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一ヶ月ほど一日一絵を続けた結果、現実を思い知った

絵を上達させるためには、とにかくたくさん描くことが大事だと思っている人、いるよね…

それも一理ありますが、個人的には「絵はできるだけ一枚に時間をかけて描くほど上達しやすい」と考えてます。なので今までできるだけ多くの時間をかけて完成度高めようとしてきたわけですが、最近「完璧を目指しすぎて完成しない」という罠に陥ってしまいました。


流石にこれじゃ先に進まないので、完璧主義を改善するため「一日一絵」をやってみたわけです。というわけで、この記事は「約一ヶ月間、一日一絵を続けた結果」について報告していく記事になります。

ちなみに結論から言うと別に上達とかはしません。夢見てると現実に飲まれるぞ。


ルール説明

まず「一日一絵」って言うと曖昧なので、ちゃんとルールを決めました。

・8時間〜12時間くらいで一枚描く
・二次創作も可
・必ず色を塗ること


時間かけすぎじゃないかと思うかもしれませんが、僕の実力じゃこれくらいかけないと「イラスト」と呼べるものが描けそうにないので…

実際12時間どころか2日かかってるものもあります。一日一絵とは何だったのか…? まぁ本来の目的は「完成させること」だからね、許して。


上達に繋がりそうな縛りの追加

せっかくですし少しでも上達につなげようと思うので、縛り追加です。

・上手い人の絵柄を真似する
・あまり描かない物・構図を描く
・いつもと違う描き方を試す


これは似たような絵ばかりになるのを避けるためですね。縛りと言うか心構えに近いかもしれない。


一ヶ月ぶんのイラスト紹介と解説

というわけでここからは27日ぶんの一日一絵について、「やったこと別」にざっくり解説します。実際は27日間ぶっ続けで描いたわけじゃなく、依頼進めたり他の用事がある日もあったのですが、なにはともあれ27日ぶんです。正直疲れた…

先に予防線を張りますけど、元々「一日で描く」ということに慣れていないためものすごく下手です。に加えて、今回は色々挑戦的なので丁寧さすらありません。画力も経験もない人のリアルな足掻きみたいなものを感じてくれると嬉しい。


①線画を描かずに絵を描いてみる

そもそも、なぜ絵が完成しないかというと途中でモチベが消滅するからです。

具体的には「時間をかけて線画を描いたのに色塗りが上手くいかず、挙げ句線画まで修正する羽目になる」みたいなことを何度も繰り返すうちに面倒になってくるからなんですね。

レイヤーをたくさん使う人は気持ちがわかると思うんですけど、色塗りまで進めてから「これポーズ変じゃね…?」なんて修正しだすと、レイヤー間をあっちいったりこっちいったりでもうわけがわからなくなります。これがいけないと思ったので、いっそ線画描かずにレイヤー一枚で色塗ってみました。

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まぁ下手なんですけど、結果としてはちゃんと一日で完成してます。アプローチとしては間違っていなかったはず…


②線画の下手さを色塗りでごまかそうとしてみる

線画の修正でモチベがなくなるなら、もう下手なのは気にせず色塗りで下手さを誤魔化すのはどうか? と思い、振り向かずに走り続けて描いたのがこちらです。

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先程の2枚よりはイラストっぽくなっているものの、なんか塗りが安っぽいなぁと思ったので、ここからは塗りに力を入れる方針に切り替えました。


③グリザイユ画法で描いてみる

「塗りが下手な人にオススメ!」みたいな謳い文句でよく宣伝されている「グリザイユ画法」グレーで塗ってから調整レイヤーで色を置く描き方です。時間短縮にもなるらしいのでやってみました。

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悪くはない気はしますが、全体的に暗めになっちゃうので個人的には好みじゃありません… 特にグリザイユ画法だと狙った色を置くのがものすごく難しいです。偶然良い感じの配色ができれば良いものの、そうならなかった時は悲惨です。

というわけで「改善の余地あり」として次に進みました。


④グリザイユ画法から色を直置きしてみる

狙った色が出せないなら、部分的に直塗りすれば良いんじゃね? と思って描いたのがこちらです。

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グレーで描いて大雑把に色を置いてから、特徴的な色だけ上から直接塗ってみました。わりと上手くいったので、このときは「ヨシ!」と思ってます。なのでここからはしばらく同じ塗り方で描いていましたが、後に再びグリザイユ画法で配色をすることの難しさを思い知ることになります…


