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上場企業オーナーが証券担保ローンを活用する際の注意点【証券担保ローンの基礎シリーズ⑥】

こんにちは
ウェルスパートナー(https://wealth-partner-re.com/)で富裕層向けIFAをしている藤村大星(https://twitter.com/wp_fujimura)と申します。

資産の大半が自社株の上場企業オーナーにとって証券担保ローンは有効な資金調達手段ですが、活用にあたっての注意点はかなりあります。
今回は「上場企業オーナーが証券担保ローンを活用する際の注意点」について解説します。


(1)シングルストックローンの活用

証券担保ローンの活用では外資PBの方が使い勝手はいいですが、日系金融機関にしかない強みがあります。
それはシングルストックローンが可能な点です。
シングルストックとは、1種類の株式を担保に資金を貸してくれるかということです。これは上場企業オーナーに密接に関係しています。

上場企業のオーナーは資産配分の大半が自社株式になっており手元資金はそこまで多くない方も多いです。
株式は売却すればすぐに現金化できるので証券担保ローンを活用するまでもないと思いがちですが、議決権の都合上できなかったり、株価の大幅な下落を招いたり等、現実的ではないケースも多いです。


そういった眠ったままの自社株式を活かす手段がシングルストックローンなのです。しかし活用時の注意点もかなりあるので解説します。

(1)株式は特に担保割れリスクが高い

証券担保ローンの活用で最も避けなければならないのが担保割れです。
担保割れとは担保資産の価格下落などによって担保資産の評価額が所定の基準を下回る状態を指します。
借入残高>担保時価×MCになってしまったら担保割れになります。

株式は値動きが激しい資産です。特にグロース市場に上場している株式であれば株価が半値以下になる可能性もあります。借入金額の調整で担保割れ水準のコントロールは可能ですが、株価のコントロールはできません。

債券を担保にする時よりもリスクは段違いに高いので、債券と同じテンションで活用してはいけません。担保割れリスクが高いことを理解した上で活用しましょう。

(3)担保割れを避けるための戦略

・担保割れ水準から逆算して設計する

担保割れ水準から逆算して借入額や担保提供額を設定すると安心感があると思います。
例えば、担保割れ水準を「60%の下落までOK」で設定するのであれば、そのためにはどれくらい担保提供が必要なのか、どれくらい借入できるのかを計算するということです。
担保割れ水準は銘柄やお考えによるので一概にどれくらいの水準であればOKというのは難しいですが、株価が半値以下になる可能性も考慮すべきです。

よってかなり保守的に見積もった担保割れ水準から逆算して借入額や担保提供額を設計するようにしましょう。

・担保余力は残しておく

担保割れになった際に追加で自社株を担保提供することで回避ができます。

すでに自社株を全て担保提供してしまっていたら、追加で担保提供することはできないため、担保提供する際は、万が一に備えてある程度の余裕を残して担保提供することをお勧めします。

担保提供や返済ができない場合は、自社株は低い株価で強制売却されてしまいます。

・活用のタイミング

これに関しては考え次第ですが、株価が落ち着いてきたタイミングでの活用が望ましいです。
担保割れのリスクが高いため割高なタイミングであえて活用する必要はないとも言えます。

(3)借入後は流動性の高い資産で運用をする

担保割れになった際に取る手段として、返済をすることも可能です。

金融機関によりますが、担保割れしてから数週間以内に担保の追加提供・返済をする必要があります。

よって借入後の運用に関しては、流動性の低い資産ではなく、数日で現金化が可能な資産での運用をお勧めします。特にドル建て債券での運用が一番多いです。その理由については別の記事で解説します。

(4)まとめ

今回は上場企業オーナーの証券担保ローンの活用についてでした。外債担保ローンよりも担保割れリスクが高いため、保守的に条件を設定して活用の際はかなり慎重に行う必要があります。

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加入協会:日本証券業協会

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