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ベイビー逃げるんだ

You are not alone.

自分の周りが敵だらけなとき、とにかく絶望的な気持ちになる。
誰も助けてくれる人がいない、その状況は全ての気力を失わせる。逃げるとか立ち向かうとかいう次元じゃなく、なにもかもを投げ捨てたくなる。ゼロにしたくなる。死ねば楽になると思えてしまうのだ。

けれど、実はその敵の周りには敵を取り囲む多くの味方がいて、実は悪意のある敵を挟み撃ちにしている状況なのだ。ところが、囲まれている本人はそんな味方の存在に気づけない。それが子どもであれば、なおさらだ。

絶望的な状況に一歩も動けなくなってしまった自分の大切な人や、子ども。そんな状況におちいってしまった人を、助け出すためにどんな具体的な方法があるだろう。
SOSすら出せなくなってしまった大切な人の絶望に、どうやって気づいてあげることができるだろう。
明確な答えが見つからないから、まだ子どもが自ら死を選ぶという、悲しいことが起き続ける。

そんなのはあまりに辛いから、俺は答えを考えた。

その答えのひとつとしては、『「世界」は広く、限りないということを、できるだけ早いうちに実体験として知る機会を作る』ということだった。

たとえば「学校」しか世界がないとき、その世界に拒絶されたら、とても生きてはいかれない心持ちになるだろう。
けれど、実際には学校なんて、人生のいっときを過ごすだけのごく小さなコミュニティでしかない。「空手道場」でも「そろばん教室」でも「ボーイスカウト」でもなんでもいいから、別の世界に居場所を持っていれば、「世界」を捨てる選択肢が生まれる。

死を選ぶくらいなら捨てて、逃げればいい。
死んだ方がマシなことなんて、ない。

子に死なれた親の、心持ちのほかには。

【地域情報誌フジマニvol.122(2016年11月)掲載の編集長コラムからの転載です】

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