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ゴールデンウィーク

「一人暮らしをしていて、どんな時に不安を感じますか?」

この質問に対して、多くの方が『体調不良の時』と答えるそうです。

確かに、
体調が悪い時に一人で過ごすのは心細いものです。

私は、子供の頃。
とても体が弱かったので、よく体調を壊していました。

そんな時、
ウトウトとしながらも、
必ず聞こえてくる生活音に安心したことを覚えています。
それは例えば、
母親の足音だったり、包丁で何かを切っている音だったり、洗濯機の音だったり。
誰かが近くに存在しているということ。

その存在を感じた瞬間に安心する感覚を知っています。

人間は群れをなす生き物なので、きっと本能として備わっているのでしょう。

ーーー

5月1日3時。
前回のnoteを投稿した数時間後、
まだ、外が真っ暗な頃に、突然の腹痛に見舞われました。

そして約1時間半。
睡魔と腹痛と戦った後、突然こみ上げる嘔吐反射に覚醒。

トイレに駆け込み、激しい嘔吐と下痢。

「これはヤバイやつだ…」
10年ほど前に、生牡蠣にあたった時に似た感覚。

因みに、私はあの日。
生牡蠣は一生食べないと心に誓いました。
生牡蠣の美味しさは、あたった時の苦痛を超えることができなかったのですね。

しかし、今回の私には、生牡蠣以上の苦痛が待っていました。

ーーー

私は、看護師を19年していました。
その前提で、私の脳内の思考と共に経過を確認していきます。

トイレに駆け込んだ後。
そこから動けないまま、時間が経過していきます。
頭がガンガンと痛くなり、世界がユラユラと揺れているような目眩と、
脈・呼吸が速くなっているのを自覚します。

自分の手首に指を当てると、トクトクトクと脈が触れる。
いつもより脈は弱くて速いが、ちゃんと触れていることを確認。
腕には、いつも見えている血管が見えない。
(私は普段、男性並みに腕や手の甲の血管がモリモリしている)

今の一番の問題は、腹痛でもなければ、嘔吐や下痢でもない。

『人間の体は急激な水分の消失により脱水になる』

今、既にこれだけの水分が身体から出てしまっている。
自分の嘔吐と下痢の量を考えると、1Lは容易に超えている。

人間は『体重に占める水分減少率』によって症状が異なります。

この時の私の症状は、
目眩・動機・頻呼吸・軽度血圧低下・頭痛でした。

私は今、確実に脱水になっている。
しかも、中等度の脱水症状が出てる。
なんとか、水分補給しなきゃ…

だけど、トイレから動けない。

ようやく、トイレから出れた時。
私は、立ち上がることができず、そのままトイレを出てすぐの洗面所に倒れこみました。

開けっ放しの扉の奥に見える時計は、5時40分だった。

しばらく、横になっていると、また激しい腹痛に見舞われた。

ダメだ。
立ち上がって、トイレに行かないと悲惨なことになる。

頑張れ、ふじこ!
起き上がるんだ、ふじこ!

そう、自分に言いながら、なんとかトイレに移動する。

その後、這うようにしてキッチンに行き、
冷蔵庫から水を取り出す。
ようやく、水分を口にするが飲みにくい。

そして、飲むと腹痛が押し寄せてくるのでやっかいだった。

こんな時はOS-1一択だ!

※OS-1とは、軽度から中等度の脱水症状における水・電解質の補給、維持に適した経口補水液のこと。

トイレとトイレの感覚は、5〜10分しかないので、
その間にUber eatsでOS-1を多量に注文。
約30分で届いた。

「美味しい」
OS-1を美味しいと感じる時は脱水だと言うけれど、本当に美味しかった。

OS-1を無理しない程度に、ちびちびとこまめに摂取し、
5〜10分ごとにトイレへ移動する。
そんなことを繰り返していた。

ところが、
5〜10分毎のトイレの間隔が、半日経っても1時間に2〜3回から減らない。
つまり、全く眠れない。
そして、追い討ちをかけるように、悪寒がし関節が痛む。

今度は熱か…

39度まで上昇した時、解熱剤を飲もうと検討するが、
水分しか摂取できていない状態で、しかも何かしらの胃腸炎だろうに、
解熱剤を飲むのにためらう。

私にとって、
5月1日は、OS-1しか摂取できなかった日。
トイレとベットを往復しただけの日。
寝たいのに寝れなかった日。

結構、辛い日。

ーーー

5月2日の朝方になっても、
39度の熱は一向に下がらず、辛さに負けてアセトアミノフェンを内服した。

その後、やっと1時間半眠れた。

起きて熱を計ると、37.8度。
アセトアミノフェンの優しいパワーでは、下りが悪い。

ようやく、トイレへ行く回数は1〜2時間ごとに伸び始めた。
相変わらず、OS-1をちびちび飲みながら、ウトウトとした時間を過ごす。

この日、YouTubeを見たりできるようになった。
熱は37度後半〜39度を行ったり来たり。

5月2日は、
相変わらずOS-1しか摂取できなかった日。
アセトアミノフェンに助けられた日。
1〜2時間は続けて眠れるようになった日。
YouTubeを見れる余裕ができた日。

ーーー

5月3日。
ようやく下痢が治った!
37度台の微熱は続くが、39度まで上がることもなくなった!

体が回復に向かっていることを確信。
ようやく、食事をする気になった私は、うどんを食べることにした。
もちろん買い物に行く元気はなく、Uber eatsにお世話になりました。

5月3日は、
ようやく回復の兆しを感じた日。
2日ぶりに食事ができた日。
普通に眠れるようになった日。
お風呂に入ったり、簡単な掃除をしたり、少し動けるようになってきた日。

ーーー

一人暮らしをしていると、
時々、このような体調不良を起こすことがある。

この数日を振り返って、
医療の知識がある私は、
朦朧としながらも、ある程度の判断はできていたと思う。
自分の行動と思考を振り返ると笑う。

そして、
間違いなく何よりもUber eatsに助けられた。

私は、
確かに一瞬、誰かに連絡しようかと考えた。

でもね。
誰かが来てくれたところで、
私は悲惨な状態な訳で、
エンドレスにトイレとベッドを往復している。

体調が悪い時に、誰かがいることで少なからず気を遣うのがしんどい。
例え、それが家族であっても。
私は誰にも連絡をしなかった。

Uber eatsは、玄関にそっと置いてくれた。
私が取りに行けるタイミングで取りに行けばいい。
本当に、ありがたい存在だった。

ーーー

私は、
本当にしんどい時には、
心配してくれる人が側にいてくれるよりも、1人の方がいい。
何にも気を遣うことなく休めるから。

ただ、もっと大ピンチになった時には、人を呼ぶ必要もあるだろう。
その判断だけは、間違えないようにしたい。

体調が悪い時に一人で過ごすことの心細さよりも、
他人に気を使うしんどさが勝つ。

子供の頃。
私を安心させてくれた母親の足音が、
今は気を使う存在になってしまったことを思い知る。

誰かが近くにいると存在に安心を感じていた私が、
誰かが近くにいることで、しんどさを感じていることを思い知る。

人は変わってしまう生き物だから仕方ない。

私は1人でいることの淋しさよりも、
その自分の変化を思い知ったことに、少し淋しく思った。

そんなセンチメンタルなゴールデンウィーク。

あなたは、どんなゴールデンウィークを過ごしたの?

ふじこ





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