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BCAAがトレ後の筋肉痛を回復させる!


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今、スポーツ栄養学の界隈では、BCAAと筋肉痛がトピックスになっています。
2017年9月、BCAAと筋肉痛について、テヘラン医科大学のRahimiらはメタアナリシスを報告し、同じ月にマルセイユ大学のFouréらはシステマティックレビューを報告しました。

 ※メタアナリシス、システマティックレビューはともに質の高い研究データを集め分析した、最もエビデンスレベルの高い報告です。


ふたりのレビューは、このように結論づけています。

「BCAAが筋肉痛を回復させるが、効果は最適な摂取方法にもとづく」


これまでにもBCAAが筋肉痛を回復させる報告は多くありますが、統計的なエビデンス、有効な適応や使用方法は明確になっていませんでした。今回のレビューによって、これらのすべてが明らかになりました。
 
今回は、RahimiとFouréらのレビューをもとに、BCAAが筋肉痛に与える効果について考察していきましょう。


 
◆ BCAAが筋肉痛を回復させるメカニズム


誰でも経験のある筋肉痛ですが、現代のスポーツ医学でもそのメカニズムの解明には至っていません。
 
筋肉痛は運動後に遅延して生じることから、遅発性筋肉痛(Delayed onset muscle soreness:以下DOMS)と言われています。これまでに検証された筋肉痛のメカニズムには乳酸、筋痙攣、結合組織損傷、筋肉損傷、炎症および酵素流出といった5つの理論が提唱されてます(Cheung K, 2003)。

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そして近年では、トレーニングやスポーツによる過度な機械的刺激が筋肉を損傷させ、筋タンパク質の分解を促進するとともに、炎症および酵素を流出させることにより筋肉痛が発症すると考えられています(Rahimi MH, 2017)。
 
筋肉痛のメカニズムの解明が進む中で、BCAAによる筋肉痛の改善効果についての知見が2000年ごろから報告されるようになりました。
 
1970年代から、BCAA(分岐鎖アミノ酸)が筋肉のもととなる筋タンパク質の合成・分解作用に影響を与えることが動物実験で示されて以来、ヒトへの効果の研究が進められてきました。
 
BCAAの主な作用は、トレーニングによる筋タンパク質の分解作用を抑制するとともに、ミトコンドリアの生合成と活性酸素の除去が示唆されています。
 
筋肉の量は、筋肉のもととなる筋タンパク質の合成量と分解量のバランスによって決まります。トレーニングを行うと、筋タンパク質のバランスは分解作用に傾きます(その後にタンパク質を摂取することで合成作用に傾き、筋肉が肥大します)。
 
トレーニングによる筋タンパク質の分解は、筋肉から遊離する必須アミノ酸によって生じます。BACCの摂取は、遊離する必須アミノ酸の量を軽減し、筋タンパク質の分解作用を抑制することが明らかにされています(Valerio A, 2011)。
 
また、BCAAに含まれるロイシンには、筋タンパク質の合成作用を刺激するとともに、筋肉の損傷の修復過程を促進する働きが認められています(Nair KS, 1992)。
 
さらにBCAAの摂取によりミトコンドリアの生合成が促進され、トレーニングで生じた活性酸素による酸化を防止する作用が示されています(Valerio A, 2011)。
 
これらのBCAAの作用が筋肉痛の発症因子である筋肉損傷や炎症を緩解させると考えられているのです。

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◆ BCAAによる筋肉痛の予防戦略

 
筋肉痛に対するBCAAの作用にもとづいて、ランニングなどの持久力トレーニング、高強度のレジスタンストレーニング(筋トレ)による筋肉痛を軽減させることがこれまでの研究で報告されています。
 
しかし、統計的なエビデンスやBCAAによる筋肉痛の適応や最適な摂取方法は明らかになっていなかったのです。
 
2017年9月、テヘラン医科大学のRahimiらは、これまでに報告されたBCAAと筋肉痛についての8つの研究データを統計解析しました。
 
その結果、BCAAの摂取はストレッチングや長期の安静といった他の介入に比べて、筋損傷のマーカーであるCK(クレアチンキナーゼ)を有意に減少させることが明らかになりました。
 
