居場所と出番をつくる
※本記事は、藤沢市市民活動支援施設情報誌「F-wave」2023年5月号の特集記事を転載したものです。紙面全体は以下のリンクよりご覧いただけます。
長寿の団体の活動の秘訣
藤沢市市民活動推進センターに20年近く前から登録している歴史ある市民活動団体「じゃおクラブ湘南」。現在も積極的に活動を行い、昨年度も分館(市民活動プラザむつあい)が実施している湘南台駅地下ギャラリーで団体紹介パネル展示にも参加していただきました。その長寿の団体がどのように活動を展開しているのか、何か秘訣があるに違いない、お話を伺い、多くの皆さんに知っていただきたいという想いから取材を申し込みました。
じゃおクラブは「おやじ」を逆さ読みして「じゃお」。「おやじ」をひっくり返して、いつも元気なおやじでありたいとの願いを込め1991年に創立しました。趣味のグループ活動、スポーツ、講演会、街歩き、地域の子供たちとの交流、ボランティアなど、幅広く活動しています。現在では4つの地域で活動しており、じゃおクラブ湘南は1995年に設立しました。
じゃお農園の「春耕」
4月に入り、活動の一つである「じゃお農園(協同農園・チャレンジ農園)」にお邪魔して、活動やメンバーの皆さんの想いを取材しました。 じゃお農園は藤沢市北部・打戻地域にある、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスに隣接した広大な土地を有する「株式会社永田農園」の一部を利用して、農園主・永田誠氏のご厚意・ご支援のもと、様々な野菜作りを行っています。取材時は1号畑ではじゃがいもの芽掻き、葱の移植作業。ほかには春キャベツ、葱、新玉ねぎ、分葱、エシャレット等が、ケース一杯に収穫されていました。2号畑では耕運機トラクターを使って春の土づくりをしていました。農業用語では「春耕」と言うのだそうです。
当日は16名のメンバーが1号畑、2号畑に分かれて作業されていました。内容は体力を使う作業や同じ姿勢の私たちが見ていても少し大変そうな作業をしている方も見受けられました。しかしメンバー同士で語り合いながらの作業はその大変さや辛さも吹き飛ばしてしまうほどなのでしょうか?!皆さんの顔は終始笑顔でした。
作業が終了し、帰り支度をする顔は、1つの事を成し遂げたさわやかな感じがしました。そして「収穫した野菜は自分の家だけでは食べきれないので、近所の皆さんにおすそ分けをしているんですよ。これが地域との関わりに良い機会となっているんです。」と言いながら、ちょっぴり誇らしげに私たちには見えました。
中高年男性の居場所と出番を提供
取材にご対応いただいた島村さんが「『人と人との交流』そして『人と地域との交流』を大切にしています、また奉仕だけではなく、自分自身が楽しくなくちゃいけない」と話していたことが、「じゃおクラブ」が目指す「居場所と出番をつくる」につながり、皆さんがいきいきとしているのだと感じました。
「多岐にわたり活動がありますので、一番気を付けたいのは日付が重ならないようにして年間の計画を調整しています。」島村さんのお話とともに、取材当日にご用意いただいた年間スケジュール表には、様々な活動が数えきれないくらい記載されており、活動の活発さが伺えます。
活動にはじゃお農園をはじめ、男の料理、男声合唱等があるとのこと。「いま人気があるのは仮想投資クラブで、一人1億円(仮想)を株式・外貨等に投資して半年間の運用実績を競っています。俳句(四木会)も人気があり、会員で俳人協会会員の廣崎龍哉氏を主宰に迎えて、毎月1回実施、年に4回吟行で外に出ています」と活動をご紹介いただきました。
定年後、セカンドライフとして地域に戻ってきた男性は右も左もわからない状況であり、地域に馴染めない状況になっているかもしれません。そこに「じゃおクラブ」が中高年男性の居場所と出番を提供することで、大切な受け皿となっている、そう感じました。
最後に島村さんをはじめとした「おやじ」の皆さんが元気に活動をしている姿を見て、持続的な活動にはやはり「楽しさ」が大事ということを再認識しました。また、活動を継続するための努力は、長年の活動の中で経験したことがしっかりと継承されている事が印象的でした。(取材と記事作成:細矢・堀)
団体紹介
じゃおクラブ湘南
【設立】 1995年4月
【担当世話役】 島村忠男
じゃおクラブは中高年男性に交流と社会参加の機会を提供します。湘南、県央、ベイサイド、多摩田園の4つの地域に分かれており、じゃおクラブ湘南は1995年4月に設立しました。所属はお住いの住所で決まりますが、会員はどの地域の活動にも自由に参加できます。互いに交流することで活発な居場所作りが行われています。得意技を生かし、自分の居場所と出番をつくることで、健康維持を図り、生活を彩り豊かにしましょう。