない。

どうにかして社会のみなさんが鍛冶屋と触れ合える機会を増やせないかとずっと考えてきました。

そして今回のMUJUN EXCHANGEがその役目を果たしてくれています。

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愛着のある道具に更に愛着がわいた
「かかりつけ医」ならぬ「かかりつけ研師」みたな関係性が有れば良いなと思うようになった。
市川農園さん/静岡県

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鍛冶という日常では馴染みのないサービスを、受け入れやすくする斬新な取組で、よく考えれば鍛冶をお願いする刃物って身の回りにたくさんあるなって思い知らされました。
FARM1739さん/栃木県

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荷物が届きワクワクが高まり梱包を開けて鳥肌が立ちました!
こんなに興奮(笑)したのは久しぶりです。
とっても綺麗に美しくなるなんて。大切に使います。
俵種苗店さん/島根県

過去参加者さんからのご感想の一部ですが、鍛冶屋との初接点を心から楽しみ未来への繋がりが感じられるお便りがたくさん届いています。

私も思い入れのある刃物で作業をし収穫なさる姿を想像してメンテナンスできるのも嬉しいことです。

3.なぜお金を介さない形にしたのか

お裾分けからの発展と鍛冶屋との接点。

これらの事業化を考えるとお金を使ったビジネスプランで組み上げることも可能ではありました。

ですが、このお裾分けは今までの物々交換にはない点があることに気がつきました。

普通は物々交換は「物×物」の交換であるのが一般的です。

しかしMUJUN EXCHANGEでは「物×技術」の交換なのです。

そこがこの取り組みの面白いポイントだ!と思いそのまま価値を交換するという流れを残しました。

するとどうでしょうか。
世界を代表する経済誌Forbs Japanさんから取材の問い合わせが入りました。

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お金についての定義を改めて考えるキッカケになったり、未来の社会を想像することができたり。

いろんな角度でMUJUN EXCHANGEを見ることで様々な議論が生まれる場になってきています。

今後は刃物メンテナンスを持続化させる仕組みを作っていく予定です。

4.鍛冶屋から発信し繋がりを生む頻度を増やす

農家さん限定で行なっているMUJUN EXCHANGEですが、実は農家さんではない方からのお問い合わせも多く届いています。

クッションカバーと交換できませんか?
陶器と交換できませんか?

など様々な職人さん達からお声がけいただき数件の取り組みが進みました。
(現在そのような場合、職人単位での物々交換の交渉の末に取り引きさせていただいています。)

MUJUN EXCHANGEの場合、物々交換というちょっとワクワクする仕組みが参加の敷居を下げ「この機会に鍛冶屋さんと交流しよう!」という思いを生んでいるのかもしれません。

これはとても嬉しい事で、これをキッカケにして刃物メンテナンス事業を拡大させていけたら一般の方との接点も増えると考えています。

鍛冶屋から企画を提案 募集し、社会の刃物との意欲的接触頻度を高める事は、みなさんの日常を特別にすることに繋がると信じて これからも発信し続けていきます。

新品以上の喜びはあるし、この関係性楽しい!
仕事の相棒「剪定鋏」
就農して以来ずっと使っている一番大切な道具が綺麗になって帰ってきました!
物々交換を超越したこの「できること交換」はめっちゃ楽しい。
善兵衛農園さん/和歌山県

道具が生まれ変わるだけで、ストーリーが続き繋がる。
鍛冶屋はそんなサポートができる素晴らしい仕事だ!
と今後の事業展開にも熱が入ります。


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