CKは筋損傷によって筋細胞から酵素が滲出することを示すマーカーです。そのため、BCAAの摂取によるCKの減少は、トレーニングによって損傷を受ける筋細胞の膜を維持した結果であると推測されています(Rahimi MH, 2017)。

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Rahimiらの報告は、BCAAが筋肉痛を緩解させるというこれまでの報告を肯定するものであり、さらにメタアナリシスによってそのエビデンスを示したのです。
 
同じ時期、マルセイユ大学のFouréらは、BCAAと筋肉痛に関するシステマティックレビューを報告しました。
 
Fouréらは、これまでに報告された11の研究結果をもとに、BCAAが効果を示す筋肉痛の程度と最適な摂取方法について検証しました。
 
その結果、BCAAは、軽~中等度の筋肉痛に対して効果的であり、重度の筋肉痛には効果が低いことがわかりました。
 
軽度から中程度の筋肉痛であれば、BCAAによる筋肉痛の改善効果が期待できます。しかし残念ながら、高度に筋肉が損傷した場合は、BCAAによる筋修復や活性酸素の除去などの効果が及ばないことが示唆されたのです。
 
また、 筋肉痛を効果的に予防するためには、トレーニングの前にBCAAを摂取することが示されました。
 
これは、BCAAの摂取により増強されるミトコンドリアの生合成や酸化の予防効果が即時的には作用しないためです(Valerio A, 2011)。持続的な摂取により効果が増強することから、トレーニングの前にBCAAを摂取することが推奨されています。
 
このような理由から、BCAAの最適な摂取時期は、トレーニング実施日の7日~10日前から始めるのが効果的であるとしています。そして最適な摂取量は、1日あたり体重×200mg以上(>200mg/kg/day)であることが示されました。
 
このような摂取方法は、BCAAをトレーニングの4日前から200mg以下の量を摂取したところ、筋肉痛の軽減効果が認められなかったという報告から裏付けられています(Kephart WC, 2016)。
 
Fouréらは、これらのレビューの結果から、筋肉痛の適応や摂取方法を適切に行えば、BCAAによる予防効果が期待できるだろうと結論づけています。
 
 
2017年9月、奇しくも同じ時期にRahimiとFouréらによってBCAAによる筋肉痛の回復効果のエビデンスが示されました。
 
筋肉痛の軽減を目的にBCAAを摂取する場合は、筋肉痛が予測されるトレーニングの日の7~10日前から摂取を始めましょう。

1日の摂取量は体重×200mg以上です。

体重が70kgであれば14g以上が目安になります。

まとめ

 
・BCAAの摂取は、軽度〜中等度の筋肉痛に対して効果的である
・トレーニング日より7〜10日前から摂取を続ける
・摂取量は1日に体重×200mg以上(>200mg/kg/day)
 
筋肉痛のメカニズムは未だに明らかになっていませんが、RahimiやFouréらのレビューにより、BCAAが筋肉痛を軽減させること、その最適な摂取方法のエビデンスが得られているのです。

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◆ 参考論文

・Rahimi MH, et al. Branched-chain amino acid supplementation and exercise-induced muscle damage in exercise recovery: A meta-analysis of randomized clinical trials. Nutrition. 2017 Oct;42:30-36.
・Fouré A, et al. Is Branched-Chain Amino Acids Supplementation an Efficient Nutritional Strategy to Alleviate Skeletal Muscle Damage? A Systematic Review. Nutrients. 2017 Sep 21;9(10).
・Cheung K, et al. Delayed onset muscle soreness : treatment strategies and performance factors. Sports Med. 2003;33(2):145-64.
・Valerio A, et al. Branched-chain amino acids, mitochondrial biogenesis, and healthspan: an evolutionary perspective. Aging (Albany NY). 2011 May;3(5):464-78.
・Nair KS, et al. Leucine as a regulator of whole body and skeletal muscle protein metabolism in humans. Am J Physiol. 1992 Nov;263(5 Pt 1):E928-34.
・Kephart WC, et al. Post-exercise branched chain amino acid supplementation does not affect recovery markers following three consecutive high intensity resistance training bouts compared to carbohydrate supplementation. J Int Soc Sports Nutr. 2016 Jul 26;13:30.

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