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漫才論| ⁷⁸M-1であえて同じタイプのネタを2本そろえるという"戦略"は間違い❓

M-1では「まったく違うタイプの爆笑ネタ2本」のほうが優勝しやすいが,これをやるのは至難の業なので,「結果的に同じタイプの爆笑ネタ2本を持っているコンビが優勝しているだけ」という話は以前こちらの記事で書きました

この記事の中では,ミルクボーイ,ブラックマヨネーズ,チュートリアルの例を取り上げましたが,今回はパンクブーブーについて書いてみたいと思います

2009年と2010年のパンクブーブーのネタ

パンクブーブーは2009年のM-1王者です。この大会では,漫才コント2本で優勝しています。この2本は「同じタイプのネタ」とも言えますが,「まったく同じパターンのネタ」というより,アンタッチャブルやサンドウィッチマンのように「漫才コントを2本やっただけ」と言えると思います。本題はここからです

翌年の2010年,パンクブーブーは敗者復活戦から勝ち上がり決勝に進出し,史上初の2連覇達成の期待がかかります。私は,「漫才コントだと,おもしろいネタでも『去年と同じか』と思われて勝てないから,しゃべくり漫才をやってほしい」と思っていました。そして実際にしゃべくり漫才(正統派ではなくかなりひねったしゃべくり漫才)を披露し,去年とはまったく違うタイプで,しかもめちゃくちゃおもしろいネタだったので,敗者復活からの堂々の1位(笑い飯と同点)で最終決戦進出を果たします

2本目も同じパターンのネタで惨敗

ここで私は,「最終決戦は逆に,元々得意とする漫才コントをやってくれたら2連覇いけるかもしれない。しゃべくりでもいいけど,1本目と同じパターンのネタだけはやめてくれ」と思いました。パンクブーブーは,私から見ると最悪の選択である「1本目と同じパターンのネタ」を披露し,最終決戦では0票という結果に終わりました

ただ本人たちは,「2本とも同じパターンでいくことは2人の間で決めていた。どうしても2本とも同じパターンにこだわりたかった。去年は今までの集大成で優勝しました。だから漫才師としてさらに上を目指すにはどうしても今年作った新しいパターン,そしてぼくらならではのパターンにこだわって最後まで貫きたかったという理由でのネタチョイスでした」と述べていて,あれは優勝するための"戦略"ではなく,漫才師としての"決意"だったんだと知り,納得しました

あえて同じタイプのネタを
2本そろえる必要はない

2010年のパンクブーブーのような"特殊なネタ"の場合は特に,2本続けてやらないほうがいいですし,「同じタイプのネタ2本で勝負したほうが優勝しやすい」わけではないということは明白なので,あえて同じタイプのネタを2本そろえる必要はないと思います

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