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塩水と葉っぱ

 海の森とも呼ばれるマングローブ林の植物は、海の塩水と川の真水が混ざり合う気水域で、生長を広げています。
 一般的な植物であれば、塩水に1時間もつけていれば、しおれて枯れてしまう。それだけ塩水の環境は、生きていくのが難しい。なぜなら、塩分によって、水が奪われていってしまうからです。
一方でマングローブの植物は、塩に対して強い耐性を持っていますが、その一つに、古い葉っぱにいらない塩分を溜めていくという方法があります。もともと根っこにも特殊な塩分濾過機能を持っており、外からの塩水流入をある程度防いでいく仕組みがあります。それと同時に部分的に腐ってしまっても、より早い生長でカバーしつつ、複数の支柱で周りを固め、波に逆らわず倒れにくい構造(反対方向への引っ張りに強い)に生長していきます。マングローブ林の根の特徴は有名です。
 それに加えて葉っぱの構造としても、塩に対して優れた構造になっています。塩類腺という穴から塩を吐き出したり、気孔を広くしたり、表面を固くしたり、鋸歯の葉が少ないのも、適度に水分を保つ工夫かと思います。まさに全身で環境に適応しようとしています。葉っぱが死んだ後も、波に流され、また海の栄養素に戻っていきます。
もちろん受粉の方法も、種子散布の方法も、風まかせ海まかせの中で自然の摂理に従って、確率高く、生命を永く繋げてこられた様々な工夫がみられます。
人間が気づいていない工夫もきっとまだまだあります。
 もともと弱点でも苦手な環境でも、きっと全身全霊で考えて、腰を据えて粘り強く行動すれば、その環境を味方に出来る様になることもあるかもしれない。
工夫の実態はどうであれ、マングローブ林は、今日も元気そうです。


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