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北前船・近江商人

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2021年9月の記事一覧

ニシンが生んだ最北の酒蔵

ニシンが生んだ最北の酒蔵

ニシン番屋の記憶

 石狩川河口付近を渡って日本海岸を北上した旧厚田村の道の駅に能登半島(石川県)の酒を売っていて驚いた。旧厚田村が旧門前町と友好都市だったため、今も石狩市と輪島市の交流があるのだ。輪島に住んでいたころ、市長がしばしば石狩市を訪ねていたのを思いだした。
 旧浜益村(2005年に石狩市に編入)の「はまます郷土資料館」に立ち寄った。
 1899(明治32)年に建てられたニシン漁の番屋(

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北前船の終着駅 江差は惑星大アンドロメダ

北前船の終着駅 江差は惑星大アンドロメダ

もろかった「最後の城」

 函館でレンタカーを借りて西へ走った。海をへだてて函館山を見ると、函館は巨大な陸繋島であることがわかる。知内町の道の駅の展望台から青函トンネル入口をながめ、津軽半島を望む白神岬をへて松前の町に入った。
 町役場の裏山が福山城(松前城)跡だ。
 江戸末期、海防強化を幕府に命じられた松前藩が、拠点の「福山館」を拡張して築いた。1854年(安政元年)に完成した最後の日本式城郭だ

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千年の灯がともる「山寺」が生みだした経済と文化

千年の灯がともる「山寺」が生みだした経済と文化

岩にしみいるセミとは?

 閑さや岩にしみ入る蝉の声

 有名な松尾芭蕉の句は「山寺」と呼ばれる山形市の立石寺で詠まれた。
 斎藤茂吉はこの蝉をアブラゼミと主張し、小宮豊隆は「しみいる」というのはアブラゼミに合わないことや、詠まれた日は7月上旬でアブラゼミは鳴いていないとして、ニイニイゼミであると主張した。茂吉は後に自説の誤りを認めた。
 京阪神では温暖化の影響で、シャンシャンシャンと狂ったように

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歩きつづけた近江商人 武器は情報力

歩きつづけた近江商人 武器は情報力

ネットと市町村史 ネット上には情報があふれているが、問題意識をもたずに漂うのは、分厚い市町村史を頭から通読するのに似た徒労感に襲われる。でも具体的な関心や疑問、「調べたいこと」があれば市町村史もインターネットも一転して有益な情報源になる。
 ある土地の「調べたいこと」を得るには歩くのが一番だ。できることなら目的地だけではなく、周囲の3、4キロは散策したい。

寺社と水路が美しい金堂の街並み

 北

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