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劣後債のコールスキップについて教えてほしい【お客様からの質問シリーズ⑨】

こんにちは
ウェルスパートナー(https://wealth-partner-re.com/)で富裕層向けIFAをしている藤村大星(https://twitter.com/wp_fujimura)と申します。

劣後債・永久劣後債・CoCo債に繰上償還日(コール)が設定されていますが、これをスキップすることがあるのはご存知でしょうか。今回は債券のコールスキップについて書こうと思います。


(1)コールスキップとは何か

コールスキップとは、債券発行体が繰上償還日に債券を償還しないと判断することを指します。一般的に繰上償還条項がついている場合はそのタイミングで償還することが慣例ですが、様々な要素により償還がスキップされることがあります。

(2)コールスキップはどのような時にされるか

劣後債、永久劣後債、CoCo債のコールスキップは、以下の要因などによって引き起こされる可能性があります。

・経済ショック等で再発行が困難な場合

例えば、リーマンショックがあった2008年から2009年に期限前償還を迎えていた永久劣後債は償還がスキップされたものが多かったです。
市場全体がパニックになっている局面で償還させてしまうと高金利でなければ債券を発行できない場合が多く、償還するよりも継続した方が経済合理性があると発行体が判断した際にはスキップする場合があります。

・発行体の財務状況が著しく悪化している場合

発行体の財務状況に疑問符がついている状況で償還させてしまうと、再度調達する際に高金利でなければ調達できないことが考えられます。
償還するよりもスキップした方が経済合理性があると発行体が判断した際にはスキップする場合があります。

・償還スキップ後の金利が割安な場合

コールスキップの判断は「コールスキップした場合の利率」と「償還し新たに債券を発行した場合の利率」を比較し、経済合理性の高い方を選択します。

発行体の信用リスクが一時的に高まっている場合などは、新しく債券を発行しようとしたら高い利率でなければ、資金を集める事ができません。
そのような場合はコールスキップする可能性もあるかもしれません。

コールスキップ前後の利率は変化します。コールスキップすることにより、償還させて新しく発行するよりも利率が大きく下がる場合があるため、そのような場合はコールスキップする可能性があります。

(3)コールスキップによる発行体側のデメリット

投資家は繰上償還日に償還されることに期待して債券を買付します。そのためコールスキップされた場合は、債券の価格は大きく下落することもあります。
コールスキップをすることによる発行体にとってデメリットは3つあります。

・資本性認定の低下リスク

劣後債・永久劣後債・CoCo債は発行した債券の一部を負債ではなく純資産としてカウントできる特殊な債券です。
この資本性を判断する基準に残存年数も含まれます。コーススキップをすることで残存年数が短くなり、資本として認められる金額が減少する場合があります。

・支払い金利の上昇リスク

コールスキップ後の利率は変化するものが多く、コールスキップ前よりも利率が上昇する設計がとられているものが多いです。発行体は投資家に支払う金利が増加する場合があります。投資家からしたら毎年支払われる金利が高くなるので悪いことではないです。

・評判が悪くなるリスク

基本的に投資家は、繰上償還日に償還されることに期待して債券を買付します。コールスキップは投資家の期待を裏切ることになるので市場における信用力が低下し、債券を発行しても高い利率ではないと資金が集められないなど資金調達が難しくなるリスクがあります

(4)投資家のデメリット

・計画が狂う

基本的に繰上償還のタイミングで償還される前提で投資をします。しかしスキップされた場合は、継続保有になるのでその時期に合わせて何かに投資資金を使う計画している場合は、売却しなければその資金は使えないです。
繰上償還条項がついている債券に投資する場合は、資金使途が決まっていない長期的な資金で投資しましょう。

(5)コールスキップの具体的な事例

コールスキップの事例については以下の記事でまとめたので併せてご覧ください。

(6)まとめ

今回は劣後債のコールスキップについてです。想定していたタイミングで償還しないかもしれないのは、すごく不安になると思いますがリスク管理をすれば恐れることではないです。繰上償還条項がついている債券に投資する場合は、そのタイミングで資金使徒が決まっている資金ではなくスキップされても困らない資金で投資してください。

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