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素朴な疑問

 菅野志桜里 旧姓 山尾志桜里 氏だが、
立憲民主党の衆議院議員を引退し、現在は「The Tokyo Post」の編集長とか。
 この方が現在の活動をされるときに、通称名の「山尾」ではなく、本名の「菅野」に戻されたという。理由は「通称名を使い続けることに不便を感じた(耐えがたい)早く選択的夫婦別姓になってほしい」との発言があったようだ。
 この方の場合、山尾というのは、婚姻時に夫の姓になったことで名乗っていたわけだが、その後離婚されたのちも、山尾という元夫の姓を、通称名として使っていたようだ。婚姻時にご存じのように議員としてのキャリアを積んでおられたので、名前を変えることには、仕事上の不利益が生じるため、離婚後も通称名として元夫の姓を名乗ったというのは、一般的にもあることなのかもしれないが、不思議に思ったことがある。
 
 選択的夫婦別姓の問題というのは、普通婚姻中に起こる。
 たとえば、結婚前からキャリアを積んでた女性が、結婚して、夫の姓になったとする。戸籍上の名前は夫の姓だが、結婚前のキャリアを考えると、名前が変わってしまうことは仕事上の不利益が起こりかねない。せっかくの結婚前のキャリアを生かすためにも、ここは旧姓のまま仕事がしたい。ということで、旧姓を通称名として仕事では使っている。
 これが通称名を使っている女性の姿だが、問題は、職場によって、また職種によって、さらに状況によって、通称名が使えない、もしくは不利益を被ることが起こる。かといって、本名である夫の姓を使うと、せっかく積んだキャリアがうまく生かせない。
 だから選択的夫婦別姓が認められれば、結婚前の名前を、本名として使うことができるから、是非この制度を作ってほしいということだ。

 ただ、山尾(改め菅野)氏の場合、離婚された後に、元夫の名前を通称として使い続けているが、本名ではないので、不利益が生じたというのだが、確かにそういうことはあっても不思議はないけれども、ではどうして、山尾氏は、離婚後に旧姓を本名としたのだろうか。
 婚姻時には、夫婦でどちらかの戸籍に入るため(どちらかの姓を選ばなければならないために)結果として件の問題が起こるわけだが、これは必ずしも離婚後適用されない。
 というのは、離婚後に、旧姓に戻る必要は無いからだ。

 私の記憶が確かならば、離婚時には、旧姓であれ、婚姻時の姓であれ(つまり配偶者の姓)どちらでも選ぶことができたはずだ。つまり、「山尾」を本名とすることができたはずだ。
 確かに、離婚して、そのまま放っておくと、自動的に旧姓に戻るようだが、一定期間内に届けを出せば、夫の姓を自分の本名として使うことができるようになったはずだ。ただしこれをすると、次に旧姓に戻したくても、家庭裁判所に届け、許可を得る必要があるらしい。
 それでも、元夫の姓を離婚後も戸籍上の名前として使い続けることはできる。
 山尾氏の場合、本当に婚姻時の姓を使い続けることが必要なら、そして通称名を使い続けることに不利益があるなら、この届けを出して本名を山尾にすればよかった。
 逆にプライベートでは旧姓に戻った方が便利だというなら、通称名として山尾を使えばいいし、旧姓に戻り、かつプライベートと仕事上の名前が一致することがメリットが大きいと思うなら、現在のように旧姓に戻って、仕事上も旧姓にすればいいだけのことである。
 選択的夫婦別姓の問題というのは、現在の法律上では、あくまでも婚姻中において、夫婦でひとつの姓を選択しなければならないことから来る不利益の問題であって、離婚後の問題では無い。と思っていたのだが、私の解釈は誤っているのだろうか。

 彼女がなぜその部分で悩んだのかよくわからない。単に、旧姓に安易に戻ってから、不都合を感じたが、既に山尾を使い続ける届けを出す期限が過ぎてしまっていたので、通称で使っていたが、やっぱり駄目だった、ということなんだろうか。
 いやそれはないだろうと思う。なぜなら彼女は弁護士だからだ。


 で、結局彼女がなぜ悩んだのかよくわからなくなった。

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