【虎に翼・第1週感想】演習賢しくてブギウギのロスを損なう?

みなさんは新年度の始まりをどこから感じるだろうか、普段と同じ通勤時間に慣れないスーツを着た新社会人を見かけたとき?桜が咲き始めたら?もしかしたら友人から送られてきたエイプリルフールのメッセージから今日が年度の1日目だと気づく人もいるかもしれない。

私が新年度の始まりを感じるのは新しい朝ドラが始まった時だ。

ブギの女王・笠置シズ子をモデルとした『ブギウギ』が終わり、この4月からは伊藤沙莉さんが主演を務める『虎に翼』が始まった。日本の法曹界に女性の道を切り拓いていった三淵嘉子さんがモデルとなっている。

ドラマの入れ替わりにはロスを感じることがあるが、特に朝ドラはそのロスが大きい。半年間掛けて毎朝見てきた主人公の成長やその周りを彩る色々な人間模様。まさに1人の人物の人生そのものが私自身の生活の毎朝に並行して繰り広げられてきた。それが次の日から無くなるどころか、別人の物語が始まるのだ。
ロスというよりも違和感というほうが正しい。まるで昨日と今日で家族が変わってしまったかのような違和感だ。

ということで、今回も『ブギウギ』のロスと『虎に翼』への違和感が無くなるまでに少しぐらい時間が掛かるだろうなと思いながら見始めたのだが、正直に言おう、ロスや違和感といったものはほとんど無かった。

ラッパの音もスウィングのリズムもない。ユニークな作曲家もいないし、関西弁が聞こえてくることもない。前作と違う点はどれだけでも思い付くのに、大きな違和感も無いのだ。とてもスムーズに『虎に翼』にシフトすることが出来たのだ。

このスムーズなシフトがどこから生まれたのかと考えてみると、初回の演習の賜物だと思っている。

初回の冒頭、語りの尾野真千子さんによる日本国憲法の第14条の読み上げから始まり、映像には戦後の日本の風景が映し出される。荒廃した街並み、国民服やもんぺ姿の人々、米兵やパンパンガールの姿。

ん?あの米兵は『ブギウギ』に出てたサムじゃないか?小夜ちゃんがいるのに何をしているんだ。いや、小夜ちゃんと出会うのはこれからかな?
そしたらあのパンパンガールたちの頭はラクチョウのおミネか?

とそんなことを思いながら見始めると、お見合いをしたくない寅子は梅丸に入るなんて言うじゃないか。もしかしたら、『ブギウギ』と『虎に翼』の舞台は繋がっているのかも知れない。他にも小ネタが仕込まれてるかもしれないから意識してよく見てみよう。

そんな風に見始めたら、気付いたら『虎に翼』の世界にしっかりと順応してしまった。もちろん、主演の伊藤沙莉さんの演技がすごく自然だというのもあるし、周りの登場人物を演じる方々も役にハマっている。もしかしたら、物語が主人公の幼少期から始まっていないことも違和感を感じにくかったことに影響しているかもしれない。

ただ、なによりも初回に散りばめられた『ブギウギ』を彷彿とさせる演習が大きく影響していると思う。ロケーションが違うだけで前作と同じ世界、時間が流れているような気にさせてくれるのだ。

これから半年間、毎朝のお付き合いのほどをよろしくお願いいたします。

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