⑤背景を描いてみる

背景が描けないというか、キャラクターに馴染ませるのが極端に苦手なのでついでに練習してみました。

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なんか絵柄ちょっと変わってますが、これはそういう練習も含めてたのであまり気にしないでください。


⑥背景メインのイラストを描いてみる

背景を馴染ませるどころか、そもそも背景が下手なんじゃないかと思ったので、今度は背景メインで練習してみました。

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背景に限った話じゃないですが、「リアルっぽく描く」のが苦手ですね。今はまだそこまで練習する余裕はないですが、いずれは改善すべきところです…


⑦エフェクトを入れてみる

実は火とか光みたいなエフェクトをちゃんと描いた経験があまりないので練習してみました。

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これはこれで魅力ある気もしますが、やっぱりあまり馴染んでいない気がするし、そもそも派手なエフェクト描くことがそんなに好きでもないので、諦めて次に進みます。


⑧好きに描いてみる

ここまでわりと挑戦ばっかで精神的に疲れてきたので、好きに描いてみました。

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一部塗り方変わってるのは、試行錯誤の結果です。このへんで、「ツヤツヤした陶器みたいな質感が出せると、自分にとってよく見える」ということに何となく気づきはじめました。

ただそれを出すのが死ぬほど難しく、できたりできなかったりします。グリザイユ画法だとキレイな色合いを出しづらいこともあって、中々にストレスでした。


⑨頭身高めの絵を描いてみる

実は頭身高めの美人系の絵も好きなんですけど、ぶっちゃけ下手で満足に描けた試しがないので練習しました。

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まぁそんなすぐには上手くいかないよね…この辺は課題です。


⑩塗ったあとに線画を描いてみる

ここまで長いこと線画を描かずに来ましたが、やっぱり線画がないと形を整えるのが難しく「汚く見えてしまう」という欠点がある気がしたので、もう一度線画を描いてみました。

ただし今度は、最初と違い「一番最後に線画を描く」やり方です。最初に線画描くとまた先に進まない気がしたので。というわけでそのやり方で描いたのがこちら。

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これ描いて「キレイに見えるのは線画があるから」ではなく「質感と立体感がキレイに表現されているから」だとはっきりわかりました。線画も重要ですが、線画のない状態で汚く見えるなら線画描いてもたぶんダメです。少なくとも僕はそうでした。


⑪おまけ

一日で終わらないことを悟ったあとに、急いで3時間くらいで描いたフランちゃん。

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一日一絵のメリットとデメリット

こうやって実際にやってみると、良い面と悪い面があることがわかりますね。簡単にまとめてみました。

メリット
・完成させるのに必要な工程がわかる
・失敗する時と成功する時の違いがわかる
・苦手な部分がわかる
デメリット
・忙しい
・下手なのがわかって辛い
・苦手を克服しづらい


まず、時間制限をつけたことで「ちゃんと完成させよう」という頭が働くので「どうすれば最後まで描けるか?」がわかってきますね。

またこう何十枚も連続でイラストを描いてると、上手くいく時といかない時の差が見えてきて「成功する条件」と「苦手な部分」がはっきりわかってきます。


ただ、一日一絵でできるのはそこまでが限界だとも感じました。せっかく苦手な部分が見えても、時間制限が足かせになって「一日一絵」の中で弱点を克服するのがかなり難しいです。

克服できないままに描き続けることになるので、結果として下手な絵を量産することになり、それが「スランプ」の原因になるリスクもあります。

また、時間制限のせいで始終焦りながら絵を描くような状態になり、精神的な疲労も溜まります。正直なところ一長一短ですね。


上達には繋がらないけど、描くのは楽になる

結論としては、「一日一絵」は上達に繋がりづらいと思います。時間制限のせいで、自分の弱点にじっくり向き合い、確実に克服していくということができないからですね。

ただ「絵を完成させた」という経験を短期間でたくさん得ることができるので、「描きやすい描き方」「好みの絵柄」を見つけるきっかけにはなると思います。

絵が完成しない原因には「先の見えない作業に不安を感じ、モチベが消える」ということがあるので、自分にとって描きやすい方法を見つけ「こうすれば完成する」という自信をつけることで改善するはずです。


また弱点の克服はしづらいですが、弱点を見つけることはできるので、行き詰まったら「一日一絵」をやってみるのも良いかもしれません。

一ヶ月は流石に辛いですが、休日にやってみるくらいなら気分転換にもなりそうですね…!


ちなみに僕は二度とやりたくないです。それでは!

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