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漫才論| ⁸⁵漫才の「つかみ」って何❓

漫才の「つかみ」というのは,一番最初のボケやギャグのことです。できるだけ早く最初の笑いをとり,お客さんの心を"つかむ"という目的があります(ボケやギャグではなくても,また,「笑い」が起こらなくても,お客さんの心を早めに"つかむ"何かをやって成功していれば,それは「つかみ」と言っていいと思います)

「最初の笑い」が遅くなればなるほど,漫才師もお客さんも緊張し,変な空気になることが多いので,できるだけ早く「最初の笑い」をとるために,さまざまな「つかみ」が考え出されてきました。「つかみ」にはどんな種類があるのでしょうか?


挨拶/自己紹介

「小木です」「矢作です」「おぎやはぎですけど何か問題でも」(おぎやはぎ) 
「お世話になってます」(オズワルド)
「麒麟です」(麒麟)
「どうもキングコングです。イェイイェイ」(キングコング)
「ぼくが高倉陵で,相方が◯◯◯」(三拍子)
「品川です!」(品川庄司)
「お兄さんトレンディだね〜」「ん〜トレンディエンジェル」(トレンディエンジェル)
「こーんにーちわー」「うるせぇなぁ」(錦鯉)
「お疲れさまです」(令和ロマン)

漫才師が一番はじめにするのが挨拶や自己紹介なので,これを工夫することによって笑いをとるという最速のつかみです

ギャグ

「ザキヤマが〜◯◯に〜来る〜」(アンタッチャブル)
「みんな生えすぎちゃう?」「おまえが抜けすぎやねん」(ギャロップ)
「パァ!出た!」(ますだおかだ)
「あ〜ありがとうございます〜ねっ。今,◯◯をいただきましたけどもね。ありがとうございます〜ねっ。こんなんなんぼあってもいいですからね」(ミルクボーイ)

本ネタに入る前に,ネタとは関係のないギャグをまず先に言うというつかみです(「挨拶/自己紹介」との違いが曖昧な場合もあります)

ボケ/ツッコミ

「とろサーモンです。よろしくお願いします」「こちらこそ」(とろサーモン)
「いきなりですが〜」「楽天カードマンの言い方!」(霜降り明星)

お決まりのギャグではなく,1個目のボケをものすごく早いタイミングで言うというつかみです

最速のつかみ

相方の前を横切る(オール阪神・巨人)
しゃべりながら登場する(東京ダイナマイト)
正座でせり上がる(マヂカルラブリー)

本来であれば「挨拶/自己紹介」でやるつかみが最速のはずなのですが,その前に変なことをするという裏技的なつかみです

追加してほしい「つかみ」がありましたら
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THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔  出演: おせつときょうた

あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】