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一句《春雨と 演奏讃え 拍手する》東京芸術劇場、都響定期演奏会へ行きました

コンサートについて

2023年4月26日(水)14時、

東京芸術劇場コンサートホール、東京都交響楽団の第974回定期演奏会。この日は一日中雨、少し肌寒いなかコンサートホールはほぼ満員、男女比は半々くらい、高齢者多め。

指揮は小泉和裕さん、ソリストは金川真弓さん。

ヴェルディの「運命の力」序曲、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲と交響曲3番「スコットランド」を聴きました。


ヴェルディ

1861年、ヴェルディはロシアのマリインスキー劇場から依頼されて、オペラ「運命の力」を作ります。

このオペラの元はスペイン戯曲で、少々過激なお芝居、しかも、最後の場面が「人類は皆滅びるがよい」と世間を冒涜ぼうとくするようなセリフ。ヴェルディはオペラ化してもイタリアでは公演が許可されないだろうと考え、ロシアで発表したそうです。

「運命の力」序曲は、出だしの3つの音が運命のモティーフ、不気味だけど魅力的、迫力ありました。


メンデルスゾーン

メンデルスゾーン(1809-1847)、ドイツの裕福な家庭に生まれ、教養を身につけ、音楽、語学、絵画、チェス、水泳に長けた天才。

今回の「ヴァイオリン協奏曲」の演奏、とてもよかったです。

金川さんは渋めの黄金色ドレスで、演奏はヴァイオリンの音量が保たれ、一音一音が明瞭、しっかり聴こえてきます。音のバランスがいいので、オーケストラとの掛け合いも楽しく、澄んだ高音もよく伸びシビレます、聴いていて、それは心地よい演奏で。

聴いていて「幸せ」でした。


この「幸せ」を今から150年以上前に感じていた人がいます。

メンデルスゾーンの恋人?

リンド(1820-1887)は、スウェーデンの貧しい家庭に私生児として生まれ、9才で声の美しさから本格的な歌唱指導を受け、10才でデビューしたソプラノ歌手。

リンドが言っています、「フェリックスの『ヴァイオリン協奏曲』を聴くたび、魂が満たされるのを感じます。それを幸せと呼んでいいような気がするのです」と。

私も魂「満タン」になりました。


メンデルスゾーンとリンドの出会いも興味深いので書いておきます。

1844年10月、

ある作家(38才)がソプラノ歌手のリンド(23才)に恋をして、頻繁に会うようになります。その作家がリンドをメンデルスゾーン(34才)へ紹介します。

ふたりはピアノがある部屋へ移り、メンデルスゾーンの伴奏でリンドが歌います。そして、それが何時間も続きます。

この様子を見た作家は(メンデルスゾーンは妻子ありなのですが)ふたりが恋に落ちたと感じました。

そして作家は後悔します、紹介するんじゃなかったと。


(私は「テネシー・ワルツ」みたいな話だと思いました。ノラ・ジョーンズによる演奏はこちら


そして、メンデルスゾーンの友人であり、作家であるその人とは、

メンデルスゾーンの友人

アンデルセン(1805-1875)、デンマークの貧しい家庭に生まれながら、要領よく大学まで進むことができた、詩、切り絵、絵本、童話の作家でした。

アンデルセンの切り絵が素晴らしかったのでリンクしておきます。



(参考文献、中野京子さんの著書「芸術家たちの秘めた恋ーメンデルスゾーン、アンデルセンとその時代」)


読んでいただき、ありがとうございます。

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