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歌詞ヲタクが選ぶ2023年上半期の発明歌詞①

ごあいさつ


お久しぶりです。藤本薪です。

初めましての方向けに
私はボカロPやバンド活動をしています。
過去にこんな曲を作ったりしました。

歌ってみたを貼るくらいプライドがない

音楽をやってきたので歌詞には一家言あります。
一家言あります!!!

歌詞が好き過ぎて洋楽にはあんまり興味がありません。
何言ってっか わっかんねーから。

絵画のように意味と音の情景美しい歌詞や、
それ自体が楽器になるようなリズム感の素晴らしい歌詞など様々ありますが
僕は"発明している"歌詞が好きです

「こんな事誰も気づいた事ないけど共感できる!!」
「それ歌詞にする言葉じゃないだろ!!」

と言わせてくれる歌詞が耳に入ると電車でニヤつきが隠しきれず
母親達は奇異の目を向ける子供の目を覆い
力自慢の男たちはいつでも出動できるよう拳を握ります

そんな僕が2023年上半期の段階で刺さった曲をいくつか紹介していきます。

ずっと真夜中でいいのに-『花一匁』

まず歌い出しが

ずっと真夜中でいいのにって溢した午前5時

とんでもない覚悟ですね。
自分の名前をアルバム一曲目の一言目に持ってきています。
これだけで僕はやられてしまったのですが、これはただの飛び道具的ではありませんでした。

目に見えてんのは 波形だけです 腐れたデモベース

これが作曲についての曲だと分かります
自分の名前から歌い出し、作曲の話を始める

ずっと真夜中でいいのにはこれまでどこか飄々とした掴みどころのない歌詞を書かれることが多かったのですが

この曲は、正座で向き合ったように真正面から語りかけてきます。しかも

僕が作るものは 既にあるものじゃーーん

そんな正直に吐露していいのかよ。

作曲に限らず、創作をしているとこんな気分になることがよくあります。
自分の作る物など過去にある作品の焼き回しで、歴史の上で自分が作る意味ってなんなん?
ものづくりをする人にとって、売れてても売れてなくても、これは切実すぎる悩みです。

でも、実はこれ悩んだって解決しない、しゃーない悩みではあります。

また、作曲についての曲とか、演劇についての劇とか、
そう言ったメタ的な創作物はかなり劇薬で
作る側としては自分の悩みを吐露したくなる欲求に襲われ
"こっち側"の悩みや、"こっち側"だけが知ってる楽しさを語って悦に浸りたくなります。

ある種共感を度外視した作戦で独りよがりになることが多々あります。

それをなんとなく共感できるホップネスに昇華していて、マジですごい。

曲を聴いてくださった方は分かると思いますが、決して暗い曲ではないのです。
サビに入ってぐっと曲調が明るくなります。
それこそ午前5時に朝日がじわじわ出てくるように

何かできそうな夜更かし 成仏させたし

別に何か状況が変わったわけでも無ければ
問題を解決したわけでもないと思うのですが
なんとなくうまくいきそうな気がする歌詞です。

僕はこう言った本谷有希子の小説のような
「なんも解決してないけど、なんかうまくいきそうな気がする」
みたいな歌詞がほんっとうに好き。

狙って書けないからほんっとうに好き。

自分の作る物なんてすでにある物じゃん…

それを認めた上で

なんのために曲作ってんの?
自分の欲しい物ってなんなの?

でもま、自分は曲作るしかないし
なんやかんや僕が曲を作る意味もあるよね

のブレイクスルーの瞬間を絶妙な午前5時感を纏って表現した素晴らしい歌詞でした。

なんのために曲作ってんの?
何が欲しくてやってんの?

の禅問答を過程を
「あの子が欲しい、あの子じゃわからん」
と花一匁に着眼して例えたところも秀逸ですね。

サクサク10曲紹介しようと思ったけど長くなってしまったのでここで。

次回はkijibatoさんの『へるぷ!(feat.をとは)』
を予定しています。

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