第8歩「追っかけ入り待ち」

 (※2018年11月ハチモットで連載した記事の加筆修正版となります)
 
藤森建築で宿がしたい!
たくさんの人に藤森建築を楽しんでもらいたい!
どうか、どうか、設計してください。
と藤森さんへラブレターを手渡し、どきどきその返事を待ちます。
待って、待って、待って・・・
ん、おかしい?返事がない。
 
そこで私にできる次なる一手!
“茅野への移住”
これしかない(笑)
我ながらフットワークが軽くて驚きますが、行動あるのみ!
穂高に暮らしながらラブコールを送っててもダメだ、では、茅野へ。
(茅野市は藤森さんの故郷でもあり、大好きな高過庵のあるところです)

大好きな穂高養生園を後にするのは寂しいけれど、どうしょうもなく気持ちは前に進んでいるのです。
行くしかない、と3年暮らした養生園を離れる決意を固めます。
養生園には長めの冬休みがあります、そのタイミングで茅野に移住しよう。
ちょうど、かずくん(旦那)の学校(藤森建築を建てる為に、職業訓練校の建築学科に通っていました)も冬で卒業、春から一緒に暮らせるお家を探すことになりました。
さあ、どうやって探そうか?
「せっかくだから自分の紹介になるような事をしたいな〜」
と、食べ物屋さんができる物件を探します。
「間取りが素敵ですよ」と紹介された物件は、築36年のお家。
ただ、まだ人が住んでいて中が見れないとの事・・・
荷物を養生園に置かせてもらっているので、タイムリミットは4月の開園まで。
中を見てから決めていたのでは、間に合わない!
という事で、まさかまさか、一か八かの内見なし契約となりました(笑)
さて、そのお家。
実際に入ってみると、お庭も広く立派で気持ちのいいおうちでした。
よかったよかった。
はじめたお店は「おいしい家(や)」
一人で切り盛りする玄米菜食の小さなお店、水・木はお弁当の仕出し、金・土は食堂。
初めての自分のお店、一番に考えた事は・・・
ユニフォーム(一人なのに)(笑)
それからお店のコンセプトブック(笑)
おいしい家のときも、くらしまわりになった今も変わらない気持ち。
〝身体だけでなく、心の栄養になる様なご飯〟を作りたい。

さあ、いよいよ茅野での活動が始まります。
肝心の藤森さんにも茅野に越して来た事を伝えなくては!
と張り切りつつ、さすがに引かれるかな?・・・との不安も少し(笑)
茅野市民館主催で毎年行われる“高過庵・空飛ぶ泥舟見学会”に合わせて、藤森さんに引っ越しのご挨拶に行く事にしました。
茅野市民館学芸員の前田さん(お茶会のお誘いをしてくれたキーマン)にお願いをして、お昼ご飯の差し入れをさせてもらう事に!
いままでは遠方だったのでお菓子の差し入ればかり、今回初のご飯!
「よぉ~~っし!」

藤森さんの為に始めたといっても過言はない、おいしい家(や)
「茅野に引っ越して来ました」(ドキドキ)
藤森さん「ああ、そう」
「・・・はい、また宜しくお願いします」(ほっ、引いてはない(笑))
そして気になるお弁当の感想は!
「美味しかった」
と、前田さん経由で聞いて(笑)一安心。
直接言わないところが藤森さんらしいのです。

さあ、このお弁当には定番のお手紙付き!
藤森建築で宿がしたい!諦めてません、お話聞いてください。
との言葉を添えて。
 
それから待てど暮らせど、藤森さんからのお返事はなく、
あれ?もしかして相手にされてない?
カーッ(赤面)
なんて何度も何度も振らている様な恥ずかしい気持ちになるのでした(笑)
“追っかけの入り待ち”なんせ茅野に越して来たんですから、もう一踏ん張り、
がんばれがんばれ典子!
次回は藤森さんをお招きするお話「おいしい家(や)へようこそ」

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