五輪とコロナ:世界にシェアされるのは何か

閉会式を通じて感じた気持ち悪さが「お役所へのプレゼン」的なものであるという話を書きました。

良くも悪くもIOCの存在と考え方が東京五輪の延期と実施を通して世界に広まり、疑念が湧いている中で、バッハ会長やその周辺のような五輪に対する考え方は今回限りにして、パリ五輪以降の未来に、新種目の中心にいたZ世代が示したような「新たな五輪」へのアプローチが主流になっていくことを願います。

多分、東京五輪後に世界は大きく変わっていくのでは無いかと思います。

一つは、五輪への意識、もう一つはコロナとの付き合い方です。

Worlds we share とは

この閉会式のコンセプトご存知ですか?

<東京2020オリンピック競技大会閉会式コンセプト>
Worlds we share
17日間の大会を経て、私たちはそれぞれに違う個性や文化、経歴を持つ人々が、スポーツを通して互いに高め合い、理解し合う姿を目にするでしょう。
この経験こそが多様性と包摂性を考える糧となり、また、次に始まるパラリンピックへと繋がっていくと考えます。
たとえ同じ場所に居られなくても、同じ感動をシェアできたことを忘れずに、未来へとつなげていけるセレモニーになることが閉会式において最も大切なことだと考えます。
閉会式のひと時が、これからの未来に、一人ひとりが想いを巡らす時間になればと願います。
“Worlds we share”という表記は、本来「世界」は「The World」と表記するところを、「Worlds」と表記することで、一人ひとりが異なる世界を持っている様相を表し、「一人ひとりの持つ異なる世界を共有しあって生きている」ということを表現しています。

こうした表記の中に感じる「独りよがり感」もプレゼンシートだと思うとなんとなく納得できるものです。

日本語訳が無い所も、意図されたもので、世界に向けたものなのだからだそうです。でも、本当に日本語の意図を反映した英語なのかどうか、誰かチェックしたんでしょうか。気になります。

閉会式の細かいシーンごとの説明が当日の写真と共に紹介されている公式サイトがありました。

なるほどなあと思いながら見返すのも良いかもしれません。

終わったところから始まるもの

そして、五輪が終わり、皆さん帰っていかれました。

それでも選手の皆さんはこれで終わりではなく、帰国後も経過観察が必要だそうです。

14日以内に発症すれば、日本で感染した恐れがあるため、速やかに濃厚接触者の特定や検査をし、出国前に滞在していた選手村などのクラスター(感染集団)化を防ぐ。

各国選手は、来日前にPCR検査をして確認した上で来日して、それでも選手村で陽性が発覚した方がいました。競技に出られない方もありました。

この方達は、移動期間がコロナウイルスの潜伏期間だったのでしょうか。来日してからの日数を考えると、ひょっとしたらば、日本で感染した恐れがあるわけです。

バブルで守られていたのは、どちらか

バブルという言葉で、五輪選手達と日本社会を隔てることで、感染拡大を防ぐという説明がなされていたかと思います。

バブル方式とは、「開催地を大きな泡で包むように囲い、選手やコーチ・関係者を隔離。外部の人達と接触を遮断する」方法です。

これ勘違いしている人も多いと思いますが、世界から来日する選手・関係者から日本への感染拡大ではなく、ワクチン接種が低く、感染拡大中の日本から五輪関係者への感染を防ぐ行動なのです。

無観客にしたのも、観客間での感染拡大という側面もありますが、それよりも、観客から選手・関係者への感染を危惧したからと考えると辻褄が合います。それでも、ボランティアに衣装のまま会場に来させている時点で、日本社会からバブルの中に感染源を持ち込んでいるようなものでしたけどね。

組織委は本紙の取材に対し、「原則自宅からユニホーム着用をお願いしている」と説明。「ユニホームを着ていただくことで、大会の雰囲気をボランティアの皆さんと一緒に作り上げていきたい」とする。

ボランティアの皆さんも大変だったと思いますが、電車に乗った格好で会場に入るということは、街中のウイルスがついたままバブルの中に入るようなものです。そこを考慮した記事がなかったようにも思いますが、視点が逆なんですよねえ。

バブルの中が安全ではなかったということは、感染拡大中の日本で感染したまま帰国した方がいるかもしれないという可能性を秘めています。

シェアされるのは何か

そうなんです。Worlds we share。私たちが世界にシェアするのは、間違いなく「コロナウイルス」なのでは無いかというツッコミは覚悟しての言葉選びなんでしょうかね?

今回五輪のために来日した選手が所属する国のほとんどでは、日本よりも感染状況がひどく、感染者が多いという声もあります。それでも、ワクチン接種に関しては、日本は遅れをとっているわけで、日本滞在が原因で発症する人が出るかもしれません。

それは、東京五輪のコロナ対策が万全だったかどうかとは別の問題だということは、もう、多くの人がわかっているのでは無いでしょうか。いくら対策しても、突然かかってしまうのが、このウイルスの恐ろしいところなのですから。

両方の意見があるのも当然です。

そして、その結果が現れるのはこれからです。

五輪が終わって、各国で選手が感染したかどうかに注目したいものです。

レガシーがシェアされたかどうか、そこに現れるのでは無いでしょうか。


サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。