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[読む古典漫才] ラーメンの注文の仕方(当て書き:おせつときょうた)

#オチの直前まで無料

#オチを予想してお楽しみください (7文字)

しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる
●漫才における「相槌」はそのときの雰囲気で自然に入れるものなので通常漫才台本には書きませんが,本格的な掛け合いのしゃべくり漫才をイメージできるようあえて細かい「相槌」を書き込んでいます。それが「読む漫才」です。

おせつ:ラーメンの注文の仕方って難しいじゃないですか
きょうた:麺の硬さとか脂の量とかね,選ぶの難しいですよね
お:それ以前の問題や
き:「それ以前の問題」って何?
お:
「ラーメンください」って言えないんですよ
き:え?
お:「ラーメンください」って言うの難しいじゃないですか
き:言えるやんそれは
お:コンディションとかもありますからね
き:麺の微妙なコンディションとかはありますよ
お:僕のコンディションですよ
き:あなたのコンディション?
お:めちゃくちゃ体調悪い日もあるじゃないですか
き:そんな日にラーメン屋行ったらあかんやん
お:ラーメン大好きですから
き:でも注文できないんでしょ?
お:恥ずかしくて言えないんですよ
き;何を恥ずかしがってるんですか。好きなんでしょ?
お:「好きだからこそ言えない」みたいなのあるじゃないですか
き:恋愛感情抱いてません?ラーメンに
お:昨日もラーメン屋に行きましてね
き:そのポテンシャルでよくラーメン屋行けますねぇ
お:大好きですからね
き:ストーカー的な感覚でラーメン好きになってます?
お:ラーメンにストーキングなんてしてないわ
き:「僕はあなたのことをそっと見守ってるだけでいいんです」みたいな
お:ラーメン見守ってたら麺のびるやないか
き:そのラーメンあなたのじゃないんですよ
お:僕のじゃないんですか?
き:あなた注文できなかったでしょ?
お:惜しくも注文できず
き:惜しくないんですよ。「ラーメンください」って言えないんだから
お:結局ラーメン食べずに帰りましたけどね
き:そっちのほうが恥ずかしいやないか
お:何が?
き:ラーメン屋行って何も注文しないで帰るほうが勇気いりますよねぇ
お:いりませんよ。こっちは本気でラーメン食べに行ってるんやから
き:でも食べれてないでしょ?
お:それは結果論やないか

き:注文しないからや
お:「ご注文がお決まりになりましたらこのボタンを押してください」って言われたんでね
き:店員さんを呼ぶボタンね
お:決まらなかったら押さなくていいんでしょ?あれ
き:・・・。「いつまでも押さなくていい」というわけではないですよ
お:なかなか決められなかったんですよ
き:迷ってたんですか?
お:迷いに迷いまして
き:何と何で?
お:ラーメンか,お寿司
き:何で迷ってんねん!
お:ラーメンか,お寿司ですよ
き:分かってるけど,ラーメンや!
お:なんできょうたくんが決めんねん。僕が注文するんですよ
き:あなた注文できないでしょ
お:お寿司ならできるかもしれないでしょ
き:なんでやねん。だいたいそのラーメン屋お寿司もやってんの?
お:やってるわけないやろ
き:だから「ラーメンや!」言うてんねん
お:迷ったらダメなんですか?
き:ラーメン屋入ったらラーメンですよ
お:チャーハンがよかったんですけどね〜
き:チャーハンならいいのよ
お:チャーハンはええの?それやったら頑張れば寿司もいけるんちゃう?
き:何を頑張るんですか
お:どっちも米ですからね
き:材料の問題じゃないのよ
お:材料さえあれば作れるでしょ
き:メニューにあるものしかダメなんですよ
お:メニューにあれば迷っていいんですか?
き:迷ったらええやんそれは
お:ほんなら,ラーメンとメンマなら
き:メンマ!?
お:迷ってもいいんですよね?
き:ええけど,「ラーメンとメンマどっちにしようかなぁ〜」って迷って,「メンマにしよ!」ってことはないからね
お:あるやん。「コンディション的にラーメンはちょっと重いな」っていうときにぴったりですよねぇメンマ
き:だからなんでラーメン屋行ったん?
お:好きからですよ
き:もうラーメンの顔だけ見に行ってるやん
お:顔だけでも見られれば十分ですよ
き:それはもう親心やないか
お:「いつかラーメンを注文できるようになりたい」と,あの子には内緒で練習してるんですけどね
き:ラーメンのこと「あの子」って呼んでもうてるやん
お:毎日発声練習とかしてね。「ラーメンください!」って
き:発声練習いらんて。店員さん来たら自然と声出ますから
お:肝心の店員さんが来ないんですよ
き:ボタン押してないからや!
お:押したら来るんですか?
き:押したら来ますよ
お:何回押したら?
き:1回や!
お:2回押したら,店員さん2人来るんでしたっけ?
き:来るか!
お:2回押したことあんの?
き:ないけど
お:それやったら2人来るかもしれないでしょ
き:それは絶対ないわ
お:世の中に「絶対」なんてないからね
き:はいはい分かった分かった。ボタンを100回押したら,スタンバってる100人の店員さんが来る可能性もありますからね
お:それは絶対ないやろ
き:なんやねん!
お:その100人は何をスタンバってんねん
き:とにかくボタン押したら店員さん来るから,その人に「醤油ラーメンください」,こう言えば注文完了。これだけですからね
お:味噌ラーメンがいいときはどうしたらいいんですか?
き:「味噌ラーメンください」と言えばいいんですよ
お:味噌ラーメンください!
き:僕に言われてもやな
お:誰に言うたらええの?
き:店員さんにや
お:店員さんすみませ~ん。味噌1つ。麺は硬めで脂多めね。トッピングは煮たまご2つにチャーシューとのり。もやしはサービスで大盛りにしてもらえる? あっにんにくなしで。このあと仕事あるから
き:ちょっと
お:何?
き:うまいじゃないですか
お:何が?
き:注文
お:そう?
き:「昨日ラーメン屋行ったのに注文できなくて食べずに帰った」って嘘でしょ
お:嘘じゃないよ
き:ラーメン食べたでしょ
お:昨日は悪かったんでね,◯⚪︎◯◯◯注文した

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あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】