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他の先生のレッスンも受けている生徒さんにどう対応するか

一昔前、レッスンは一人の先生から受けるのが普通でした。今より先生が少なかったし、徒弟制度のような関係性が音楽界にも入っていたからかもしれません。

他の先生に習いたい時は内緒で、承諾を得るときは意を決して!なんて状況が多かったと思います。

でも、今はそっちの方が珍しいかもしれません。レッスンを受けていても、部活や楽団に先生がいらっしゃったり、講座や教室も多いので他の先生に習う機会も増えています。

直接習わなくても、あらゆる媒体で専門家が情報を出しています。これらを見ている時点で、他の先生の指導を受けているのと似たことが起こっているのではないでしょうか。

この流れは今後も続いていくでしょう。指導者側もこの流れを認識していかないと、どんどん苦しくなってくると思います。

さて、本題。こういう状況の中でどう対応していくか?です。

指導していると「部活の先生はこう言っていました」「〇〇さんの動画ではこう言っていました」と言われる機会、沢山あります。

自分が教えていることと、一見逆の指導をされていることもあります。ATを取り入れていると尚更です。このような状況に困惑したり対応を誤ったこともありましたが、今はこう言うことにしています。

「両方試して、今の時点でやってみたいものをやってみてください」

「どっちが自分にしっくりくるか、考えてみてください」


突き放しに感じる方もいるかもしれませんが、そうではありません。生徒さんの感覚や意思を尊重し、誰の意見も否定しないやり方だと私は思っています。

生徒さんが混乱しているときは「私の意図はこうです、〇〇先生の意図はこうじゃないかな?」と解説をしています。

意見と提案はしますが、判断するのは生徒さんです。

右も左もわからない生徒さんに任せるなんて・・という意見もあるかもしれませんが、本当にそうでしょうか?仮にそうだとしても、悩んで得られるものは貴重だと思います。とんでもなく迷宮入りしていたらヘルプは必要ですが。

導かれるがままに一直線で辿り着いたものは実は脆い、身に付かないことも多いです。生徒さんには迷う権利、自力で学んでいく権利があります。

ATの学校の恩師がこんなお話をされていました。学校では背景の違う複数の先生からATを学ぶのですが、

生徒さんが「ATって何か全然掴めません」「混乱しまくってます」と悩んでいる話を聞くと

「学びは順調だな・・!」と嬉しくなるそうです。

一人の先生だけに学び、先生に従っていれば間違いないと言う教育は、貴重な混乱の機会を奪っていたのかもしれません。本当の学びとは何か、改めて考えていきたいものです。


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