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光の星の者が好きになったもの

 製作発表から数年、かなり長い間楽しみにしていた「シン・ウルトラマン」を鑑賞した。
 日本にだけ出現する巨大不明生物『禍威獣』の災害に立ち向かう専門組織『禍特対』メンバーら人類と、突如として彼らの前に現れた『ウルトラマン』の、戦いと友情を描いた映画である。

 僕は「ゴジラ」から本格的に特撮好きになったので、ウルトラマンに関しては普通の人より色々見聞きしまくっている程度であり、全てのシリーズを観ているわけでもなければ、関連書籍を山ほど集めているわけでもない。
 そんな僕でも、この「シン・ウルトラマン」は面白い作品だった。

 この作品は、「シン・ゴジラ」のような、「もし現代に怪獣や宇宙人、そしてウルトラマンがいたら、日本はどうなるのか」を描いたシミュレーションものである一方、「地球と人間に興味を持ち、共に過ごすうちに彼らを好きになった、一人の外星人の物語」としても描こうとしていた。
 二時間で納めなければならないという制約上、駆け足気味の人間ドラマ部分はやや描写不足とも感じられたのだが、物語に仕掛けられた設定や伏線、登場人物たちの対立構造などに関しては、なかなか興味をそそられる部分が多かった。

 この作品の目玉は、CG技術を駆使して作られた、ウルトラマンと禍威獣、外星人のバトルシーンである。
 ウルトラマンの飛び人形(飛行ポーズ)がそのまま回転したりするような、原典の特撮シーンにあるアクションを、現代的にかっこよく描写していたところなんかは、技術の制約でまるでギャグのような魅せ方しかできなかったものでも、工夫ひとつでこんなにも面白く魅せられるものなのかと、改めて驚かされた。
 技術の発展でなんでもできる時代ではあるが、こういった魅せ方の探求を怠ってはならないなと感じさせられた。

 総論としては、人物の描写に少々物足りない感じはありつつも、お金を払って劇場で観ることに関して、あまり損はなかったと感じられる映画だった。
 物足りないと思った部分に関しては、庵野監督が作る「シン・仮面ライダー」で改善されていることを楽しみにしたいところである。

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