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せっけんではじめるSDGs

※本記事は、藤沢市市民活動支援施設情報誌「F-wave」2022年7月号の特集記事を転載したものです。紙面全体は以下のリンクよりご覧いただけます。

せっけん使用の推進に取り組む「せっけん推進協議会」

近年、環境問題ほか、SDGs(持続可能な開発目標)達成のために企業や行政などが取り組む様子がニュースなどで取り上げられますが、SDGs が唱えられる前から、多くの市民団体が諸問題に取り組んでいます。

今回は、その中で「海の豊かさを守ろう」というゴールにつながる、せっけんの使用の推進に取り組む藤沢市せっけん推進協議会(以後:せっけん推進協議会)の前会長の手塚弘子さんと現会長の篠原貴代美さんにお話を伺いました。

合成洗剤の問題との出会いは、“金魚の実験”

手塚さんの合成洗剤の問題との出会いは、子どもと一緒に見に行った金魚の実験だったそうです。

「合成洗剤を入れた水槽では、プカーとひっくり返って死んでしまっているのに、せっけんを入れた濁った水槽では、金魚が元気に泳いでいるんです。とても衝撃を受けたので、その時の様子は、今でも鮮明に覚えています。

家に帰って、台所で、実験で使っていた合成洗剤を目にした時はさらに驚き、思わず投げ捨てました。それで、合成洗剤のことをみんなに教えてあげないといけない!と思ったんです!」と当時のことを熱く語ってくれました。

このままではいけない!藤沢市長へ要望書を提出

手塚さんは、合成洗剤の危険性を市民に伝え、合成洗剤追放のための制度をつくるために、大きく動き出した仲間に加わり、一緒に活動を開始しました。

当時、引地川に洗剤の泡が立ち、市民にとって身近な問題だったため、共感する人は多くいたようです。しかし、せっけんに切り替えてくれる人は思ったより少なかったそうです。

「このままではいけない」と思った手塚さんたちは、洗剤について考える市民の声が反映される協議会の必要性を訴え、要望書を藤沢市長へ提出をしました。この活動により、せっけん推進協議会の前身となる藤沢市洗剤対策協議会が発足しました。

少しずつ、せっけん使用への理解が深まり…

せっけん推進協議会は、発足から現在まで、生活者の視点からせっけんの使用を推進してきました。学校施設や公民館などで学習会、ワークショップや講演会の開催、またせっけんメーカーやせっけんに関わる団体や企業と市民が集える「せっけんまつり」などに取り組んでいます。

子ども向けの学習会の後で「お母さんはせっけんを使うのは面倒臭いから使わないって言っているけど、僕はせっけんの歯磨き粉を買って使おうと思う」と言ってくれた少年がいたそうで「自分で考えて、使うものを選ぶようになってくれたらいい」と篠原さんは言います。

1986 年、藤沢市は市内の学校給食施設で使用する洗剤を全てせっけんに切り替えました。これは全国ではまだ珍しいことでとても貴重とのこと。

切り替えるにあたり、給食施設で働く方々からは、「排水路にでるカスが残るため掃除がたいへん」という意見がありましたが、「すくって取れば問題もなく、汚れが海や川に流れなくてよかった」「手袋を使わなくても手荒れがしないことから、せっけんが安全なものであることを実感した」などの意見がありました。また、「子どもたちが毎日食べる給食だから、せっけんを使用していることは、安心につながる」という保護者の声も寄せられました。

6 月21 日には、「プラザde カフェ 身近なSDGs せっけんの魅力再発見!!」を市民活動プラザむつあい主催事業として実施しました。

6 月21 日(火)プラザde カフェの様子

せっけんについての話、天然素材を使ったせっけんとバスボム(入浴剤)のワークショップを行い、参加者からは、「合成洗剤とせっけんの違いが分かった」「終わった後、手を洗ったら、手の調子がすごくいい。」「少しずつでもせっけんをくらしに取り入れたい」という声があがり、私たちも環境問題の解決に貢献できたように思います。

7 月14 日まで藤沢市役所のロビーにて、せっけん推進協議会主催の「せっけん展」が開催されています。興味のある方はぜひ訪ねてみてください。

団体紹介

藤沢市せっけん推進協議会
【設立】 1981年
【代表】 篠原  貴  さん
【連絡先】sekkensuisin@gmail.com
せっけんを使用することで命を守ることを推進する市民団体。昨年で設立40周年を迎えました。市と連携し、合成洗剤及びせっけんに係る諸問題について検討を行い、せっけん使用を推進することを目的として活動しています。主な活動は、せっけん推進だよりの発行、合成洗剤とせっけんの違いや使い方のリーフレットの発行、小学校を中心とした教育機関や公民館での学習会、講習会の実施、公民館まつりへの参加、イベントを開催など。


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