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幸せのベクトル

fun to the life

最近の若い者は…というセリフは、紀元前エジプトの時代から吐かれてきたそうだ。
新人類とか、ゆとり世代とか、さとり世代とか、わけのわからないものをカテゴライズして安心をするのはいつだって怖がりの自称ナイスミドルたち。特に日本は民族も宗教も文化もほぼ単一だから、異質なものへの同調圧力が強いのだと思う。もちろん学校や会社といった組織に所属することは少なからずその文化に自分を合わせることだけれど、それがそもそも「変だな」って多くの普通のひとが気付き始めて来たように思う。

日本が世界でナンバーワンだった時代があったそうだ。
バブル崩壊後に生まれた自分にはあまり馴染みがない話だけれど、イノベーティブなプロダクトが日本から生まれ続けた時代があったそうだ。しかしその役割はもはや日本は担っていない。
では日本は衰退したのか? 「普通」の暮らしは変化し、物質的な側面から見て、資本主義的な豊かさから見て、おそらく諸先輩方は「最近の若いもんは…」というセリフを吐きたくなるようなスタンスで生きることが普通な時代がやってくるだろう。けれどそれは幸せのベクトル・次元が変わって来ただけなのだ。

100 万円の年収を積み上げるために残業するよりも、家族との時間が長い方が良い。都内より不便でも土の上に住みたい。稼いで足りない分は、みんなで耕して作ればいい。空いた時間には星を見て、思いついたアイディアが、副業として芽吹くこともある。

例えばほんの10 年前に現れたiPhoneが世界を大きく変えたように、そろそろまた、変化がある。日本のみならず、人間という存在が感じはじめた幸福の尺度の変化。願わくばその変化に嘆息をつくことなく、新しいことをワクワクしながら楽しめる自分でありたい。

【地域情報誌フジマニvol.128(2017年5月)掲載の編集長コラムからの転載です】

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