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事業立ち上げから安定期まで

社内の新規事業や起業に関わらず、事業立ち上げ〜安定期に到るまでどのようなフェーズがあるのか。各フェーズでどのような課題に直面するのか。

最近読んだ本を参考にしつつ、アレンジして概要まとめてみました。
↓全体像(ベンチャーの投資ラウンドにそう形で作成してみた)↓

note資料

1:仮説作成(Idea Vertification)

事業をつくる際に最初にやるべき事は事業アイデアPlan Aを作ること。のちにPlan B、Cとバージョンが変化していくので、その時点で最善だと思うアイデアで問題ない。

事業アイデアを形にする方法として、ビジネスモデルキャンバスまたはリーンキャンバスを利用すると良い。大手企業が既存リソースを活用していく場合には組織体制についての要素が入っているビジネスモデルキャンバスを、スタートアップの場合は特に課題やソリューションにフォーカスしているリーンキャンバスの利用が向いている。

ビジネスモデルキャンバス

リーンキャンバス

2:顧客課題仮説の検証(CPF)

次に仮説で立てた課題が実際に正そうか検証していく。いわゆるCPF(Customer Problem Fit)の達成を目指す。

課題の検証の前にソリューションの質をあげようとしないこと。あたり前かもしれないが先に課題の質を上げて本当に課題が存在するのか明確すべきで、先にソリューションについて議論を深めても意味がない。

アイデア図

CPFにはインタビューを用いる。インタビューを繰り返すことで時には考え方、捉え方を変えながら課題の質を高めていく。
インタビュー相手にはエバンジェリストカスタマー(プロダクトを作った際に最初にそれを使ってもらえるユーザーになりそうな人)が最適。具体的には以下の5つを満たす人を探す。

1:ソリューションの予算を確保している
2:製品の寄せ集めでなんとかソリューションを持っている
3:積極的にソリューションを探求している
4:課題を認知している
5:課題を探求している
「起業の科学」より

エバンジェリストカスタマーは以下の質問に答えられるかで判断ができる。

・「現状の課題を解決するためにどのような代替案を利用していますか?」(How)
・「その代替案の不満なポイントはどこですか?」(What)
・「この課題を解決できるなら、いくらの予算を確保できますか?」(How much)
「起業の科学」より

(*インタビューの種類や具体的な方法については今回は触れないでおく)

3:ソリューション仮説の検証(CPF)

CPFが達成された次はソリューションがあっているかの検証、いわゆるPSF(Problem Solution Fit)を目指しつつ、将来的にビジネスとして儲かるような構図を作れるかを考えていく。
具体的にはプロトタイプを作成し、エバンジェリストカスタマーにフィードバックをもらうことでPSFを目指す。同時に数字的な事業計画を作成していくフェーズになる。

プロトタイプには以下の5つのレベルがあり、レベルが高い方が将来実際にリリースするプロダクトに近づいているのがわかる。注意しなければならないのは「Nice to have」ではなく「Must have」にフォーカスすること。プロダクトの本質的な価値部分である「なければならない要素」に全リソースをあてることで最短でプロトタイプの改善ができる。

プロトタイプ

4:MVPの作成と販売(PMF1)

MVP(Minimum Viable Product)とはユーザーが実際に使用できる「必要最低限の機能を持ったプロダクト」のことをさす。これはプロトタイプの最終形態でLevel6に値すると言っていい。

MVPが出来上がったかの目安はMVP=MSP(Minimum Sellable Productになっているかどうか。エバンジェリストカスタマーで良いのでお金を払って使ってもらえるものになっていれば第一関門突破と言える。

プロトタイプとMVPについてまとめてみたが、実のところ、MVPの定義は曖昧であることがわかった。例えばDropboxが3分間の動画のプロダクトデモを公開し事前登録ユーザーを7万人増やした事例もユーザー自身がサービスを使えているわけではないがMVPを達成したという取り上げ方がされている。この事例を踏まえるとMSP(お金を払ってもらえる最低限のプロダクト)を作成した、またはニーズにマッチするプロダクト案を市場に提案できた状態(仮Product Market Fit状態)をMVPの達成と定義できるかもしれない。

5:β版作成とグロースドライバーの発見(PMF2)

ユーザーからのフィードバック(定量・定性)を元にプロダクト改善を重ねプロダクトをより市場にフィットさせていくだけでなく、LTV(顧客生涯価値)>CAC(獲得単価)が成り立つ営業やマーケティング手法=グロースドライバーを発見することが求められる。

新規事業においてはLTV>CACを実現させるために、営業・マーケティングにおいても何かしらの発明が必要になるケースが多い。
「新規事業の実践論」より

6:グロースの実現と環境変化への対応

グロースドライバー発見できれば基本的には資金があれば成長する。ただ、マーケティングに力を入れ始めるこの時期から大きく3つの問題がでてくるようになる。

1:組織の疲弊・成長痛(主に人員増加にともなうコミュニケーションコストの増大)
2:CACの悪化(顧客の拡大にともなって当初成立していたマーケティング手法も効かなくなってくる)
3:競合の出現(異なる機能を軸にしての参入やより低価格の参入など自社のポジションを脅かす存在となる)

つまり、人が増えても共通意図の元スピーディーに動ける組織をいかにつくれるかという内部の問題と、市場や競合をチェックしながら時には計画を修正するなど柔軟に対応できるかが重要になる。

コラム
LTV=CACになるポイントがその営業やマーケティング手法における「顧客獲得上限数」になるはず。CACの悪化状態をみながらそこに至った時点でどの程度の売上・利益規模になるのか、黒字化は果たせているのかを考え、状況が悪ければ計画を見直す必要がある。

7:成長率を落とさず成長継続&ガバナンスの構築

事業が大きくなってくるにつれ、それまでのフェーズでは見過ごされていた小さな問題が露見することが事業存続に関わる大きなリスクになりかねない。そのためこのフェーズではどの企業と比べても問題のないガバナンスの構築が必要になる。もちろん事業サイドでは引き続きCACの悪化や競合に対応しつつ成長を継続することが求められるが、ここまでくれば社内の新規事業なら既存事業とも遜色ない状態、起業であればEXITも見えてくる安定期に入ったと言える。

結びに・・・
今回は全体の流れをざっと説明するにとどまったが、次回以降は今回詳細を書けなかった課題発見のスキームやユーザーインタビューの方法等について関連書籍を読みながらまとめていきたい。


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