Photo by junsus79 雨と芍薬 藤猫/樟 2022年7月1日 22:05 「雨のおとがきこえる 雨がふっていたのだ」と あまりにもしみじみと彼が歌ったので 庭の芍薬は静かにその花びらを開いた やわらかい薄紅は 透明なしずくとの 親和性において並ぶものとてなく 惨くも溶けだした 花は涙など流さない ただその芳香を打ちすえられて 地に還っていくだけだ 雨がふる 雨がふる 緑を鮮やかせ 空を染め直し 風を研きあげ 季節をすすめていく「雨があがるように」 雨があがった後には「しずかに死んでゆこう」 溶け崩れ消えていく春の残骸作中「」引用 八木重吉「雨」より ダウンロード copy #詩 #春 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート