人の世の未来

Division of roles

(地域情報誌フジマニ 2018年12月 vol.142掲載の編集長コラムからの転載です)

ホーキング博士は100年以内に人類が滅亡すると預言をしたけれど、僕は人の世の未来を信じてる。
例えば日本のゴミ処理が整備されたのも、交通事故で山のように人が死んでいた現状が改められたのも、ここ50年のあいだでひっくり返ったことなのだ。すべての人が人間らしく働くための制度づくりも、多くのマイノリティに対する理解も、マウンティングがダサいことになってきたのも、ここ数年のこと。特にインターネットが敷き詰められてから人は「隠された悪を注意深く拒むこと」が得意になったような気がする。
もちろん弊害はある。わざわざ粗探しをして、針小棒大にことを荒立てるモンスターも生まれた。けれど情報を見極め、真実を見つける目を養うことが求められるようになってきたのは、良いことだと思ってる。

僕は人の世の未来を信じてる。そしてあらゆることが「良い方向に向かっている」と信じてる。ただしそれは、これまでとは違う意味での幸せを追求する道なのかもしれない。
欲しいものが安くすぐ手に入り、食べたいものがいつでも食べられる。そういう幸せを実現するために犠牲になる誰かがいるのだとしたら、それは手放すべきなのかもしれない。
ネットショッピングで買った品物が翌日届くことも、コンビニが24h営業し続けることも、歪いびつな幸せであるということを、気づくべきときがやってきているのかもしれない。

Googleは数年以内にモバイルネットワークの70%が3G回線程度のパフォーマンスしか出なくなると予測しているという。未来は進化や拡張をし続けるわけではない。必要に足る分だけを取ること。みんなが幸せになるために、誰もが努力をする世界。弱肉強食ではなく、共存共栄でもなく、役割分担。そんな人の世の未来を、信じてる。

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