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COVID-19を含めた感染症全体の位置付け見直しが社会を強くするはずです

新型コロナウイルス感染症は、COVID-19という名称がついているにもかかわらず、いつまでも「コロナ」で代表される通称が流布する状況になって、年を越そうとしています。

同様な新型インフルエンザ病であるSARSとかMERSの時のように定着しないのは、やっぱり長いのと「コビド」というのが言いにくいからでしょうか。

名前は大事ですよね。

指定感染症を外すのか、2類相当から外すのか

COVID-19は、2月1日に政令で指定感染症に指定され、その取り扱いについて議論がありながら、結局、そのまま1年を迎えることになりそうです。

2類相当の扱いであることを過剰であるとする議論は8月くらいには多かったのですが、最近は、あまり見ませんね。

新型コロナは2月1日施行の政令で指定され、次のような措置が実施されることになった(期限は1年)。
1 感染者に入院や就業制限を勧告する=これは2類以上に適用される措置だ。
2 無症状の感染者にも同じ措置(入院や就業制限の勧告)を取る=これは1類に適用される措置だ。
3 濃厚接触者に外出自粛などを要請する=これは2009~10年に流行した新型インフルエンザに適用された措置だ。
つまり、新型コロナは2類ないし1類に相当する感染症とみなされたわけだ。
では、感染症法における取り扱いをどのように見直すべきだろうか。筆者は「指定感染症」そのものを解除して、感染症としては季節性インフルエンザと同レベルの対応に変えるべきと考える。理由は以下の3点である。

こうした議論の論点は、「死亡率が高くない」「前数入院では医療崩壊が起きる」「国民が疲弊している」というもので、結論として経済を回せという感じになる。

足元の消費活動は再び停滞しているほか、需要構造の急変に対応できない産業で倒産・失業が増加し、景気が二番底に向かうリスクも。9月16 日に発足予定の新政権は、所得環境が堅調を維持している間に指定感染症を解除し、持続性ある新型コロナ対策を再構築することに優先的に取り組むべき。

政権が変わったところで見直せという議論が多かったのが、今は、それどころではない感じになっています。実際には、政令で見直されたのですが、2類相当はそのままだったからでしょうか。

政令で見直された入院基準

10月に出された政令で「入院基準」が見直されています。

新型コロナウイルス感染症患者については、これまで一律に「入院」としてきたが、10月24日から「入院」の対象は、▼65歳以上の者▼呼吸器疾患を有する者▼臓器の機能低下が認められる者▼免疫機能低下が認められる者▼妊婦▼重度・中等症の患者—などに限定する—。
これら以外の「無症状感染者」「軽症で入院が必要でない者」については宿泊療養あるいは自宅療養を求める—。

この政令の見直しは、全国でどれほど実施されているのだろうというくらい、変化を生みませんでした。多くの自治体は、それまでと同様の措置をとっていたからです。

とは言っても、実際には、「これまでの運用から大幅に変わる」というわけではありません。

なぜならば、判断をするのは政府ではないからです。

医療上の観点、そして新型コロナのまん延防止上の観点から、一定の裁量が残されています。医師や自治体が必要と判断すれば、入院措置の対象となることもありえます。

現場で大きく変更する余地がないと判断すれば、運用はこれまで通りでしょう。現場の対応を見直すのは大変だからです。

それでなくても疲弊しているところに、いろいろ言い出しても対応しきれないでしょう。確かに、入院基準が見直されたから、入院者数が減るのであれば対応したいと思う病院は多いと思います。でも、その基準が徹底されていなければ、右往左往するだけです。とりあえず、みんな入院させる方が間違いがない。そう思うのは無理ないでしょう。

結局、中央の声は届かず、冬がやってきて、色々綻びが出ているのが現状です。

判断つかないまま慣性の法則が働きがちな政府

指定感染症のまま年を越して、その先に何があるのか。オリンピックよろしく、一年の延期です。

田村厚生労働相は28日の読売テレビの番組で、新型コロナウイルスを感染症法上の「指定感染症」として扱う期間を1年延長し、2022年1月末までとする考えを示した。田村氏は「ウイルスの特性がはっきり分かってくるまでは続ける」と述べた。

だいぶはっきりしてきたように思うんですが、まだ足りませんよね。

大体、ワクチンができたと言っても、どういう副作用があるかも、どの程度効くかもわかりませんし、ワクチンは感染予防であって、特効薬ではないので、病気が治るわけではありません。

やはり、なんらかの薬が出てこないと枕を高くしては眠れません。少なくても、インフルエンザに対するタミフルのようなものが必要だと思うんですよね。

進むべき道を示し、大きく舵を切るのがリーダーの役割だと思いますが、GOTO以外の舵は切らないのが菅政権のようです。

政府の対策で何かが変わった感じがない中で、感染者も死亡者も重傷者も増え続けているわけです。

勝負の3週間という掛け声だけで、何を勝負したのか、何と勝負したのかも不明なままです。

日本国内での最初の感染例から一年になる1月16日にどういう状況を迎えるかを決めて、そのために何をするか、今から準備しておくのが先手を打つということではないかと思います。

GOto の中断と飲食店の営業時間の短縮を1月11日まで継続することが決まりましたが、結局、同じ手の繰り返しで、新しいことはないわけです。

対象となるのは、高齢者や基礎疾患を有する人々に限らない全ての世代、期間は2020年12月28日(月)〜2021年1月11日(月)。これは東京都が求めている来年1月11日までの一時停止期間や営業時間短縮延長に合わせた形だ。

何か新しいことをやれませんかね?

