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愛のある仕事

be carefully

有限な時間と有限な熱量。
この二つをどうやってコントロールをするか。

この一ヶ月で浮かび上がってきたテーマはその昔、十代の頃にコックのアルバイトしていて感じていたことと重なり合って思い返される。
まず、「こういう料理を作ろう」とイメージをし、それに必要な食材を揃え、下ごしらえをして、味付けをして、煮たり焼いたり蒸したり…。そうして出来上がった料理は確かに美味しいけれどそこに至るまでのプロセスにかけられる時間は有限だから、その有限な時間を短縮するためにさまざまな工夫を凝らして、可能なかぎり美味しいものを最大限効率よく提供することを努力する。

「段取り八分」とはよく言ったもので、そのための『工夫』が重要なのだと身にしみた、そんな有意義なアルバイトだった。
時間×熱量=仕事の質。けれど、かけられる時間も熱量も有限だから、質を維持して手間を減らす工夫をする。仕事の上でのその工夫が「見える化」だったり、いまどきの「クラウド」だったり、「分担」だったり、「アウトソーシング」だったりするわけだけど、その工夫=仕組みづくりができないくらいに手が回らない状態に立った時、そこに至ってはじめて、仕事を「断り・選ぶ」ということを考えた。

「やってやれないことはない」
そう考えて請け負った仕事は、確かにやることはできたかもしれないけれど、出来は納得いかないもので、納期はギリギリかまたは遅れてしまう。
最後につじつまを合わせたとしても、そこに残るのは安心感のない中途半端な結果を残した仕事。それは無意味な仕事なのだ。
そう気づかされた一ヶ月。時間も熱量も、有限だ。だからこそ丁寧に、思慮深く、愛を持って仕事をしていきたい。

【地域情報誌フジマニvol.119(2016年8月)掲載の編集長コラムからの転載です】

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