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【絵本】燕とおっちゃんの旅

サブスク会員限定特典オリジナル絵本
【絵本】燕とおっちゃんの旅

富士山を望む海岸線に、
その、おっちゃんは、いた
海岸の土砂を運び
シーサイドのタワマンを建設する現場
おっちゃんは、
そんな近代的な開発の現場にいた
黒いトラック
天空に登った太陽が
おっちゃんと
おっちゃんのトラックを照らした
「この海も無くなるのか」
そう、呟いた
この海は、おっちゃんの故郷
おっちゃんの想いでの場所だった
「切ないな」
「俺がこの場所を壊す仕事に就くなんて」
「あーあー」
しばらく、深いため息をついた後
「よーし、行くか」
おっちゃんは、
何かを振りきるかのように
仕事に戻った
黒いトラックを富士山に向かい
走らせた
曲がりくねった海岸線の細い道
時折、眩しい太陽の光が
サイドミラー越しに
おっちゃんの顔を照らした
「眩しいな」
「あーっ」
「ドンッ!」
何かがフロントガラスに
ぶつかった
黒いトラックのフロントガラスの下に
それは転がっていた
無情な姿で
それは、一羽の燕だった
おっちゃんは、その燕をすくいあげ
「フー」と息を吹き掛けた
すると
その縮こまった体の羽がピクッと
動いた
おっちゃんは、もう一度息を吹き掛けた
燕はその横たわった体を起こし、
羽の毛繕いをはじめた
「あー、もう大丈夫だ!」
「ほれっ!」
おっちゃんは
その燕を空に向かって放った

おっちゃんは次の現場に向かい、
再び車を走らせた
実は、
おっちゃんのトラックの上を
先ほどの燕が
ついて行ってることに
おっちゃんは気づいていなかった

さて、
燕は何のために
おっちゃんについて行っているのでしょう
この話は続きます

次回をお楽しみにね



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