感染症法そのものの見直しを

私がお勧めするのは、感染症法の見直しです。

COVID-19 の5類への変更などという小手先の話ではなく、感染症法の分類そのものが時代遅れなのではないかという問いです。

わが国では、感染症を取り巻く状況の激しい変化に対応するため、これまでの「伝染病予防法」に替えて、 1999年4月1日から「感染症法(正式名称:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)」が 施行され、感染症予防のための諸施策と患者の人権への配慮を調和させた感染症対策がとられています。
2002年11月から7月初旬にかけて東アジアを中心として世界各国に広がった「SARS(重症急性呼吸器症候群)」などの海外における感染症の発生、移動手段の発達に伴い、人や物資の移動が迅速、活発になること、 保健医療を取り巻く環境の変化に対応するため、「感染症法」は2003年10月16日に改正(11月5日に施行)、 さらに2007年4月1日からも改正され「結核予防法」と統合されました。
高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の感染拡大状況と新型インフルエンザが発生した場合のまん延に備え、 2008年5月2日に改正(5月12日施行)されました。
「感染症法」では、症状の重さや病原体の感染力などから、感染症を一類~五類の5種の感染症と指定感染症、新感染症の7種類に分類しています。さらに2008年5月の改正により、新たに「新型インフルエンザ等感染症」が追加されました。感染症の種類により医療機関の対処法も異なり、それぞれの危険度に対応した対策を可能としています。
院内感染が発生した薬剤耐性アシネトバクター感染症が五類感染症へ、蚊を媒体とするチクングニア熱が四類感染症へ追加されています。
2012年から中東を中心に感染例の報告が持続している中東呼吸器症候群(MERS)や、2013年以降に人への感染が確認されているH7N9型鳥インフルエンザについて、その病原性や感染力を考慮し鳥インフルエンザA(H5N1)と同等の二類感染症に指定しました。
このように、変化していく感染症に応じて、法体制を整え対策の充実が図られています。

丸々引用してしまいましたが、このページよくまとまっているので、さすがラッパのマークの大幸薬品です。少々の感染症ならば、正露丸で治したい気分になります。

1999年に伝染病予防法・性病予防法から感染症法に変わったというトピックの後は、場当たり的に追加してきた感が否めません。

「新型インフルエンザ等感染症」を追加し、法律も作りながら、今回のCOVID-19をすぐに指定せず、別枠にしたのはなぜだったのか。書道の遅れは、そこにあったのではないかという議論もあるわけで、まあ、そこには、厚労省と内閣官房の綱引きなど、政治というか省庁の目論見が絡んでいるのでしょうが、何にしろ、この特別扱いがこの病気の取り扱いの混乱を産んだと思います。

確かに、症状などはインフルエンザ的でもあり、感染の仕方も似ているのですが、しかし死亡率の高さや、重症化した場合の後遺症など、予後の悪さは、インフルエンザの比ではありませんし、同等に扱う5類への見直しには賛成するものではありません。

「指定感染症は感染症法上1類から3類までの扱いと決まっていますから、指定感染症にしている限りは3類よりも下には落とせません。原則としては指定感染症から外した上で5類感染症に変更しなければならないのです」

かと言って、2類相当の取り扱いをいつまで続ける気なのかという風にも思います。

【資料3】感染症の範囲及び類型について

この分類では収まりきれない特徴があるCOVIDー19をどう位置付けるかについては、分類の基準を、感染力と死亡率など定義を見直すことも考える必要があると思うのです。

二類感染症は「感染力や罹患した場合の重篤性などに基づく 総合的な観点からみた危険性が高い感染症」と定義されています。

一方で、五類感染症は「国が感染症発生動向調査を行い、その結果に基づき必要な情報を国民や医療関係者などに提供・公開していくことによって、発生・拡大を防止すべき感染症」と定義されています。

レベルが違うというか、基準が社会的な対応に寄った恣意的なものである感じも否めません。もっと科学的な定義で感染症を分類し直し、対応を決めていく時期なのではないでしょうか。

問題は2類か5類かではない

2類か5類かという議論ではなく、感染率と死亡率などに沿った適した扱いができる分類を施した感染症法に見直し、今後の、新たな感染症にも対応できるようにした上で、保健所と病院のあり方を整理して行ってはどうでしょう。

中でも、体制整備に関しては、「保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化、人材の育成」「国立感染症研究所については、米国CDC(筆者注:アメリカ疾病予防管理センター、アメリカの感染症対策の司令塔を指す)を始め各国の感染症を担当する機関を参考にして、より良い組織や人員体制を構築すべきである」などと指摘していたが、実行に移された部分は少なかった。

この提言でも触れているように、感染症対策は、災害対策並みの対応が必要であり、結局最後は、自衛隊だのみという現状は、それを象徴しています。

ところが、医療に効率を求めるような政策(特に大阪維新の会)をとってきたが故に、今や、余力がない体制を露呈しているのではないでしょうか。

地域医療構想では余剰あるいは過剰と言われがちだった病床の一部をバッファー(緩衝材)として確保する議論も想定される。これを理解する上で参考になるのは、有事に備えて施設や人員に余分を持たせる「冗長性」(リダンダンシー、redundancy)という災害対策の考え方であり、冗長性の規模及び冗長性を維持するためのコストも勘案しつつ、病床と医療スタッフの確保が必要となる。

こうした意見をもとに、今回の感染症対策を一過性のものにせず、日本社会のレジリエンスの強化は、震災復興と合わせて、そういう点でも検討していくべき段階なのではないかという気がします。


サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。